兵庫県神戸市で、掘り起こそうとした大工が三日で死んだという石。

薬師石とはどんな妖怪か
薬師石はひとことで言えば、動かそうとした者が死んだ石です。兵庫県神戸市の話です。
国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースは、辰井隆「兵庫県神戸市布引附近」(『旅と伝説』6巻7号・通巻67号、三元社、1933年)を典拠に、次のように記します。
西平野村から阪急の線路を越えて大仏原に向かう小道の中程に松林の中の古墓に囲まれたお堂の中に薬師石がある。この石は昔ここに、家を建てようとした大工が邪魔になると言って掘り起こそうとしたが上手くいかず、大工は腹痛を起こして三日経って死んでしまった石で、現在その前に薬師仏が祀られている。
掘り起こせなかったという点が先に来ます。
そのうえで、腹痛を起こして三日で死んだと続きます。
そして、その前に薬師仏が祀られました。
薬師石の漢字表記と読み方
読みは「やくしいし」です。
薬師は、薬師如来——病を治すとされる仏です。
石が先にあり、後から薬師仏が祀られました。
薬師石(やくしいし)
日文研データベースが示す表記。
薬師様(やくしさま)
石の前に祀られた仏の呼び方。
薬師石の姿と特徴
この石に妖怪の姿はありません。記録にあるのは、場所と出来事です。
場所 … 松林の中の古墓に囲まれたお堂の中。
道順 … 西平野村から阪急の線路を越えて大仏原に向かう小道の中程。
したこと … 大工が邪魔になると言って掘り起こそうとした。
結果1 … 上手くいかなかった。
結果2 … 腹痛を起こし、三日経って死んだ。
現在 … その前に薬師仏が祀られている。
石の大きさや形は書かれていません。
薬師石の伝承記録
掘り起こせなかった
大工が、そこに家を建てようとしました。
石が邪魔になると言います。
掘り起こそうとしましたが、上手くいきませんでした。
どれほど掘っても出なかったのか、記録は詳しく書きません。
動かなかったという一点だけが伝わっています。
三日経って死んだ
大工は腹痛を起こしました。
三日経って死んでしまいました。
理由は書かれていません。
石を動かそうとしたことが、出来事の原因として語られています。
そして、その前に薬師仏が祀られました。 病を治す仏が、腹痛で死んだ大工の話の上に置かれています。
薬師石の伝承地域
公的データベースの地域欄は兵庫県神戸市東灘区を示します。
記録は西平野村から阪急の線路を越えて大仏原に向かう小道の中程と、道順で示しています。お堂の現在は書かれていません。
薬師石の正体と考えられているもの
薬師石が記録された資料
薬師石を単独で扱った本は見当たりません。読めるのは『旅と伝説』の記事です。
同じ記事には、布引周辺の他の伝説も並びます。神戸の坂と道をたどりながら書かれています。
薬師石が記録された民俗資料
兵庫県神戸市布引附近
辰井隆が『旅と伝説』6巻7号(1933年)に載せた中心資料です。
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薬師石についてよくある質問
薬師石とは何ですか。
兵庫県神戸市東灘区のお堂にある石です。掘り起こそうとした大工が三日で死んだと伝わります。
なぜ死んだのですか。
石を掘り起こそうとして上手くいかず、腹痛を起こしたと記録されています。
今はどうなっていますか。
石の前に薬師仏が祀られていると記録されています。
場所はどこですか。
西平野村から阪急の線路を越えて大仏原に向かう小道の中程と記されています。
薬師石と併せて覚えたい言葉・用語
薬師如来(やくしにょらい)
病を治すとされる仏。石の前に祀られました。
古墓(こぼ)
古い墓。お堂のまわりを囲んでいます。
旅と伝説(たびとでんせつ)
三元社が出した雑誌。各地の伝説を集めました。
薬師石の参考資料
この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。