福島県いわき市で、正月15日の鳥小屋の煙を通して西の空に拝まれるという老夫婦の後姿。

正月様とはどんな妖怪か
正月様はひとことで言えば、煙越しに見送る神の後姿です。福島県いわき市の話です。
国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースは、柳田國男「年中行事調査標目(十二)」(『旅と伝説』7巻4号・通巻76号、1934年、76〜77頁)を典拠に、春来る神を正月様といい、正月15日、鳥小屋の火を焚くと、この煙を通して、西の空に高砂の尉と姥のような、老夫婦の後姿が拝まれるというと記します。話者は高木誠一です。
鳥小屋は、小正月に子どもたちが作り、燃やす小屋です。各地の左義長(どんど焼き)にあたります。
見えるのは後姿です。 帰ってゆく姿ということになります。
高砂の尉と姥は、能「高砂」に出る老夫婦で、めでたさの象徴です。
正月様の漢字表記と読み方
読みは「しょうがつさま」です。データベースの読み欄は歴史的仮名遣いで「シャウガツサマ」と記します。
正月様は、春来る神とされます。年の初めに家々を訪れる神です。
歳神(としがみ)と呼ぶ土地もあります。ここでは老夫婦の姿で語られています。
正月様(しょうがつさま)
日文研データベースが示す漢字表記。
シャウガツサマ(しょうがつさま)
同データベースの呼称読み(歴史的仮名遣い)。
正月様の姿と特徴
正月様の姿は、はっきり記録されています。
時 … 正月15日。
きっかけ … 鳥小屋の火を焚く。
見る道筋 … その煙を通して。
方角 … 西の空。
姿 … 高砂の尉と姥のような、老夫婦の後姿。
顔は見えません。 後姿だけが拝まれるとされます。
正月様の伝承記録
鳥小屋の煙を通して
正月15日は小正月です。
子どもたちが作った鳥小屋に火を焚きます。
煙が立ちのぼります。
その煙を通して見ると、西の空に姿が拝まれるといいます。
煙が、見るための道筋になっています。
火を焚く行事と、神を見る行いが結び付いています。
高砂の尉と姥
見えるのは、高砂の尉と姥のような、老夫婦の後姿です。
高砂の尉と姥は、能「高砂」に出る老夫婦です。熊手と箒を持ち、長寿とめでたさの象徴とされます。
そして、後姿です。
正月様は、帰ってゆくところということになります。
小正月は、年神を送る日でもあります。姿と行事が合っています。
正月様の伝承地域
公的データベースの地域欄は福島県いわき市を示します。
話者の高木誠一は、いわきの民俗を記録した人です。柳田國男が、その話を書き留めました。
正月様の正体と考えられているもの
正月様は、春来る神とされます。年の初めに家々を訪れる神です。
歳神と呼ぶ土地もありますが、この記録は老夫婦の姿で語ります。
怪異というより、行事の中で拝まれるものです。
この図鑑が収めるのは、煙を通して姿が見えるという点です。見るための条件が決まっています。
この図鑑には、火と煙に関わる話として、和歌山の七人塚の青い火も収めています。
正月様が記録された資料
正月様を単独で扱った本は見当たりません。読めるのは柳田國男の記事です。
年中行事を調べるための項目を並べた連載で、各地の報告が添えられています。柳田國男全集にも収められています。
正月様が記録された民俗資料
年中行事調査標目(十二)
柳田國男が『旅と伝説』7巻4号(1934年)に載せた中心資料です。
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正月様についてよくある質問
正月様とは何ですか。
福島県いわき市で春来る神をこう呼びます。正月15日に老夫婦の後姿が拝まれるとされました。
どうすれば見えるのですか。
鳥小屋の火を焚き、その煙を通して西の空を見ると拝まれると記録されています。
鳥小屋とは何ですか。
小正月に子どもたちが作って燃やす小屋です。各地の左義長(どんど焼き)にあたります。
高砂の尉と姥とは何ですか。
能「高砂」に出る老夫婦です。長寿とめでたさの象徴とされます。
正月様と併せて覚えたい言葉・用語
鳥小屋(とりごや)
小正月に子どもたちが作って燃やす小屋です。
小正月(こしょうがつ)
正月15日。年神を送る日とされます。
高砂の尉と姥(たかさごのじょうとうば)
能「高砂」に出る老夫婦。長寿の象徴です。
正月様の参考資料
この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。