東京都檜原村で、買うと身内に不幸が続くとされた縁起の悪い山。祠を作って祈願した。

RESPITE 「払沢の滝(東京都西多摩郡檜原村本宿)」 2007年 / パブリックドメイン 出典
位牌山とはどんな妖怪か
位牌山はひとことで言えば、買ってはいけない山です。東京都西多摩郡檜原村の話です。
国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースは、長沢利明「桧原村の巫俗」(『西郊民俗』通巻85号、1978年)を典拠に、ある人が山林を買い受けたが、身内に不幸が続く。ウカガイを立てると、買った山はイヘー山(位牌山)といって、非常に縁起が悪い山であることがわかった。そこで祠を作り、祈願を欠かさなかったと記します。
ウカガイは、巫女や行者に神意を尋ねることです。報告の題も「巫俗」です。
不幸の原因が、買った山にあるとされました。
手放すのではなく、祠を作って祈り続けたという結びです。
位牌山の漢字表記と読み方
読みは「いへーやま」です。位牌(いはい)が土地の言い方で変わった形とみられます。
位牌は、死者の名を記す木の札です。茨城の位はい田も、同じ語から名が付いています。
山や田に「位牌」の名が付くと、忌む土地として扱われました。
位牌山(いへーやま)
日文研データベースが示す表記。
イヘー山(いへーやま)
記録の本文での書き方。
位牌山の姿と特徴
この山に妖怪の姿はありません。記録にあるのは、出来事と対処です。
きっかけ … 山林を買い受けた。
起きたこと … 身内に不幸が続く。
調べ方 … ウカガイを立てる。
分かったこと … 買った山はイヘー山という、非常に縁起の悪い山だった。
対処 … 祠を作り、祈願を欠かさなかった。
霊や獣が現れたという記述はありません。
位牌山の伝承記録
買ってから不幸が続く
山林を買うことは、財産を増やすことです。 炭を焼き、木を売るための山でした。
ところが、身内に不幸が続きました。
病か、死か、記録には書かれていません。
そこで、ウカガイを立てました。巫女や行者に、神意を尋ねる方法です。
祠を作って祈り続ける
分かったのは、買った山がイヘー山(位牌山)だったということでした。
非常に縁起が悪い山と記録されています。
売り払ったとは書かれていません。 祠を作り、祈願を欠かさなかったとあります。
忌む土地を手放さず、祀ることで収める。 茨城の位はい田を寺が作ったのと、同じ考え方です。
位牌山の伝承地域
公的データベースの地域欄は東京都西多摩郡檜原村を示します。
山や祠の位置は書かれていないため、地図で指せるのは村の範囲までです。個人の山であるため、訪ねる先としては扱えません。
位牌山の正体と考えられているもの
この話に妖怪は出てきません。語られているのは、土地に付いた名の重さです。
位牌の名を持つ山を買ったために、身内に不幸が続いたとされました。
ウカガイによって原因が土地に求められ、祠と祈願で対処されています。
忌地の言い伝えは各地にあります。茨城の位はい田は寺が作り、この山は祠が建てられました。
どちらも、手放すのではなく引き受ける形です。
位牌山が記録された資料
位牌山を単独で扱った本は見当たりません。読めるのは『西郊民俗』の記事です。
題の巫俗は、巫女や行者による占いや祈祷の習わしを指します。ウカガイの実際が分かる報告です。
位牌山が記録された民俗資料
桧原村の巫俗
長沢利明が『西郊民俗』通巻85号(1978年)に載せた中心資料です。
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位牌山についてよくある質問
位牌山とは何ですか。
東京都檜原村で、買うと身内に不幸が続くとされた山です。イヘー山とも記録されています。
どうやって原因が分かったのですか。
ウカガイを立てて分かったと記録されています。巫女や行者に神意を尋ねる方法です。
その後どうしたのですか。
祠を作り、祈願を欠かさなかったと記録されています。
位はい田と関係がありますか。
どちらも位牌の名を持つ忌地です。茨城の位はい田は寺が作るようになりました。
位牌山と併せて覚えたい言葉・用語
ウカガイ(うかがい)
巫女や行者に神意を尋ねること。原因を調べる方法です。
巫俗(ふぞく)
巫女や行者による占いや祈祷の習わし。報告の題です。
位はい田(いはいだ)
茨城県龍ケ崎市の忌地。同じく位牌の名を持ちます。
位牌山の参考資料
この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。