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東京都

津軽の太鼓(つがるのたいこ)とはどんな妖怪か|姿と伝承

津軽の太鼓  / ツガルノタイコ

そのほか器物と草木 各地の伝説

津軽家上屋敷の火の見櫓で、板木ではなく太鼓を使ったことを不思議とした本所七不思議の一話。

津軽の太鼓の姿を描いた図

Marco Almbauer 「江戸東京博物館(東京都墨田区横網)」 2019年 / CC0 出典

津軽の太鼓とはどんな妖怪か

津軽の太鼓は、本所七不思議の一話です。大名屋敷では板木を鳴らして火事を知らせるところ、津軽家の櫓には太鼓が置かれました。

不思議なのは、太鼓が置かれていたことそのものです。町の決まりから外れて見えた一つの道具が、「なぜ津軽家だけなのか」という疑問を残し、不思議として語り継がれました。

津軽の太鼓の漢字表記と読み方

「つがるのたいこ」と読みます。津軽は青森県の怪異発生地ではなく、本所に上屋敷を構えた弘前藩津軽家を指します。

津軽の太鼓(つがるのたいこ)

本所七不思議で用いられる名称。

津軽家の太鼓(つがるけのたいこ)

屋敷の主を明示した呼び方。

津軽の太鼓の姿と特徴

この話に妖怪の身体は登場しません。目に見えるのは、屋敷の火の見櫓と、火事の合図に使う太鼓です。普通なら板木があるはずの場所に太鼓があるという組み合わせ自体が、不思議の姿になります。

津軽の太鼓の伝承記録

  1. 本所の町で、火の見櫓を見上げる
  2. 板木ではなく、太鼓で火事を知らせる
  3. 一軒だけの例外が、町の疑問になる
  4. 津軽家上屋敷の名が、話の題になる
  5. 七を超える話の中で、本所に残る

本所の町で、火の見櫓を見上げる

江戸の町では、火事を早く知らせることが暮らしを守る重要な仕事でした。屋敷や町には火の見櫓が立ち、高い場所から周囲を見張ります。

陸奥弘前藩津軽家の上屋敷も、本所に大きな敷地を構えていました。町の人がその櫓を見上げると、火事の合図に用いる道具が、ほかの大名屋敷とは違って見えます。そこから津軽の太鼓の話が始まります。

板木ではなく、太鼓で火事を知らせる

大名屋敷では板木を鳴らすのが普通だったのに、津軽家では太鼓を使ったと伝わります。板木は木の板を打って音を出す道具です。太鼓とは音色も響き方も違います。

夜や煙の中では、目より先に音が遠くへ届きます。聞き慣れた合図と異なる太鼓の音は、誰が、どこで火事を知らせているのか、町の人へ強い印象を残しました。

一軒だけの例外が、町の疑問になる

津軽家だけがなぜ太鼓を使えたのか。七不思議の語りは、理由をきれいに解き明かしません。決まりがあるように見える江戸の町で、一軒の大名屋敷だけが違う道具を置いているその例外自体が謎になります。

夜中に太鼓がひとりで鳴る怪談へ変えなくても、不思議は成立します。制度の内側にあるはずの屋敷が、町の人には説明のつかない特別扱いを受けているように見えたからです。

津軽家上屋敷の名が、話の題になる

「津軽」は、弘前藩を治めた津軽家の名です。弘前藩を治めた津軽家の名です。上屋敷は現在の墨田区亀沢二丁目・緑二丁目にあったとされます。

屋敷の主の名と、櫓の道具を組み合わせた「津軽の太鼓」という題は、短いだけに覚えやすく、本所の土地の記憶と結び付きました。話をたどるときは、津軽地方の太鼓文化ではなく、江戸本所の屋敷へ戻る必要があります。

七を超える話の中で、本所に残る

本所七不思議の顔ぶれは、時代と記録者によって変わります。時代や記録者によって顔ぶれが変わり、七を超える話が伝わります。津軽の太鼓が入らない一覧もありますが、話そのものは残りました。

置いてけ堀のような声の怪談に比べると、津軽の太鼓は静かな不思議です。それでも、防火の決まり、武家屋敷への好奇心、土地の記憶が一つの題へまとまり、本所七不思議の中に残りました。

津軽の太鼓の伝承地域

墨田区公式資料は、津軽家上屋敷の舞台を現在の亀沢二丁目・緑二丁目としています。地図は歴史的な屋敷の地域を示します。

津軽家上屋敷跡周辺(つがるけかみやしきあとしゅうへん)

津軽の太鼓の舞台

地図で開く

津軽家上屋敷跡周辺の所在地:東京都墨田区亀沢二丁目・緑二丁目周辺

弘前藩津軽家上屋敷があった地域です。

示しているのは上屋敷のあった一帯です。

津軽の太鼓の正体と考えられているもの

津軽の太鼓は、火事を知らせる道具の違いを「なぜこの屋敷だけ」と問い続けた本所の不思議です。怪音を出す妖怪ではなく、江戸の防火制度に見えた例外が伝承の中心です。

津軽の太鼓をめぐる妖怪のつながり

津軽の太鼓が登場する作品

津軽の太鼓は、本所七不思議のなかでも静かな一話です。

置いてけ堀のように声が響くわけでも、送り提灯のように灯が動くわけでもありません。 大名屋敷の櫓に、板木ではなく太鼓が置かれていた。それだけです。

七不思議の顔ぶれは、時代や記録者によって変わります。津軽の太鼓が入らない一覧もありますが、防火の決まりと武家屋敷への好奇心が一つの題へまとまり、本所に残りました。

津軽の太鼓が登場する古典・記録

江戸東京の噂話

野村純一による江戸・東京の噂話の研究。本所七不思議の伝わり方を扱っています。

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津軽の太鼓が登場する事典

日本妖怪大事典

村上健司による妖怪事典。本所七不思議の各話を、採録元とともに整理しています。

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津軽の太鼓についてよくある質問

津軽の太鼓とは何ですか。

津軽家上屋敷で、板木ではなく太鼓を使って火事を知らせたことを不思議とした本所七不思議の一話です。

津軽の太鼓は勝手に鳴る妖怪ですか。

中心にあるのは、太鼓が置かれていたことそのものです。大名屋敷で太鼓を使った例外そのものが不思議です。

津軽の太鼓の舞台は青森県ですか。

舞台は江戸本所の津軽家上屋敷です。現在の東京都墨田区亀沢二丁目・緑二丁目周辺に当たります。

本所七不思議は七話だけですか。

七話に固定されていません。時代や記録者によって構成が変わり、七を超える話が伝わります。

津軽の太鼓と併せて覚えたい言葉・用語

板木(ばんぎ)

木の板を打ち、時刻や火事などを音で知らせる道具。

火の見櫓(ひのみやぐら)

火事を見張り、合図を送るために設けた高い櫓。

上屋敷(かみやしき)

大名が江戸に構えた主要な屋敷。津軽家上屋敷が話の舞台です。

津軽の太鼓の参考資料

この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。

  1. 墨田区「本所七不思議について知りたい」
  2. 墨田区「M6号両国まちあるき瓦版」