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全国に伝わるもの

火柱(ひばしら)とはどんな妖怪か|姿と伝承・登場する作品

火柱  / ヒバシラ

火の妖怪 各地の伝説軍記・物語

空中に赤気が立ち上る怪現象。大火の前兆といわれた。

火柱とはどんな妖怪か

火柱は、空に立つ火の柱です。

空中に赤気が立ち上る姿が、火の柱のように見えるという怪奇現象です。

高さは、七、八尺ないし数丈。

七尺は約2.1メートル、数丈なら10メートルを超えます。

地上、または山上に立ちます。

そして、この火柱には意味がありました。

俗に、大火の前兆であるといいます。

さらに、重い言い伝えがあります。

火柱の立った家は、娘が人身御供に成らねばならない。

火が立っただけで、家に災いが降りかかります。

火柱の漢字表記と読み方

読みは「ひばしら」です。

火の柱。 空に立つ火を、柱に見立てた名です。

赤気」(せっき)は、空に現れる赤い気を指す語です。

北条九代記』には、陰陽師の言葉が記されています。

此天変を彗形の気と名付け、俗説に火柱と申習はす。

「彗形の気」は、彗星のような形の気という意味でしょう。

天変です。

そして、こうも述べられています。

昔村上天皇の御宇、康保年中に出現せしこと旧記に載せられ候

十世紀にも、記録がありました。

火柱(ひばしら)

もっとも一般的な表記。

彗形の気(すいけいのき)

陰陽師・泰貞朝臣による呼び名。『北条九代記』にある。

赤気(せっき)

