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石川県

力持ち幽霊(ちからもちゆうれい)とはどんな妖怪か|姿と伝承

力持ち幽霊  / チカラモチユウレイ

幽霊と霊 怪談・百物語

男四五人分の力を持った妻が、死んで幽霊になり夫を取り殺した。

力持ち幽霊とはどんな妖怪か

力持ち幽霊は、能州(現在の石川県)に伝わる妖怪です。

江戸時代の随筆『四不語録』2巻「女の幽霊」に記述があります。

名は、後からついたものです。

戦後の妖怪漫画家・水木しげるの著書によるものです。

話は、生きている間から始まります。

延宝年間のことです。

能州飯山の谷入に神子ヶ原という村があり、そこに住むある農民の妻は、両脇に鱗がありました

さらに乳房が長く伸び、子を背負って乳房を肩にかけて飲ませていました

その上に力が非常に強く、働きぶりは男の4、5人分にも及んだといいます。

力持ち幽霊の漢字表記と読み方

読みは「ちからもちゆうれい」です。

この名は、江戸の書物にはありません。

四不語録』2巻での題は「女の幽霊です。

力持ち幽霊」の名は、戦後の妖怪漫画家・水木しげるの著書によるものです。

もとの話には、名がありませんでした。

この妻には、三つの特徴があります。

両脇に鱗があること。
乳房が長く伸び、子を背負って乳房を肩にかけて飲ませていたこと。
力が非常に強く、働きぶりは男の4、5人分にも及んだこと。

死ぬ前から、人と違っていました。

力持ち幽霊(ちからもちゆうれい)

水木しげるの著書での呼び名。

女の幽霊(おんなのゆうれい)

『四不語録』2巻での題。

力持ち幽霊の姿と特徴

力持ち幽霊の姿は、生前のものが詳しく残っています。

両脇に鱗があった
乳房が長く伸び、子を背負って乳房を肩にかけて飲ませていた
力が非常に強く、働きぶりは男の4、5人分にも及んだ

鱗があります。

そして、死んでから現れます。

妻は病死したが、17日目に幽霊となって現れ、夫を取り殺してしまったといいます。

十七日目です。

その後も幽霊はたびたび現れ、村人たちを恐れさせたといいます。

力持ち幽霊の伝承物語

  1. 墓の穴を埋めた
  2. 谷底へ投げ込まれた
  3. 触れる幽霊

墓の穴を埋めた

村人たちは、理由を探しました。

村にいた作蔵という男が、「墓に穴があると幽霊が現れる」という話を聞きました。

穴です。

件の妻の墓を調べるとやはり深い穴があったといいます。

あったので、埋めました。

作蔵は村人たちと協力して穴を埋めました

ところが、逆でした。

その夜からあの幽霊は作蔵のもとへ現れて色々と悪戯をするようになったといいます。

標的が変わりました。

刀を借りると、止まりました。

魔除けの名刀を借りて傍らに置くと幽霊は現れなくなったが、刀を返すとまた現れる始末だったといいます。

谷底へ投げ込まれた

決着は、山道でつきました。

あるときに作蔵が山仕事から帰って来る途中、後から誰かがついて来るのがわかりました

足音です。

あの幽霊かと作蔵がふり向くと、彼はそのまま掴みあげられて7、8間も先の谷底へ投げ込まれ、気絶してしまったといいます。

七、八間は、十数メートルです。

投げ飛ばされました。

そして、それで終わりました。

幽霊は作蔵が死んだと思ったのか、それ以来現れることはなかったといいます。

作蔵は生きていました。

幽霊のほうが、勘違いをしました。

掴んで投げるという点が、この話の幽霊を他と分けています。

触れる幽霊

日本の幽霊は、足がないものとして描かれることが多くあります。

この幽霊は、違います。

掴みあげて、7、8間も先の谷底へ投げ込みました

手で掴んでいます。

生前の力が、そのまま残っています。

力が非常に強く、働きぶりは男の4、5人分にも及んだという妻でした。

その力で、投げました。

そして、名もそこから付きました。

水木しげるが「力持ち幽霊」と呼んだのは、この一点によります。

恨みではなく、腕力の話になっています。

魔除けの名刀が効いた点は、ふつうの幽霊と同じです。

力持ち幽霊の伝承地域

力持ち幽霊は、能州(現在の石川県)に伝わります。

能州飯山の谷入に神子ヶ原という村があったと『四不語録』は記します。

延宝年間の話とされます。

村の名は現在の地図に残っておらず、場所を確かめられません。この欄は空のままにしてあります。

力持ち幽霊の正体と考えられているもの

力持ち幽霊については、次のように整理できます。

一つめは、出どころです。江戸時代の随筆『四不語録』2巻「女の幽霊」にある話で、「力持ち幽霊」の名は戦後の水木しげるの著書によるものです。

二つめは、生前の姿です。両脇に鱗があり乳房が長く伸び、子を背負って乳房を肩にかけて飲ませていたといい、働きぶりは男の4、5人分にも及んだとされます。

三つめは、十七日目です。妻は病死したが、17日目に幽霊となって現れ、夫を取り殺してしまったといいます。

四つめは、墓の穴です。墓に穴があると幽霊が現れるという話を聞いた作蔵が穴を埋めると、その夜から幽霊は作蔵のもとへ現れるようになりました。

五つめは、投げ飛ばしです。掴みあげられて7、8間も先の谷底へ投げ込まれ幽霊は作蔵が死んだと思ったのか、それ以来現れることはなかったといいます。

この幽霊は、手で人を掴みます。 消えるのではなく、力で押し通る幽霊です。

力持ち幽霊をめぐる妖怪のつながり

力持ち幽霊が登場する作品

力持ち幽霊は、力の話です。

生前の怪力がそのまま残り、人を掴んで谷へ投げます。

資料は江戸の随筆と、戦後の妖怪本に分かれます。

力持ち幽霊が登場する古典

四不語録

江戸時代の随筆。2巻「女の幽霊」にこの話があります。

力持ち幽霊が登場する研究

柴田宵曲編『随筆辞典 第4巻 奇談異聞編』

1961年。江戸の随筆から奇談を引ける辞典です。

水木しげる『妖怪大図鑑』

1994年。「力持ち幽霊」の名で紹介しています。

力持ち幽霊が登場する漫画・アニメ

幽霊を扱う作品

物を掴む幽霊として、ふつうの幽霊と分けて取り上げられます。

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力持ち幽霊についてよくある質問

力持ち幽霊とは何ですか。

能州(現在の石川県)に伝わる話で、江戸時代の随筆『四不語録』2巻「女の幽霊」に記述があります 名称は戦後の水木しげるの著書によるものです。

生前はどんな人でしたか。

両脇に鱗があり乳房が長く伸び、子を背負って乳房を肩にかけて飲ませていたといい、力が非常に強く、働きぶりは男の4、5人分にも及んだといいます。

どうやって現れたのですか。

妻は病死したが、17日目に幽霊となって現れ、夫を取り殺してしまったといいます。

どうやって収まったのですか。

作蔵掴みあげられて7、8間も先の谷底へ投げ込まれ、気絶したところ、幽霊は作蔵が死んだと思ったのか、それ以来現れることはなかったといいます。

力持ち幽霊と併せて覚えたい言葉・用語

能州(のうしゅう)

能登国の別の呼び名。現在の石川県北部。

延宝(えんぽう)

1673年から1681年までの年号。

(けん)

長さの単位。1間は約1.8メートル。