茨城県龍ケ崎市の田。田に映った自分の顔を見て死んだ娘の話が残り、作ると凶事が起きるとされた。

Abasaa 「龍ケ崎市文化会館(茨城県龍ケ崎市馴馬町)」 2017年 / パブリックドメイン 出典
下町の鐘田とはどんな妖怪か
下町の鐘田はひとことで言えば、作ると凶事が起こるとされた田です。茨城県龍ケ崎市の話です。
国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースは、内田清司「稲敷の病人田(忌地)伝説」(『茨城の民俗』通巻24号、1985年、178頁)を典拠に、醜い顔の娘が、田に映った自分の顔を見て、田に落ちて死亡したと言われている。以後、この田を作ると、凶事が起こるとされていた。ある人がこの地に工場を建てたが、やはり倒産してしまったと記します。
同じ報告には、位はい田も載ります。 この図鑑にも収めています。
水面が鏡になる——田は、水を張れば顔を映します。
そして、工場を建てても倒産したという新しい話まで続いています。
下町の鐘田の漢字表記と読み方
読みは「したまちのかねだ」です。
「鐘田」の由来は記録されていません。鐘に関わる田なのか、別の語かも書かれていません。
報告の題にある「忌地」は、作ることを避けられた土地を指します。 この図鑑の位はい田も同じ報告からです。
下町の鐘田(したまちのかねだ)
日文研データベースが示す表記。
鐘田(かねだ)
田の呼び名。
下町の鐘田の姿と特徴
この田に妖怪の姿はありません。記録にあるのは、由来と、その後です。
由来 … 醜い顔の娘が、田に映った自分の顔を見て、田に落ちて死んだ。
言い伝え … 以後、この田を作ると凶事が起こる。
近年の話 … ある人がこの地に工場を建てたが、やはり倒産した。
霊が現れたという記述はありません。
下町の鐘田の伝承記録
水に映った自分の顔
田に水を張れば、水面は鏡になります。
娘は、そこに自分の顔を見ました。
記録は「醜い顔の娘」と書きます。 当人がどう感じたかは、そこからは分かりません。
そして、田に落ちて死亡したと伝えられます。
この出来事から、田は忌まれるようになりました。
工場を建てても倒産した
言い伝えは、田だけで終わりませんでした。
ある人がこの地に工場を建てたが、やはり倒産してしまったといいます。
田を作らなくなっても、土地の言い伝えは残りました。
「やはり」という一語が、土地の記憶の強さを示しています。
この図鑑の位牌山(東京)も、買った山が凶事の原因とされました。
下町の鐘田の伝承地域
公的データベースの地域欄は茨城県龍ケ崎市を示します。記録は下町と記します。
位置は書かれていないため、地図で指せるのは市の範囲までです。
龍ケ崎市街(りゅうがさきしがい)
日文研データベースが示す伝承地域
龍ケ崎市街の所在地:茨城県龍ケ崎市
記録は「下町」と記します。同じ報告に位はい田も載ります。
田や工場の位置は資料に書かれていません。
下町の鐘田の正体と考えられているもの
この話に妖怪は出てきません。語られているのは、土地に付いた凶事の記憶です。
娘の死が由来として語られ、作れば凶事が起こるとされました。
そして、工場の倒産まで、その言い伝えで説明されています。
忌地の話は各地にあります。この図鑑には、同じ報告の位はい田、東京の位牌山も収めています。
残ったのは、田の名と、水に映った顔の話です。
下町の鐘田が記録された資料
この話を単独で扱った本は見当たりません。読めるのは『茨城の民俗』の記事です。
同じ報告から、この図鑑には位はい田も収めています。忌地をまとめた記事で、複数の田の話が並びます。
下町の鐘田が記録された民俗資料
稲敷の病人田(忌地)伝説
内田清司が『茨城の民俗』通巻24号(1985年)に載せた中心資料です。
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下町の鐘田についてよくある質問
下町の鐘田とは何ですか。
茨城県龍ケ崎市の田です。田に映った自分の顔を見た娘が落ちて死んだと伝わり、作ると凶事が起こるとされました。
工場の話とは何ですか。
ある人がこの地に工場を建てたが、やはり倒産したと記録されています。
位はい田と関係がありますか。
同じ報告に載る別の忌地です。どちらも龍ケ崎市の田です。
田は今もありますか。
資料に現在の記載はありません。位置も書かれていません。
下町の鐘田と併せて覚えたい言葉・用語
忌地(いみち)
作ることを避けられた土地。病人田とも呼ばれます。
位はい田(いはいだ)
同じ報告に載る龍ケ崎市の忌地。位牌の形をした田です。
位牌山(いへーやま)
東京都檜原村の山。買うと不幸が続くとされました。
下町の鐘田の参考資料
この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。