付喪神と器物の妖怪一覧|道具が化けた妖怪と、木に宿るもの
使い古した道具は、捨てるときに気をつけろ。この考え方から生まれた妖怪の一群があります。
百年を経た道具は、命を得て化ける。
これを付喪神(つくもがみ)といいます。道具を粗末にすることへの戒めとして語られてきました。
木や草に宿るものも、ここに含めています。
このページでは、収録している器物と草木の妖怪を横に並べて見わたします。
付喪神とは 1体
長く使われた道具が、年を経て命を得たものです。
室町時代の『付喪神絵巻』には、
煤払いで捨てられた道具が集まり、人に仕返しをする。
という筋立てが描かれています。捨てられた恨みから化けるというのが、もとの考え方です。
「百年」という年数には注意が要ります。 よく引かれる数字ですが、書物によって年数が違い、決まった年数があるわけではありません。
この一群には、他の妖怪にない特徴があります。
姿が、もとの道具のかたちを残している。
傘には傘の、鏡には鏡の形が残ります。だから見ればすぐ何の道具かわかる。江戸時代の絵で人気が出た理由の一つです。
道具が化けたもの|からかさ小僧と雲外鏡 4体
からかさ小僧は、器物の妖怪でもっともよく知られています。一つ目・一本足で、傘から手足が生えた姿です。
一つ目と一本足は、器物の妖怪に繰り返し出てくる。
目が一つ、足が一本という不足した形が、「人ではない」ことを一目で示します。
雲外鏡は妖しい顔が浮かび上がる鏡です。照魔鏡(しょうまきょう)という、物の正体を映すとされた鏡から作られました。
一反木綿は夕暮れに飛ぶ一反ほどの布で、首に巻きついて人を窒息させるとされます。九州に伝えが残ります。
輪入道は炎に包まれた車輪の中央に男の顔がある妖怪で、見た者の魂を抜くとされます。
車輪という道具が、火をまとって走る。
器物の妖怪のなかで、はっきり人を害するものはこの一体が目立ちます。
木と草に宿るもの|木霊と釣瓶落とし 4体
器物の妖怪を並べる
何が化けたのか、何をするのかで並べます。
| 妖怪 | もとのもの | すること | 姿の特徴 |
|---|---|---|---|
| からかさ小僧 | 傘 | 驚かせる | 一つ目・一本足 |
| 雲外鏡 | 鏡 | 顔を映し出す | 鏡面に顔が浮かぶ |
| 一反木綿 | 布 | 首に巻きつく | 一反ほどの布が飛ぶ |
| 輪入道 | 車輪 | 魂を抜く | 炎の車輪に男の顔 |
| 木霊 | 樹木 | 声を返す | 姿は定まらない |
| 釣瓶落とし | (木の上) | 落ちてきて襲う | 生首の姿で語られる |
並べると、道具の妖怪はほとんど人を殺しません。
驚かせるところで止まる。
害を加えるのは一反木綿と輪入道くらいで、残りは姿を見せるだけです。鬼や水の妖怪とは、この点で大きく違います。
理由として、この一群が戒めのために語られたことが挙げられます。道具を粗末にするなという教えなら、殺す必要がありません。気味が悪ければ十分です。
もうひとつ、器物の妖怪は江戸時代の絵で大きく増えました。鳥山石燕の『画図百器徒然袋』は古道具が化けた姿を多く描いており、
石燕自身が考えたとみられるものが混じっている。
伝えを写したのではなく、作られた妖怪がここにはかなり含まれます。それを承知で読むと、この一群はいっそう面白くなります。
付喪神と器物の妖怪についてよくある質問
付喪神とは何ですか。
長く使われた道具が年を経て命を得たものです。室町時代の『付喪神絵巻』には、煤払いで捨てられた道具が集まって人に仕返しをする筋立てが描かれています。
付喪神になるまで何年かかるのですか。
百年という数字がよく引かれますが、書物によって年数が違い、決まった年数があるわけではありません。
器物の妖怪でいちばん有名なのは何ですか。
からかさ小僧です。一つ目・一本足で傘から手足が生えた姿をしており、器物の妖怪の代表として広く知られています。
器物の妖怪はなぜ一つ目や一本足なのですか。
不足した形が「人ではない」ことを一目で示すためと説明されます。目が一つ、足が一本という姿は器物の妖怪に繰り返し現れます。
器物の妖怪は人を襲いますか。
ほとんど襲いません。害を加えるのは首に巻きつく一反木綿と、魂を抜く輪入道くらいで、多くは姿を見せて驚かせるところで止まります。
木にも妖怪は宿りますか。
宿ります。樹木に宿る木霊、木の上から落ちてくる釣瓶落とし、沖縄のガジュマルの古木に住むキジムナーがいます。木霊の宿る木を切ると祟るという言い伝えが各地に残ります。
器物と草木の一覧(収録しているすべての妖怪) 215体
本文で取り上げなかったものも含めて、この種別に属する妖怪をすべて並べています。名前を押すと個別ページへ移ります。