群馬では足にまとわりつく獣、新潟では墓を暴く怪獣。同名で中身が違う。
オボとはどんな妖怪か
オボは、群馬県、新潟県に伝わる妖怪です。
同じ名前でも内容は全く異なります。
まず、群馬県利根郡柿平のものです。
イタチが化けたような妖怪で、人が道を歩いていると、足にまとわりついて歩く邪魔をするといいます。
足にまとわりつきます。
放っておくととても歩くどころではないので、刀の下げ緒、着物の小褄などを切って与えることで足から離れさせることができるといいます。
布の切れ端を渡します。
次に、新潟県南魚沼郡のものです。
まだ新しい墓を暴き、亡者の脳髄を食らうとされる怪獣です。
オボの漢字表記と読み方
読みは「おぼ」です。
佐渡島では「ウブ」といいます。
「うぶ」は、生まれたばかりを指す語でもあります。
佐渡の伝承は、その意味に近いものです。
佐渡島では、嬰児の死んだ者や、堕ろした子を捨てたものがなるとされます。
生まれてすぐの子です。
群馬の柿平にも、赤ん坊の声の話があります。
かつて、利根郡利根の山から小学校に通っている少年が、下校際に17時頃に山道を登り始めたところ、道端の草むらから赤ん坊の産声のような声が聞こえました。
恐怖した少年が駆け去ろうとしたところ、声はますます大きくなったといいます。 祖父によれば、その声はオボの泣き声でした。
オボ(おぼ)
群馬県、新潟県での呼び名。
ウブ(うぶ)
佐渡島での呼び名。
オボの姿と特徴
オボの伝承物語
布を切って与える
群馬県利根郡柿平のオボは、足を止めます。
イタチが化けたような妖怪で、人が道を歩いていると、足にまとわりついて歩く邪魔をするといいます。
放っておけません。
とても歩くどころではないからです。
そこで、渡すものがあります。
刀の下げ緒、着物の小褄などを切って与えることで、足から離れさせることができるといいます。
下げ緒は、刀の鞘に結ぶ紐です。
小褄は、着物の裾の端です。
布や紐の切れ端です。
ノツゴが草履の鼻緒を求めるのと、同じ形です。
足を止めるものには、身につけた布を渡します。
墓を暴いて脳髄を食う
新潟県南魚沼郡のオボは、まったく違います。
民族学研究所の書籍『綜合日本民族語彙』などに記述のある怪獣です。
やることが重いのです。
まだ新しい墓を暴き、亡者の脳髄を食らうとされます。
埋めたばかりの墓です。
正体には説があります。
山犬のこととの説もありますが、人に姿を見せない神秘的な獣ともいわれます。
山犬なら、実際に墓を掘り返します。
土葬の墓を獣が荒らすことは、実際に起こりました。
それを説明する名でもあります。
そして、佐渡島ではまた違います。
「ウブ」と呼ばれ、嬰児の死んだ者や、堕ろした子を捨てたものがなるとされます。
草履を肩越しに投げる
佐渡島のウブには、逃れ方が伝わっています。
大きな蜘蛛の形で赤子のように泣き、人に追いすがって命をとるといいます。
追いすがります。
そこで、こうします。
履いている草履の片方をぬいで肩越しに投げ、「お前の母はこれだ」と言えば害を逃れられるといいます。
草履を母だと言います。
振り返らずに、後ろへ投げます。
この作法は、ノツゴとよく似ています。
ノツゴも、草鞋の乳や草履の鼻緒を切って投げると離れました。
履物を渡す点が共通します。
そして、嬰児の死んだ者がなるという正体も同じです。
群馬・新潟・佐渡・四国。同じ形の話が、広い範囲にあります。
オボの伝承地域
オボは、群馬県、新潟県に伝わります。
群馬県利根郡柿平 … イタチが化けたような妖怪で、足にまとわりついて歩く邪魔をするといいます。
群馬県利根郡利根 … 山道で赤ん坊の産声のような声が聞こえ、オボの泣き声とされました。
新潟県南魚沼郡 … まだ新しい墓を暴き、亡者の脳髄を食らう怪獣とされます。
新潟県佐渡島 … 「ウブ」と呼ばれ、大きな蜘蛛の形で赤子のように泣くといいます。
いずれも山道や墓地そのものが舞台であり、この名で祀られた社や碑は確かめられていません。 この欄は空のままにしてあります。
オボの正体と考えられているもの
オボについては、次のように整理できます。
一つめは、足にまとわりつく獣です。群馬県利根郡柿平ではイタチが化けたような妖怪で、刀の下げ緒、着物の小褄などを切って与えることで足から離れさせることができます。
二つめは、赤ん坊の声です。山道で道端の草むらから赤ん坊の産声のような声が聞こえ、駆け去ろうとすると声はますます大きくなったといいます。
三つめは、墓を暴く怪獣です。新潟県南魚沼郡ではまだ新しい墓を暴き、亡者の脳髄を食らうとされ、山犬のこととの説もありますが、人に姿を見せない神秘的な獣ともいわれます。
四つめは、ウブです。佐渡島では嬰児の死んだ者や、堕ろした子を捨てたものがなるとされ、大きな蜘蛛の形で赤子のように泣き、人に追いすがって命をとるといいます。
五つめは、草履です。履いている草履の片方をぬいで肩越しに投げ、「お前の母はこれだ」と言えば害を逃れられるといいます。
同じ名で、まったく違うものが呼ばれています。 ただ、赤ん坊と履物という二つの要素は、多くの土地に共通しています。
オボをめぐる妖怪のつながり
オボが登場する作品
オボは、同じ名で中身が違う例です。
群馬では足にまとわりつく獣、新潟では墓を暴く怪獣、佐渡では蜘蛛の形の嬰児の霊。
資料は各地の民俗の記録が中心です。
オボが登場する研究
オボが登場する漫画・アニメ
妖怪をまとめて扱う作品
足をとる妖怪として、ノツゴやすねこすりと並べて取り上げられます。
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オボについてよくある質問
オボとは何ですか。
群馬県、新潟県に伝わる妖怪ですが、同じ名前でも内容は全く異なります。群馬では足にまとわりつく獣、新潟ではまだ新しい墓を暴き、亡者の脳髄を食らう怪獣です。
群馬のオボはどう追い払うのですか。
刀の下げ緒、着物の小褄などを切って与えることで、足から離れさせることができるといいます。
赤ん坊の声とは何ですか。
山道で道端の草むらから赤ん坊の産声のような声が聞こえ、恐怖して駆け去ろうとすると声はますます大きくなったといいます。祖父によれば、それはオボの泣き声でした。
佐渡のウブとは何ですか。
嬰児の死んだ者や、堕ろした子を捨てたものがなるとされ、大きな蜘蛛の形で赤子のように泣き、人に追いすがって命をとるといいます。履いている草履の片方をぬいで肩越しに投げ、「お前の母はこれだ」と言えば害を逃れられます。
オボと併せて覚えたい言葉・用語
下げ緒(さげお)
刀の鞘に結ぶ紐。オボに与えるものの一つ。
小褄(こづま)
着物の裾の端。
ウブ(うぶ)
佐渡島でのオボの呼び名。嬰児の霊とされる。