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奈良県

じゃんじゃん火(じゃんじゃんび)とはどんな妖怪か|姿と伝承

じゃんじゃん火  / ジャンジャンビ

火の妖怪 各地の伝説

奈良各地に伝わる怪火。「じゃんじゃん」と音を立てる。

じゃんじゃん火とはどんな妖怪か

じゃんじゃん火は、奈良県各地に伝わる怪火です。鬼火の一種とされます。

じゃんじゃん」と音を立てることが、名の由来です。

火が、音を立てます。

そして、心中者や武将などの死者の霊が火の玉に姿を変えたものとする伝承が多くあります。

同じ奈良でも、地域によって別々の伝承があります。

奈良市白毫寺町、大和郡山市、天理市藤井町、天理市柳本町・田井庄町、橿原市。

それぞれに話があり、それぞれに別名があります。

宮崎県では「むさ火」、高知県では「けち火」ともいいます。

じゃんじゃん火の漢字表記と読み方

読みは「じゃんじゃんび」です。

じゃんじゃん」と音を立てることが、名の由来です。

火に、音があります。

そして、その音には説明があります。

天理市柳本町などでは、安土桃山時代に松永弾正に討たれた武将・十市遠忠の怨霊とされます。

遠忠が討たれた際に殺された武士たちが大勢で「残念、残念」と言うために「じゃん、じゃん」と聞こえるともいいます。

残念が、じゃんじゃんに聞こえる。

天理市藤井町では、そのまま「残念火」と呼びます。

じゃんじゃん火(じゃんじゃんび)

もっとも一般的な表記。

ジャンジャン火(じゃんじゃんび)

カタカナで書く例。

残念火(ざんねんび)

天理市藤井町での呼び名。

ホイホイ火(ほいほいび)

天理市柳本町などでの呼び名。

むさ火(むさび)

宮崎県での呼び名。

じゃんじゃん火の姿と特徴

じゃんじゃん火は、地域によって現れ方が違います。

奈良市白毫寺町 … 二つの火の玉。夫婦川で落ち合い、もつれ合う。
大和郡山市 … 毎年6月7日、佐保川の橋の上へ二つの人魂が訪れる。
天理市藤井町 … 城の跡から出て、西へ飛ぶ。
天理市柳本町など … 「ほいほい」と呼ぶと飛来し、「じゃんじゃん」と鳴って消える。

