石燕は、月の出る墓地で柳のそばに立つ女として描いた。

鳥山石燕 「画図百鬼夜行 幽霊」 1776年 / パブリックドメイン 出典
幽霊とはどんな妖怪か
幽霊の漢字表記と読み方
読みは「ゆうれい」です。
「幽」はかすかで見えにくいことを表します。
この図鑑には、地域ごとの幽霊として磯幽霊(長崎)、力持ち幽霊(石川)、犬の幽霊(沖縄)、乱れ橋の幽霊(福井)、船幽霊を収めています。
土地ごとに、現れ方も求めるものも違います。
幽霊(ゆうれい)
石燕の絵に添えられた表記と読み。
亡霊(ぼうれい)
同じものを指す言い方。
幽霊の姿と特徴
石燕の絵の幽霊は、墓地に立つ女です。
空 … 有明の月が細く出ている。
木 … 柳がしだれる。
姿 … 髪の長い女。
手 … 前へさしのべている。
足もと … 灯籠。
まわり … 卒塔婆が並ぶ。
足がない姿では描かれていません。 腰から下は、柳と重なって見えにくくなっています。
幽霊が登場する古典の物語
柳と月と灯籠
石燕の一枚には、幽霊画の道具立てがそろっています。
柳——しだれた枝が、姿を隠したり見せたりします。
有明の月——夜明け前まで空に残る細い月です。
灯籠——墓地の灯りです。
これらは後の絵にも受け継がれました。
円山応挙の幽霊画は、この型をさらに広めたと言われます。
三枚で一組になる
『画図百鬼夜行』には、生霊・死霊・幽霊の三枚が続けて置かれています。
生霊は行灯のそばに立つ女、死霊は几帳のかげから這い出る姿、幽霊は墓地に立つ女です。
生きている魂、死んだ魂、そして墓に立つ姿——三段で並べられています。
この図鑑にも、三枚それぞれを収めています。
幽霊の伝承地域
幽霊をまつる社として広く知られたものは見当たりません。
各地に幽霊の話があり、この図鑑では土地ごとに収めています。長崎の磯幽霊、石川の力持ち幽霊、沖縄の犬の幽霊などです。
幽霊の正体と考えられているもの
幽霊は、死霊とほぼ重なる語です。
石燕が別々の一枚にしたのは、現れる場所と姿勢が違うからとみられます。
死霊は室内で這い、幽霊は墓地に立ちます。
この図鑑では、石燕の一枚をこの項に置き、各地の話は土地ごとの項に収めています。
幽霊が何を求めて現れるかは、話ごとに違います。 恨み、知らせ、頼み、そして道連れ——いずれも各地の項で読めます。
幽霊が登場する作品
幽霊は、石燕の絵のほか、歌舞伎や落語でも読めます。
『四谷怪談』のお岩、『牡丹灯籠』のお露——それぞれ現れ方が違います。この図鑑には骨女も収めています。
幽霊が登場する古典
四谷怪談
鶴屋南北、1825年。歌舞伎の幽霊として広く知られます。
牡丹灯籠
三遊亭円朝による落語。灯籠を提げた幽霊が通ってきます。
幽霊が登場する絵画
円山応挙の幽霊画
足もとがかすむ姿を描き、後の幽霊像に影響を与えたとされます。
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幽霊についてよくある質問
石燕の幽霊はどんな絵ですか。
有明の月が出た墓地で、柳のそばに立ち手をさしのべる女です。足もとに灯籠、まわりに卒塔婆があります。
足はありますか。
描かれていないわけではなく、腰から下が柳と重なって見えにくくなっています。
死霊とどう違うのですか。
ほぼ重なる語です。石燕の本では、現れる場所と姿勢の違う別の一枚として描かれました。
各地の幽霊も載っていますか。
長崎の磯幽霊、石川の力持ち幽霊、沖縄の犬の幽霊などを土地ごとに収めています。
幽霊と併せて覚えたい言葉・用語
有明の月(ありあけのつき)
夜明け前まで空に残る月。絵の空に細く描かれます。
卒塔婆(そとば)
墓に立てる細長い板。絵では幽霊のまわりに並びます。
円山応挙(まるやまおうきょ)
江戸中期の画家。幽霊画で知られます。