愛媛県松山市で、大酒のみの僧が来ると軽々と上がった漂着仏。

弥勒菩薩の漂着とはどんな妖怪か
弥勒菩薩の漂着はひとことで言えば、相手を選んで上がった仏です。愛媛県松山市の話です。
国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースは、森正史監修「年中行事と民間信仰―民間信仰―」(『あゆみ―忽那諸島の民俗―』8号、1968年、45頁)を典拠に、御前場の磯に仏像が漂着したが、誰も上げられなかった。大酒のみの教円寺の僧侶が来て上げると簡単に上がり、教円寺の弥勒堂に祭った。この弥勒菩薩は弘法大使作といわれ、秘仏であるというと記します。
報告は忽那諸島(くつなしょとう)の民俗をまとめたものです。
誰も上げられなかったという点が先に来ます。
そして、大酒のみの僧が上げました。
弥勒菩薩の漂着の漢字表記と読み方
見出しの読みは「みろくぼさつのひょうちゃく」です。
日文研データベースの呼称は「弥きんぼさつ」(やきんぼさつ)で、土地での言い方です。
弥勒菩薩は、釈迦の入滅から五十六億七千万年の後に現れて人々を救うとされる仏です。
この図鑑には、流れ着いた仏の話として薬師の面(島根)も収めています。
弥きんぼさつ(やきんぼさつ)
日文研データベースが示す呼称。土地での言い方です。
弥勒菩薩(みろくぼさつ)
仏の名。
弥勒菩薩の漂着の姿と特徴
この話に妖怪の姿はありません。記録にあるのは、仏像です。
流れ着いた場所 … 御前場の磯。
最初の様子 … 誰も上げられなかった。
上げた人 … 大酒のみの教円寺の僧侶。
その時の様子 … 簡単に上がった。
祀った場所 … 教円寺の弥勒堂。
伝え … 弘法大師の作といわれ、秘仏である。
仏像の大きさは書かれていません。
弥勒菩薩の漂着の伝承記録
誰も上げられない
御前場の磯に、仏像が漂着しました。
村人が集まったはずです。
しかし、誰も上げられませんでした。
重さの話としては語られていません。 動かなかったのです。
この図鑑の薬師石(兵庫)でも、掘り起こそうとして動きませんでした。
大酒のみの僧が上げる
そこへ、教円寺の僧侶が来ました。
記録はわざわざ「大酒のみの」と書きます。
その僧が上げると、簡単に上がりました。
行いの正しさではなく、この僧を選んだ——そこがこの話の面白さです。
仏は教円寺の弥勒堂に祭られました。
弘法大師の作という
この弥勒菩薩は、弘法大使作といわれます。
「弘法大使」は弘法大師(空海)を指します。記録の表記のままです。
四国では、弘法大師の作と伝える仏が数多くあります。四国遍路の土地柄です。
そして、秘仏とされます。
「秘仏」はふだんは扉を閉じて見せない仏です。
弥勒菩薩の漂着の伝承地域
公的データベースの地域欄は愛媛県松山市を示します。報告は忽那諸島の民俗をまとめたものです。
秘仏とされるため、拝観の可否は資料に書かれていません。訪ねる際は寺にお尋ねください。
忽那諸島(くつなしょとう)
日文研データベースが示す伝承地域
忽那諸島の所在地:愛媛県松山市
報告は忽那諸島の民俗をまとめたものです。教円寺の弥勒堂に祀られたと記されます。
秘仏とされ、拝観の可否は資料に書かれていません。
弥勒菩薩の漂着の正体と考えられているもの
この話に妖怪は出てきません。語られているのは、上がる人を選んだ仏です。
漂着した仏の話は各地にあります。この図鑑には、島根の薬師の面も収めています。
この記録の特徴は、上げた僧が「大酒のみ」と書かれていることです。
正しい行いをした人が選ばれる、という筋になっていません。
そこが、この話を覚えやすいものにしています。
弥勒菩薩の漂着が記録された資料
この話を単独で扱った本は見当たりません。読めるのは『あゆみ』の報告です。
忽那諸島は松山市の沖に浮かぶ島々で、独自の習わしが記録されています。漂着仏の話は各地の海辺にあります。
弥勒菩薩の漂着が記録された民俗資料
あゆみ―忽那諸島の民俗―
森正史監修、1968年。忽那諸島の民俗をまとめた報告です。
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弥勒菩薩の漂着についてよくある質問
弥勒菩薩の漂着とは何ですか。
愛媛県松山市の話です。磯に漂着した仏像を誰も上げられず、大酒のみの僧が来ると簡単に上がったとされます。
どこに祀られましたか。
教円寺の弥勒堂です。
誰の作とされますか。
弘法大師の作といわれ、秘仏であると記録されています。
土地では何と呼ばれますか。
「弥きんぼさつ」と呼ばれると記録されています。
弥勒菩薩の漂着と併せて覚えたい言葉・用語
弥勒菩薩(みろくぼさつ)
釈迦の入滅から遠い未来に現れて人々を救うとされる仏です。
秘仏(ひぶつ)
ふだんは扉を閉じて見せない仏です。
忽那諸島(くつなしょとう)
松山市の沖に浮かぶ島々。この報告の土地です。
弥勒菩薩の漂着の参考資料
この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。