護符を人に剥がさせようとする霊。手伝えば報いがある。

竜斎閑人正澄 「狂歌百物語 札返し」 1853年 / パブリックドメイン 出典
札返しとはどんな妖怪か
札返しは、江戸の古書にある霊です。
江戸時代の古書『狂歌百物語』にあります。 札へがしともいいます。
姿は、ふつうの幽霊です。
外観は、一般的な幽霊画のように脚のない霊の姿で描かれています。
足がありません。
そして、護符に阻まれます。
お経や神様、仏の絵が描かれた護符が家の戸に貼ってあると悪霊が家に入ることができません。
入れません。
その護符を剥がそうにも自分の手で触れることはできません。
そこで、人に頼みます。
札返しの漢字表記と読み方
読みは「ふだかえし」です。
札へがしともいいます。
「へがす」は、剥がすことです。
護符を剥がす霊、という名です。
ただし、自分では剥がせません。
その護符を剥がそうにも自分の手で触れることはできません。
だから、人に頼みます。
生きている人間ならそれらの効力はないからです。
人には、護符が効きません。
そこを利用します。
札返し(ふだかえし)
『狂歌百物語』での名。
札へがし(ふだへがし)
もう一つの呼び方。
護符(ごふ)
お経や神仏の絵が描かれた札。
札返しの姿と特徴
札返しの姿は、脚のない霊です。
外観は、一般的な幽霊画のように脚のない霊の姿で描かれています。
ふつうの幽霊の姿です。
特別な形はありません。
行いのほうに、名がついています。
人間を威したり、賄賂を渡したり、何らかの約束をすることで剥がしてもらおうとする霊のことをいいます。
脅し、賄賂、約束の三つです。
手段を選びません。
こうした欲心から札返しに協力した者には、必ず報いが訪れるといいます。
札返しの伝承物語
自分では触れられない
護符には、力があります。
お経や神様、仏の絵が描かれた護符が家の戸に貼ってあると悪霊が家に入ることができません。
入れません。
剥がそうにも、できません。
その護符を剥がそうにも自分の手で触れることはできません。
触れられません。
ところが、抜け道があります。
生きている人間ならそれらの効力はないのです。
人には効きません。
そこで、人に頼みます。
人間を威したり、賄賂を渡したり、何らかの約束をすることで剥がしてもらおうとします。
協力した者には報いがある
頼まれた人には、結末があります。
こうした欲心から札返しに協力した者には、必ず報いが訪れるといいます。
必ず、です。
「欲心から」とあります。
賄賂に釣られた場合です。
そして、この話は狂歌として残っています。
『狂歌百物語』では「はがさんと 六字の札を 幽霊も なんまいだあと 数えてぞみる」とあります。
狂歌も添えられています。
ただいちの かみの御札は さすがにも のりけなくとも はがしかねけり
護符と幽霊の関連などの短歌の記述を見ることができます。
言葉遊びになっています。
牡丹灯籠のお露
この名は、小泉八雲も使っています。
小泉八雲の著書『化けものの歌』にも札返しの名が見られます。
これは江戸を舞台とした怪談『牡丹灯籠』の一場面のこととされます。
牡丹灯籠です。
その場面を説明しています。
同作の亡霊・お露は毎晩のように愛する男のもとに通い詰めます。
毎晩通います。
ところが、止められます。
男はこの世のものではないお露を恐れて家中の戸に護符を貼ります。
そこで、お露は隣を頼ります。
お露は隣家の者に護符を剥がさせようとするのだといいます。
まさに札返しの形です。
札返しの伝承地域
札返しは、江戸時代の古書『狂歌百物語』にある霊です。
小泉八雲の著書『化けものの歌』にも札返しの名が見られ、江戸を舞台とした怪談『牡丹灯籠』の一場面のこととされます。
家の戸が舞台です。
護符が家の戸に貼ってあるという場面で語られます。
書物の中の話であり、この名で祀られた社や碑はありません。この欄は空のままにしてあります。
札返しの正体と考えられているもの
札返しについては、次のように整理できます。
一つめは、出どころです。江戸時代の古書『狂歌百物語』にある霊で、札へがしともいいます。
二つめは、姿です。一般的な幽霊画のように脚のない霊の姿で描かれています。
三つめは、できないことです。護符を剥がそうにも自分の手で触れることはできません。
四つめは、頼み方です。人間を威したり、賄賂を渡したり、何らかの約束をすることで剥がしてもらおうとする霊のことをいいます。
五つめは、報いです。こうした欲心から札返しに協力した者には、必ず報いが訪れるといいます。
この霊は、人の欲を使います。 手伝った側に、必ず報いが来ます。
札返しをめぐる妖怪のつながり
札返しが登場する作品
札返しは、人の欲を使う霊です。
自分では護符に触れられず、脅しや賄賂で人に剥がさせます。
資料は江戸の狂歌集と、怪談に分かれます。
札返しが登場する古典
狂歌百物語
江戸時代の古書。札返しの名と狂歌を載せます。
牡丹灯籠
江戸を舞台とした怪談。お露が護符を剥がさせようとします。
札返しが登場する漫画・アニメ
幽霊を扱う作品
護符に阻まれる霊として取り上げられます。
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札返しについてよくある質問
札返しとは何ですか。
江戸時代の古書『狂歌百物語』にある霊で、護符を剥がしてもらおうとする霊のことをいいます。
なぜ自分で剥がさないのですか。
その護符を剥がそうにも自分の手で触れることはできず、生きている人間ならそれらの効力はないからです。
どうやって頼むのですか。
人間を威したり、賄賂を渡したり、何らかの約束をすることで剥がしてもらおうとします。
手伝うとどうなりますか。
こうした欲心から札返しに協力した者には、必ず報いが訪れるといいます。
札返しと併せて覚えたい言葉・用語
護符(ごふ)
お経や神仏の絵が描かれた札。魔除けに貼る。
狂歌(きょうか)
こっけいや風刺を詠み込んだ短歌。
牡丹灯籠(ぼたんどうろう)
江戸を舞台とした怪談。