沖縄で、特定の場所に出る犬の幽霊。人の死霊が乗り移り、二本足で歩いたという話もある。
犬の幽霊とはどんな妖怪か
犬の幽霊はひとことで言えば、人の死霊を乗せた犬です。沖縄県の話です。
国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースは、崎原恒新「沖縄の妖怪変化」(『南島研究』通巻39号、1998年、5頁)を典拠に、次のように記します。
犬の幽霊は特定の場所でよく出る。自宅までついてこられ、精(シー)と取られて死んだという話もある。犬の立吠は、その方向に幽霊がいるとか、不吉が起こるという所もある。犬に人の死霊が乗り移り、牛のような声をあげて2本足で歩きつづけたという話がある。
三つのことが並んでいます。 ついてくる犬、立吠の意味、死霊の乗り移り。
精(シー)は、生命力や魂を指す語とみられます。取られると死ぬと語られました。
犬の立吠は、空に向かって吠えることです。その方向に幽霊がいるとされました。
犬の幽霊の漢字表記と読み方
読みは「いぬのゆうれい」です。
犬そのものの幽霊と、犬に人の死霊が乗り移ったものの両方が記録されています。
沖縄では、犬は死や霊と結び付けて語られてきました。 奄美のインマオも、マブリ(霊魂)を取りに来る犬とされます。
犬の幽霊(いぬのゆうれい)
日文研データベースが示す表記。
イヌノユウレイ(いぬのゆうれい)
同データベースの呼称読み。
犬の幽霊の姿と特徴
記録には、三つの形があります。
形1 … 特定の場所に出る犬の幽霊。自宅までついてくる。精(シー)を取られて死ぬ。
形2 … 犬の立吠。その方向に幽霊がいる。不吉が起こる。
形3 … 犬に人の死霊が乗り移り、牛のような声をあげて二本足で歩きつづけた。
姿の細かい記述はありません。
二本足で歩くという形が、いちばん具体的です。
犬の幽霊の伝承記録
ついてこられ、精を取られる
犬の幽霊は、特定の場所でよく出るとされます。
そして、自宅までついてこられ、精(シー)と取られて死んだという話があります。
精(シー)は、生命力や魂にあたる語とみられます。それを取られれば、命が尽きます。
追い払う方法は記録されていません。
牛の声で、二本足で歩く
もう一つの話は、犬に人の死霊が乗り移ったというものです。
その犬は、牛のような声をあげて、二本足で歩きつづけたといいます。
犬でも人でも牛でもない姿になっています。
そして「歩きつづけた」と書かれています。 倒れも、消えもしません。
見た人がどうなったかは記録されていません。
犬の幽霊の伝承地域
公的データベースの地域欄は沖縄県を示します。
「特定の場所でよく出る」とありますが、場所の名は書かれていません。地図で指せるのは県の範囲までです。
犬の幽霊の正体と考えられているもの
犬の幽霊は、二通りに語られます。
犬そのものの幽霊と、人の死霊が乗り移った犬です。
精(シー)を取るという力を持つとされました。
犬の立吠を凶兆とみる考え方は各地にあります。沖縄では、それが幽霊のいる方向を示すとされました。
南の島々では、犬と死が近く語られます。
犬の幽霊が記録された資料
犬の幽霊を単独で扱った本は見当たりません。読めるのは『南島研究』の記事です。
崎原恒新は沖縄の妖怪や怪談を多く記録した人です。沖縄の妖怪をまとめた本があり、併せて読むと全体像が見えます。
犬の幽霊が記録された民俗資料
沖縄の妖怪変化
崎原恒新が『南島研究』通巻39号(1998年)に載せた中心資料です。
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犬の幽霊についてよくある質問
犬の幽霊とは何ですか。
沖縄で、特定の場所に出るとされた幽霊です。人の死霊が犬に乗り移る話も記録されています。
精(シー)とは何ですか。
生命力や魂にあたる語とみられます。取られると死ぬと語られました。
犬の立吠とは何ですか。
空に向かって吠えることです。その方向に幽霊がいる、不吉が起こるとされました。
二本足で歩く話とは何ですか。
人の死霊が乗り移った犬が、牛のような声をあげて二本足で歩きつづけたという話です。
犬の幽霊と併せて覚えたい言葉・用語
精(シー)(しー)
生命力や魂にあたる語。取られると死ぬとされました。
立吠(たてぼえ)
空に向かって吠えること。凶兆とされました。
インマオ(いんまお)
奄美の犬。マブリ(霊魂)を取りに来るとされます。
犬の幽霊の参考資料
この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。