京都で、空海が植えて落雷を集めた木。主は白蛇で、刃物を当ててはならない。

槐の木とはどんな妖怪か
槐の木はひとことで言えば、雷を引き受けた木です。京都府京都市の話です。
国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースは、井上頼壽「洛南隨筆(二)」(『郷土研究上方』6巻68号・通巻68号、1936年、31頁)を典拠に、雷鳴の嫌いな嵯峨天皇が、落雷をなくすよう空海に命じた。空海が槐(えんじゅ)の木を植えると、落雷はすべて槐の木に落ちた。この木の主は白蛇で、一切刃物を当ててはならない。試しに、巡査が剣を当てると、刃が曲がり、けがをして寝込んだというと記します。
「嵯峨天皇」は平安初期の天皇です。「空海」は真言宗を開いた僧です。
巡査が出てくることから、話が明治以降も続いていたことが分かります。
この図鑑には駒右衛門屋敷の怪(大阪)も収めています。
槐の木の漢字表記と読み方
読みは「えんじゅのき」です。
「槐」はえんじゅ——マメ科の木です。中国では尊い木とされ、街路樹にも使われます。
「主」はその場所を治めるものを指します。
この図鑑には阿白蛇も収めています。 白い蛇は、各地で木や土地の主とされます。
槐の木(えんじゅのき)
日文研データベースが示す表記。
白蛇(はくじゃ)
同データベースが併記する呼称。木の主です。
槐の木の姿と特徴
この記録にあるのは、木と、その主です。
植えた人 … 空海。
命じた人 … 雷鳴の嫌いな嵯峨天皇。
起きたこと … 落雷はすべて槐の木に落ちた。
主 … 白蛇。
禁忌 … 一切刃物を当ててはならない。
破った例 … 巡査が剣を当てると、刃が曲がり、けがをして寝込んだ。
白蛇の姿を見た者がいたとは書かれていません。
槐の木の伝承記録
落雷を集める木
雷鳴の嫌いな嵯峨天皇が、落雷をなくすよう空海に命じました。
空海が槐の木を植えると、落雷はすべて槐の木に落ちました。
落雷が無くなったのではなく、一本の木に集まりました。
避雷針と同じ働きです。
この図鑑には雷獣も収めています。
刃物を当てると刃が曲がる
この木の主は白蛇です。
一切刃物を当ててはならないとされました。
試しに、巡査が剣を当てると、刃が曲がり、けがをして寝込みました。
「巡査」が出てくることから、明治以降も語られていたことが分かります。
この図鑑には阿白蛇も収めています。
槐の木の伝承地域
公的データベースの地域欄は京都府京都市を示します。報告の題は「洛南隨筆」で、洛南は京都の南部を指します。
木の位置は書かれていないため、地図で指せるのは市の範囲までです。
槐の木の正体と考えられているもの
この木の主は、記録がはっきり書いています。白蛇です。
落雷を引き受ける木という点で、避雷針と同じ働きをしています。
そして、刃物を当ててはならないという禁忌が付きました。
巡査が試して、刃が曲がっています。
この図鑑には阿白蛇、駒右衛門屋敷の怪(大阪)も収めています。 どちらも白蛇の話です。
槐の木が記録された資料
この話を単独で扱った本は見当たりません。読めるのは『郷土研究上方』の記事です。
空海にまつわる伝説は全国にあり、各地の郷土誌に数多く載ります。この図鑑には弥勒菩薩の漂着(愛媛)も収めています。
槐の木が記録された民俗資料
洛南隨筆(二)
井上頼壽が『郷土研究上方』通巻68号(1936年)に載せた中心資料です。
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槐の木についてよくある質問
槐の木とは何ですか。
京都で、空海が植えたとされる木です。落雷がすべてこの木に落ちたと伝わります。
なぜ植えたのですか。
雷鳴の嫌いな嵯峨天皇が、落雷をなくすよう空海に命じたためです。
木の主は何ですか。
白蛇です。一切刃物を当ててはならないとされました。
禁忌を破るとどうなりますか。
巡査が剣を当てたところ、刃が曲がり、けがをして寝込んだと記録されています。
槐の木と併せて覚えたい言葉・用語
槐(えんじゅ)
マメ科の木。中国では尊い木とされます。
嵯峨天皇(さがてんのう)
平安初期の天皇。雷鳴を嫌ったとされます。
洛南(らくなん)
京都の南部を指す言い方です。
槐の木の参考資料
この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。