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全国に伝わるもの

反魂香(はんごんこう)とはどんな妖怪か|姿と伝承

反魂香  / ハンゴンコウ

器物と草木 鳥山石燕の絵

焚くと煙の中に死んだ者の姿が現れるという香。

反魂香の姿を描いた図

鳥山石燕 「今昔百鬼拾遺 返魂香」 1781年 / パブリックドメイン 出典

反魂香とはどんな妖怪か

反魂香はひとことで言えば、煙が人の形になる香です。

もとは中国の故事です。 中唐の詩人・白居易の『李夫人詩』によれば、前漢の武帝が李夫人を亡くした後に道士に霊薬を整えさせ、玉の釜で煎じて練り、金の炉で焚き上げたといいます。

すると、煙の中に夫人の姿が見えました。

日本では江戸時代の『好色敗毒散』『雨月物語』などの読本や、妖怪画集の『今昔百鬼拾遺』人形浄瑠璃・歌舞伎の『傾城反魂香』などの題材となっています。

落語の「反魂香」「たちぎれ線香」などにも転じました。

反魂香の漢字表記と読み方

読みは「はんごんこう」です。「はんこんこう」とも読みます

「反魂」は魂を呼び返すことです

石燕の絵では「返魂香」と書かれています。

『本草綱目』も木之1「返魂香」の項に立てました。 「反」と「返」は、同じ意味で使い分けられています。

反魂香(はんごんこう)

広く使われる表記。

返魂香(はんごんこう)

石燕の絵に添えられた表記。『本草綱目』もこの字です。

反魂香(はんこんこう)

「はんこんこう」とも読まれます。

反魂香の姿と特徴

石燕の絵の反魂香は、炉の煙から立ちのぼる女性です。

… 香を焚く大きな炉。
… 立ちのぼって形になる。
姿 … 唐風の装いの女性。
足もと … 煙のまま、輪郭がとけている。
そば … 灯籠と、書き付けの束。

絵では、煙が右上へ流れ、その先に李夫人とみられる姿が立っています。

反魂香が登場する古典の物語

  1. 武帝と李夫人
  2. 返魂樹という木
  3. 芝居と落語になる

武帝と李夫人

前漢の武帝は、李夫人を亡くしました。

そして、道士に霊薬を整えさせます

玉の釜で煎じて練り、金の炉で焚き上げました。

すると、煙の中に夫人の姿が見えたといいます。

この故事を詩にしたのが、白居易の『李夫人詩』です。

返魂樹という木

『本草綱目』木之1「返魂香」は、次のように記します。

西海聚窟州にある返魂樹という木の香で、楓または柏に似た花と葉を持ち、香を百里先に聞く。

その根を煮て、汁を練って作ったものを返魂という。

豆粒ほどを焚いただけで、病に果てた死者を生き返らせることができる。

張華の『博物志』にも、武帝の時、長安の大疫に西域月氏国から献上された香の話があります。

芝居と落語になる

日本では、恋しい人を見るための香として語られました。

『好色敗毒散』には、ある男が愛する遊女に死なれ、幇間の男に勧められて反魂香で遊女の姿を見るという逸話があります。

この香は、平安時代の陰陽師・安倍晴明から伝わるものという設定になっています。

人形浄瑠璃・歌舞伎の『傾城反魂香』、落語の「反魂香」「たちぎれ線香」へと転じました。

この図鑑には、煙にまつわるものとして正月様も収めています

反魂香の伝承地域

反魂香をまつる社は見当たりませんが、青森県弘前市の久渡寺円山応挙「返魂香之図」を所蔵しています

幽霊画の名品として知られる作品です。 公開の有無は寺にお尋ねください。

久渡寺(くどじ)

関わる品を所蔵する寺

地図で開く

久渡寺の所在地:青森県弘前市坂元字山元1

円山応挙「返魂香之図」を所蔵します。

公開の有無は寺にお尋ねください。

反魂香の正体と考えられているもの

反魂香は、死者に会うための道具です

中国ではとして語られました『本草綱目』は病に果てた死者を生き返らせると記します。

日本では姿を見るだけに変わります。 生き返らせるのではなく、煙の中に見る——そこが分かれ目です。

『本草綱目』の作者李時珍自身が、「此説雖渉詭怪」——この説は怪しげである——と批判を書き添えています。

それでも、芝居と落語に残りました

反魂香が登場する作品

反魂香は、石燕の絵『傾城反魂香』で読めます。

落語の「たちぎれ線香」も、この香から転じた噺です。線香が燃え尽きるまでの間だけ、死んだ人に会えるという筋立てです。

反魂香が登場する古典

今昔百鬼拾遺

鳥山石燕、1781年。炉の煙から立つ姿を描いています。

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雨月物語

上田秋成、1776年。反魂香を題材に取り込んでいます。

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傾城反魂香

近松門左衛門による人形浄瑠璃。歌舞伎でも演じられます。

反魂香が登場する研究

本草綱目

李時珍、1596年。返魂樹の香として記し、同時に疑いも書き添えます。

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反魂香についてよくある質問

反魂香とは何ですか。

焚くと煙の中に死んだ者の姿が現れるという伝説上の香です。

もとの話は何ですか。

前漢の武帝が李夫人を亡くした後、道士に作らせた香で姿を見たという中国の故事です。

死者は生き返るのですか。

『本草綱目』は生き返らせると記しますが、日本では姿を見るだけの話に変わりました。

芝居にもなっていますか。

人形浄瑠璃・歌舞伎の『傾城反魂香』、落語の「反魂香」「たちぎれ線香」があります。

反魂香と併せて覚えたい言葉・用語

李夫人(りふじん)

前漢の武帝の寵姫。その姿が煙に現れたとされます。

返魂樹(はんごんじゅ)

『本草綱目』が記す木。その根の汁から香を作るとされます。

傾城反魂香(けいせいはんごんこう)

近松門左衛門による人形浄瑠璃。歌舞伎でも演じられます。