江戸本所の松浦家上屋敷にあり、強い風の日にも一枚の葉も落とさないと噂された大椎。

逃亡者 「椎の木屋敷跡の説明板(東京都墨田区横網)」 2009年 / CC BY-SA 3.0 出典
落葉なき椎とはどんな妖怪か
落葉なき椎は、江戸の本所七不思議に数えられる木の怪異です。平戸新田藩松浦家の上屋敷には、遠くからも見えるほど大きな椎の木がありました。どれほど強い風が吹いても、この木だけは一枚も葉を落とさなかったといいます。
人を襲う木でも、夜ごと歩き回る木でもありません。秋や嵐の後なら地面にあるはずの落葉が、屋敷の椎の下にだけ見当たらない。その静かな異常が、土地の不思議として語り継がれました。
落葉なき椎の漢字表記と読み方
「おちばなきしい」と読みます。「椎」は常緑樹ですが、古い葉が一年中少しずつ落ちるため、まったく落葉がないことが不思議になりました。
落葉なき椎(おちばなきしい)
落葉がない椎の木という意味の呼び名。
落葉なしの椎(おちばなしのしい)
同じ本所七不思議を指す別の言い方。
落葉なき椎の姿と特徴
松浦家の上屋敷に立つ大きな椎の木です。特別な顔や手足を持つ姿ではなく、遠くからも見えるほどの樹形と、根元に落葉がないことが特徴です。
落葉なき椎の伝承記録
松浦家上屋敷に大椎がそびえる
本所の松浦家上屋敷には、塀の外からも目につく大きな椎の木が立っていました。現在の墨田区横網一丁目にあたる一帯です。
屋敷の内側にあるため、幹へ触れられるのは屋敷の者だけです。それでも高く広がる枝葉は外から見え、屋敷を示す目印のような存在になっていました。
強い風の後も葉が一枚も落ちていない
風が吹けば、町の木々から葉が落ちます。ところが松浦家の椎だけは、強風の後にも葉を落とさず、木の下に一枚の落葉も見当たらなかったといいます。
音も光も伴いません。周囲では当たり前に起こる落葉が、この木に限って起こらない。その違いを見つけた時に、ただの大木が七不思議の一つへ変わります。
落葉なき椎の伝承地域
伝承地は現在の東京都墨田区横網一丁目付近です。地図は旧松浦家上屋敷の周辺を示します。
松浦家上屋敷跡周辺(まつらけかみやしきあとしゅうへん)
落葉なき椎の伝承地
松浦家上屋敷跡周辺の所在地:東京都墨田区横網一丁目
平戸新田藩松浦家の上屋敷に大椎があったとされます。
伝承の大椎そのものは、いま残っていません。
落葉なき椎の正体と考えられているもの
落葉なき椎は、あるはずのものが無いことに気づく話です。大きな椎なのに、強風でも落葉が一枚もないという現象そのものが怪異です。本所の人々が屋敷の木へ向けた視線と噂が、一つの七不思議を作りました。
落葉なき椎をめぐる妖怪のつながり
落葉なき椎が登場する作品
落葉なき椎は、観察から生まれた怪談です。
風が吹けば、町の木々から葉が落ちます。ところが松浦家の椎だけは、強風の後にも一枚の落葉もない。 あるはずのものが無い、と気づいた時に、ただの大木が七不思議の一つへ変わりました。
音も光も伴いません。見慣れた町の一角にある木を何度も眺めることでしか生まれない、動きの少ない不思議です。
落葉なき椎が登場する古典・記録
落葉なき椎が登場する事典
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落葉なき椎についてよくある質問
落葉なき椎とはどんな妖怪ですか。
強い風の日にも一枚の葉も落とさないと噂された、本所の松浦家上屋敷の大椎です。木の怪物ではなく、落葉がない現象の怪異です。
落葉なき椎はどこにありましたか。
現在の東京都墨田区横網一丁目付近にあった、平戸新田藩松浦家の上屋敷です。
落ちた葉が木へ戻る話ですか。
墨田区が紹介する筋は、強い風でも一枚も葉を落とさなかったというものです。葉が木へ戻る場面は含まれません。
本所七不思議は七つだけですか。
七という名ですが、話の組み合わせには違いがあり、七つを超える怪異が伝わっています。
落葉なき椎と併せて覚えたい言葉・用語
本所(ほんじょ)
現在の東京都墨田区南部を中心とする旧地名。
本所七不思議(ほんじょななふしぎ)
江戸の本所周辺に伝わった複数の怪談のまとまり。
上屋敷(かみやしき)
大名が江戸に置いた屋敷のうち、藩主や家族が主に暮らした屋敷。
落葉なき椎の参考資料
この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。