熊本県菊池市で、大力の者が草を刈った杓子を立てておくと柳に育ったという話。

William Cho 「菊池渓谷(熊本県菊池市原)」 2010年 / CC BY-SA 2.0 出典
飯杓子とはどんな妖怪か
飯杓子は、根づいた道具です。熊本県菊池市の話です。
国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースは、柳田国男「楊枝を以て泉を卜する事」(『民族』民族発行所、1926年)を典拠に、湯船村にある杓子田の柳は、天正年中に横手の五郎という大力な者が、飯杓子で草を刈り、その杓子を立てておいたところ成長したものであると記します。
道具が二重に働いています。
飯を盛る杓子で草を刈り、立てておいたら柳に育ったというわけです。
飯杓子の漢字表記と読み方
読みは「めししゃくし」です。
「飯杓子」は飯を盛るためのしゃもじです。
「天正年中」は西暦一五七三年から一五九二年にあたります。
「横手の五郎」は肥後に伝わる大力の者の名です。
飯杓子(めししゃくし)
日文研データベースが示す呼称。
杓子田の柳(しゃくしだのやなぎ)
育ったとされる木の呼び名です。
飯杓子の姿と特徴
飯杓子の話は、記録に短く書かれています。
あるところ … 湯船村の杓子田。
その木 … 柳。
いつのこと … 天正年中。
その者 … 横手の五郎という大力な者。
したこと(一) … 飯杓子で草を刈った。
したこと(二) … その杓子を立てておいた。
起きたこと … 成長して柳になった。
杓子の大きさは書かれていません。
飯杓子の伝承記録
横手の五郎
天正年中に横手の五郎という大力な者がいました。
力が並外れています。
杓子で草を刈る
飯杓子で草を刈りました。
刃物ではありませんでした。
立てておくと育つ
その杓子を立てておいたところ成長しました。
根づいたのは道具です。
杓子田の柳
湯船村にある杓子田の柳は、こうしてできたものだといいます。
残ったのは木と地名です。
飯杓子の伝承地域
公的データベースの地域欄は熊本県菊池市を示します。
記録は湯船村の杓子田と書いています。
飯杓子の正体と考えられているもの
飯杓子は、立てておいたら木になったとされる道具です。
害をなす話ではありません。 語られているのは、杓子で草を刈ったことと、それが柳に育ったことです。
筆者の柳田国男は、杖を挿すと木になる話の一つとしてこれを集めています。
飯杓子が登場する作品
飯杓子を単独で扱った本は見当たりません。読めるのは戦前の民俗雑誌です。
挿した杖や道具が木になる話は各地にあり、弘法大師の逆さ杖などの名で語られます。
飯杓子が登場する学会誌
民族
民族発行所が出した雑誌です。1926年の号に柳田国男の一文が載ります。
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飯杓子についてよくある質問
飯杓子とは何ですか。
熊本県菊池市で、立てておいたら柳に育ったと語られる杓子です。
誰の杓子ですか。
天正年中の横手の五郎という大力な者と記録されています。
何に使ったのですか。
飯杓子で草を刈ったといいます。
いま何が残っていますか。
湯船村の杓子田の柳と、その地名です。
飯杓子と併せて覚えたい言葉・用語
飯杓子(めししゃくし)
飯を盛るためのしゃもじです。
天正(てんしょう)
安土桃山時代の年号です。
柳田国男(やなぎたくにお)
日本の民俗学を開いた学者です。
飯杓子の参考資料
この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。