空に立ち上る赤い気。火柱の正体とされる語。

火柱の姿と特徴

火柱は、次のように現れます。

高さ … 七、八尺ないし数丈。
立つ場所 … 地上または山上。
… 赤い。
… 柱のよう。

『北条九代記』の記述が、いちばん具体的です。

仁治年間の二月四日、戌の刻(午後八時ごろ)ばかりに、赤白の気三条が西方の天際に現れました。

やがて消えた後。

赤気の一道が、その長七尺ばかりに見えて耀いたといいます。

三本の気が消えた後、一本が残って光る。

そして、陰陽師が御所に参上して報告しました。

天変として、朝廷に届けられています。

火柱の伝承物語

  1. 吾妻鏡に載る
  2. 娘が人身御供に
  3. 流星か、地震か

吾妻鏡に載る

火柱は、歴史書に記録されています。

吾妻鏡』の仁治元年2月4日の条です。

ほかに『元正間記』『益軒先生与宰臣書』などにも記述があります。

しかし、その正体については不明です。

北条九代記』には、より詳しく記されています。

赤白の気三条が西方の天際に現れ、消えた後に赤気の一道が、長さ七尺ばかりに見えて耀いた。

そして、陰陽師の泰貞朝臣が御所に参上しました。

此天変を彗形の気と名付け、俗説に火柱と申習はす。

「昔村上天皇の御宇、康保年中に出現せしこと旧記に載せられ候」

十世紀にも記録があると、報告しています。

娘が人身御供に

火柱には、重い言い伝えがあります。

俗に、大火の前兆である。

そして、こう続きます。

火柱の立った家は、娘が人身御供に成らねばならない。

火柱が立つのは、家の側の落ち度ではありません。

それでも、娘が差し出されます。

天変が、家の運命を決めます。

これは、ただの怪異の話ではありません。

火柱が立ったと言われれば、その家は村の中で立場を失います。

そして、井上円了は別のことを報告しています。

放火の賊が、予め言い触らしていた例です。

火柱が立つと言っておいて、火をつける。

流星か、地震か

火柱の正体については、いくつもの説が出されています。

高井蘭山は『訓蒙天地弁』で、流星だろうとしています。

本朝食鑑の中には、イタチが火柱を立てるという話があります。

武者金吉は、地震との関係を論じました。

昭和6年11月4日の小国地震で目撃された火柱と、昭和13年11月2日の磐城沖地震で見られた光物の共通点です。

地震のときに、光が見えることがあります。

地震発光現象と呼ばれます。

そして、海上での火柱について、榎本祐嗣メタンハイドレートの暴噴を主張しています。

海底から噴き出したガスが燃える。

古い記録が、現代の科学で読み直されています。

火柱の伝承地域

火柱には、訪ねられる伝承地がありません。

空中に赤気が立ち上る怪現象であり、特定の土地に結びついたものではないためです。

記録としては、『吾妻鏡』(仁治元年2月4日)、『北条九代記』、『元正間記』、『益軒先生与宰臣書』などがあります。

『北条九代記』では、赤白の気三条西方の天際に現れたとされます。 場所は西の空、としか書かれていません。

近代の記録としては、昭和6年の小国地震、昭和13年の磐城沖地震で光物が目撃されています。

碑も祠も、この名では見つかっていません。この欄は空のままにしてあります。

火柱の正体と考えられているもの

火柱の正体については、次のように整理できます。

まず、その正体については不明です。 『吾妻鏡』などに記述はありますが、何であったかは書かれていません。

一つめは、天変です。陰陽師の泰貞朝臣は、これを「彗形の気」と名付け、俗説に火柱と申習わすと述べました。 御所に報告されています。

二つめは、流星です。高井蘭山は『訓蒙天地弁』で、流星だろうということにしています。

三つめは、地震の光です。武者金吉は、昭和6年の小国地震昭和13年の磐城沖地震で見られた光物の共通点を論じました。

四つめは、ガスです。海上における地震に伴う火柱について、榎本祐嗣メタンハイドレートの暴噴を主張しています。

五つめは、人の仕業です。井上円了は、放火の賊が予め言い触らしていた例を報告しています。

火柱が何であったかは、わかっていません。 ただ、火柱の立った家は娘が人身御供に成らねばならないという言い伝えは、実際に人を追い詰めたはずです。

火柱をめぐる妖怪のつながり

火柱が登場する作品

火柱は、歴史書に記録された怪異です。

『吾妻鏡』『北条九代記』に載り、陰陽師が朝廷へ報告しています。 妖怪の本より、歴史の記録に多く残りました。

そして、近代以降は地震学の側からも論じられています。

火柱が登場する古典

吾妻鏡

仁治元年2月4日の条に、火柱の記述があります。

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北条九代記

陰陽師・泰貞朝臣が「彗形の気」と名付けた経緯を記します。

訓蒙天地弁

高井蘭山。火柱を流星だろうとしています。

本朝食鑑

イタチが火柱を立てるという話があります。

火柱が登場する研究

妖怪学講義

井上円了。放火の賊が予め言い触らしていた例を報告しています。

妖怪事典

村上健司編著、2000年。各説を整理しています。

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火柱が登場する漫画・アニメ

妖怪をまとめて扱う作品

怪火の一種として、鬼火や火の玉と並べて取り上げられます。

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火柱についてよくある質問

火柱とは何ですか。

空中に赤気が立ち上る姿が、火の柱のように見えるという怪奇現象です。高さは七、八尺ないし数丈で、地上または山上に立つといいます。

どんな意味があるとされましたか。

俗に大火の前兆であるといい、さらに火柱の立った家は、娘が人身御供に成らねばならないという言い伝えがありました。

正体は何ですか。

不明です。 流星(高井蘭山)、地震に伴う光(武者金吉)、メタンハイドレートの暴噴(榎本祐嗣)、放火の賊の言い触らし(井上円了)など、さまざまな説が出されています。

「彗形の気」とは何ですか。

『北条九代記』にある、陰陽師泰貞朝臣が火柱につけた名です。「此天変を彗形の気と名付け、俗説に火柱と申習はす」と述べ、昔村上天皇の御宇、康保年中にも出現したと報告しています。

火柱と併せて覚えたい言葉・用語

赤気(せっき)

空に立ち上る赤い気。火柱の正体とされる語。

人身御供(ひとみごくう)

神への供え物として人を差し出すこと。

地震発光現象(じしんはっこうげんしょう)

地震に伴って空や地面が光る現象。