備後の海岸に二つ並んで現れる火。非業の死を遂げた二人の女という。
たくろう火とはどんな妖怪か
たくろう火は、海岸に出る火の妖怪です。
「備後国」(広島県東部)御調郡に伝わります。
江戸時代の歴史書・地誌である『芸藩通志』などにも記載されています。
出る時期と場所が決まっています。
夏から秋にかけての夜、海岸に火の玉となって出現するといいます。
海岸です。
そして、二つ並びます。
2つの火が並んで現れることから、「比べ火」(くらべび)とも呼ばれます。
比べ火です。
かつては瀬戸内海を重要な交通路とする船乗りたちにとって、よく知られた妖怪であったといいます。
たくろう火の漢字表記と読み方
読みは「たくろうび」です。
名の由来は伝わっていません。
もう一つの名は、姿から来ています。
2つの火が並んで現れることから、「比べ火」(くらべび)とも呼ばれます。
並んだ二つを比べる、という名です。
そして、二人の女の霊とされます。
京女郎、筑紫女郎(ちくしじょろう)と呼ばれる2つの石が、その正体とされます。
京と筑紫です。
都と九州、遠く離れた土地の名がついています。
たくろう火(たくろうび)
もっとも一般的な表記。
比べ火(くらべび)
2つの火が並んで現れることからの呼び名。
たくろう火の姿と特徴
たくろう火は、二つの火の玉です。
夏から秋にかけての夜に出る。
海岸に火の玉となって出現する。
2つの火が並んで現れる。
必ず二つです。
そして、正体は石とされます。
非業の死を遂げた2人の女が、京女郎、筑紫女郎と呼ばれる2つの石と化し、その霊がたくろう火になったといいます。
石が二つ、火が二つです。
数が対応しています。
たくろう火の伝承物語
二つ並ぶから比べ火
たくろう火の特徴は、二つで現れることです。
2つの火が並んで現れることから、「比べ火」(くらべび)とも呼ばれます。
並びます。
そして、時期が決まっています。
夏から秋にかけての夜です。
海岸に出ます。
瀬戸内海を重要な交通路とする船乗りたちにとって、よく知られた妖怪であったといいます。
船乗りが知っていました。
海の上から見えたのでしょう。
二つ並んだ火は、灯りと見分けがつきにくいものです。
船にとっては、方角を誤らせます。
そこが、怖さの中心です。
京女郎と筑紫女郎
たくろう火の正体には、悲しい話があります。
広島中部の伝承によれば、非業の死を遂げた2人の女がいました。
二人です。
その二人が、京女郎、筑紫女郎(ちくしじょろう)と呼ばれる2つの石と化しました。
石になりました。
そして、その霊がたくろう火になったといいます。
石が二つ、火が二つです。
名前が対になっています。
京は都、筑紫は九州です。
遠く離れた土地から来た二人ということになります。
瀬戸内海は、都と九州を結ぶ航路です。
その道筋の名が、二人につけられています。
古老にも知られていない
たくろう火は、忘れられた妖怪です。
出没したのはかなりの過去であり、微かに古い書物にのみ伝承されているに過ぎず、土地の古老にすらほとんど知られていないといいます。
古老も知りません。
残っているのは、書物だけです。
江戸時代の歴史書・地誌である『芸藩通志』などに記載されています。
芸藩通志は、広島藩が編んだ地誌です。
そこに記録が残りました。
かつては船乗りたちにとってよく知られた妖怪でした。
しかし、いまは知られていません。
航路が変わり、語る人がいなくなれば、話も消えます。
書物だけが、それを留めています。
たくろう火の伝承地域
たくろう火は、「備後国」(広島県東部)御調郡に伝わります。
夏から秋にかけての夜、海岸に火の玉となって出現するとされます。
瀬戸内海に面した海岸です。
正体とされる京女郎、筑紫女郎と呼ばれる2つの石については、現在も残っているかは確かめられていません。
出没したのはかなりの過去であり、土地の古老にすらほとんど知られていないといいます。
確かめられていない場所を、訪ね先として挙げることはしません。この欄は空のままにしてあります。
たくろう火の正体と考えられているもの
たくろう火については、次のように整理できます。
一つめは、二つの火です。夏から秋にかけての夜、海岸に火の玉となって出現し、2つの火が並んで現れることから「比べ火」とも呼ばれます。
二つめは、船乗りの妖怪です。かつては瀬戸内海を重要な交通路とする船乗りたちにとって、よく知られた妖怪でした。
三つめは、二人の女です。非業の死を遂げた2人の女が、京女郎、筑紫女郎と呼ばれる2つの石と化し、その霊がたくろう火になったと言われています。
四つめは、書物の記録です。江戸時代の歴史書・地誌である『芸藩通志』などに記載されています。
五つめは、忘れられたことです。出没したのはかなりの過去であり、微かに古い書物にのみ伝承されているに過ぎず、土地の古老にすらほとんど知られていないといいます。
この妖怪は、消えかけています。 語る人がいなくなり、書物だけが残りました。
たくろう火をめぐる妖怪のつながり
たくろう火が登場する作品
たくろう火は、書物にだけ残った妖怪です。
かつては船乗りが知っていましたが、いまは土地の古老にもほとんど知られていません。
資料は江戸の地誌と、後年の怪火の研究に分かれます。
たくろう火が登場する古典
芸藩通志
江戸時代の歴史書・地誌。たくろう火の記載があります。
たくろう火が登場する漫画・アニメ
妖怪をまとめて扱う作品
怪火として、遺念火や鬼火と並べて取り上げられます。
Amazonのアソシエイトとして、当サイトは適格販売により収入を得ています。
たくろう火についてよくある質問
たくろう火とは何ですか。
「備後国」(広島県東部)御調郡に伝わる火の妖怪です。夏から秋にかけての夜、海岸に火の玉となって出現するとされます。
比べ火とは何ですか。
2つの火が並んで現れることからの呼び名です。
正体は何ですか。
非業の死を遂げた2人の女が、京女郎、筑紫女郎と呼ばれる2つの石と化し、その霊がたくろう火になったと言われています。
いまも知られていますか。
ほとんど知られていません。 出没したのはかなりの過去であり、微かに古い書物にのみ伝承されているに過ぎず、土地の古老にすらほとんど知られていないといいます。
たくろう火と併せて覚えたい言葉・用語
芸藩通志(げいはんつうし)
広島藩が編んだ江戸時代の地誌。
御調郡(みつぎぐん)
広島県東部の旧郡名。たくろう火の伝承地。
筑紫(ちくし)
九州北部の古い呼び名。