二つで現れることが多くあります。

白毫寺町でも大和郡山市でも、男女の霊とされます。

そして、追いかけてきます。

白毫寺町では、人がこの火を見ていると、その人のもとへ近寄ってくるとされ、追いかけられた者が池の中に逃げ込んだものの、火は池の上まで追って来たという話もあります。

じゃんじゃん火の伝承物語

  1. 夫婦川で落ち合う
  2. 六月七日の橋
  3. 十市遠忠の残念
  4. 首切地蔵

夫婦川で落ち合う

奈良市白毫寺町の話です。

白毫寺大安寺の墓地から出現する、二つの火の玉を指します。

そして、夫婦川で二つの火が落ち合います。

もつれ合い、やがてもとの墓地へ帰って行くといいます。

正体は、心中した男女です。

死後は別々の寺に葬られたことから、火の玉となって落ち合っていると伝えられます。

別々の墓に入れられた二人が、川で会います。

そして、この火には危ないところもあります。

人がこの火を見ていると、その人のもとへ近寄ってくるとされます。

追いかけられた者が池の中に逃げ込んだものの、火は池の上まで追って来たという話もあります。

六月七日の橋

大和郡山市の話です。

毎年6月7日に、佐保川の橋の上へ訪れる二つの人魂を指します。

白毫寺町と同様、男女の霊とされています。

そして、この土地には風習がありました。

かつては6月7日になると、付近の各村からそれぞれ20人ずつ男女が選ばれ、出没地である橋の上で踊り、人魂の主である霊を慰めたといいます。

村を挙げての行事です。

日付が決まっています。場所も決まっています。

つまり、この霊は毎年来ることになっていました。

そして、村は毎年迎えました。

恐れるだけでなく、慰める。 怪異との付き合い方が、そこにあります。

十市遠忠の残念

天理市柳本町、田井庄町、橿原市の話は、性格が違います。

雨の近い夏の夜、十市城の跡に向かって「ほいほい」と声をかけると飛来し、「じゃんじゃん」と音を立てると消えるといいます。

呼べば、来ます。

ホイホイ火とも呼ばれます。

そして、正体があります。

安土桃山時代に松永弾正に討たれた武将・十市遠忠の怨霊です。

これを見た者は、怨霊の祟りによって三日三晩の間、熱病に見舞われてしまうといいます。

遠忠が討たれた際に殺された武士たちが大勢で「残念、残念」と言うために「じゃん、じゃん」と聞こえるともいいます。

天理市藤井町では、そのまま「残念火」と呼びます。

首切地蔵

天理市田井庄町には、じゃんじゃん火の跡が残っています。

首切地蔵です。

首と胴体の離れた地蔵があります。

由来は、こう伝えられます。

かつてじゃんじゃん火に襲われた武士が刀を振り回し、誤って路傍の地蔵の首を刎ねてしまったのだといいます。

そして、その武士は結局、丸焦げになって死んだといわれます。

地蔵の首が飛び、武士も死にました。

火に刀を振るっても、どうにもなりません。

天理市藤井町の話でも、これに遭遇した者は橋の下などに隠れてやり過ごさなければならないとされます。

隠れるのが正解です。

じゃんじゃん火の伝承地域

じゃんじゃん火は、奈良県各地に伝わります。

奈良市白毫寺町白毫寺大安寺の墓地から出現し、夫婦川で落ち合うとされます。白毫寺、大安寺ともに現存します。

大和郡山市毎年6月7日、佐保川の橋の上に訪れるとされます。

天理市藤井町 … 城の跡から出て西へ飛ぶ。残念火とも。

天理市柳本町、田井庄町、橿原市十市城の跡に向かって「ほいほい」と呼ぶと飛来するとされます。 田井庄町には、じゃんじゃん火に襲われた武士が誤って首を刎ねたという首切地蔵が残ります。

いずれも広い範囲にわたる伝えであり、じゃんじゃん火そのものを祀った碑は確かめられていません。この欄は空のままにしてあります。

じゃんじゃん火の正体と考えられているもの

じゃんじゃん火の正体については、次のように整理できます。

一つめは、心中した男女です。奈良市白毫寺町では、死後は別々の寺に葬られたことから、火の玉となって夫婦川で落ち合っていると伝えられます。

二つめは、十市遠忠です。天理市柳本町などでは、松永弾正に討たれた武将の怨霊とされます。 見た者は三日三晩の熱病に見舞われるといいます。

三つめは、音です。じゃんじゃん」と音を立てることが名の由来です。 殺された武士たちが「残念、残念」と言うために、そう聞こえるともいいます。

四つめは、鬼火の一種です。宮崎県ではむさ火、高知県ではけち火とも呼ばれます。 奈良に限った現象ではありません。

じゃんじゃん火が何であったかは、わかっていません。 ただ、大和郡山市では毎年6月7日に村人が橋の上で踊り、霊を慰めたという記録が残っています。

じゃんじゃん火をめぐる妖怪のつながり

じゃんじゃん火が登場する作品

じゃんじゃん火は、土地ごとに話の違う怪火です。

同じ奈良でも、白毫寺町、大和郡山市、天理市、橿原市でそれぞれ別の伝承があります。 別名も、残念火、ホイホイ火と分かれます。

資料は各地の民俗の記録が中心です。

じゃんじゃん火が登場する研究

妖怪事典

村上健司編著、2000年。奈良県各地の伝承を整理しています。

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大和の伝説

奈良県の伝説を集めた書。じゃんじゃん火の話を収めます。

じゃんじゃん火が登場する漫画・アニメ

ゲゲゲの鬼太郎

じゃんじゃん火が登場します。音を立てる怪火として描かれます。

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妖怪をまとめて扱う作品

怪火の一種として、鬼火や人魂と並べて取り上げられます。

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じゃんじゃん火についてよくある質問

なぜ「じゃんじゃん」なのですか。

じゃんじゃん」と音を立てることが名の由来です。 天理市柳本町などでは、十市遠忠が討たれた際に殺された武士たちが大勢で「残念、残念」と言うために「じゃん、じゃん」と聞こえるともいいます。

正体は何ですか。

心中者や武将などの死者の霊が火の玉に姿を変えたものとする伝承が多くあります。奈良市白毫寺町では心中した男女、天理市柳本町などでは武将十市遠忠の怨霊とされます。

見るとどうなりますか。

白毫寺町では、人がこの火を見ていると、その人のもとへ近寄ってくるとされます。天理市柳本町などでは、見た者は三日三晩の間、熱病に見舞われるといいます。

霊を慰める行事があったのですか。

大和郡山市では、かつて6月7日になると付近の各村からそれぞれ20人ずつ男女が選ばれ、出没地である橋の上で踊り、人魂の主である霊を慰めたといいます。

じゃんじゃん火と併せて覚えたい言葉・用語

白毫寺(びゃくごうじ)

奈良市白毫寺町の寺。じゃんじゃん火が出るとされた墓地がある。

十市遠忠(とおちとおただ)

安土桃山時代の武将。松永弾正に討たれたとされる。

首切地蔵(くびきりじぞう)

天理市田井庄町の、首と胴体の離れた地蔵。