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愛知県

二龍松(にりゅうのまつ)とはどんな妖怪か|姿と伝承・登場する作品

二龍松  / ニリュウノマツ

器物と草木 怪談・百物語

長興寺の門前の松が二人の童子に化け、災いを防ぐ書き付けを残した。

二龍松の姿を描いた図

山岡元隣 「古今百物語評判 二龍松」 1686年ごろ / パブリックドメイン 出典

二龍松とはどんな妖怪か

二龍松は、三河国(愛知県東部)に伝わる変身譚です。

石川鴻斎の『夜窓鬼談』によると、三河国にある長興寺に伝承が伝わっています。

門前の松の話です。

長興寺の門前に生えていた「二龍松」と呼ばれる一対の松の木が、2人の童子に姿を変えました。

二本の松が、二人の童子になります。

そして、頼みごとをします。

住職に硯と紙を求めたのです。

書くためです。

住職が童子たちに硯と紙を与えると、童子たちは大層喜びました。

二龍松の漢字表記と読み方

読みは「にりゅうのまつ」です。

二匹の龍の松、という名です。

一対の松でした。

曲がりくねった姿を、龍にたとえたのでしょう。

古い松は、幹や枝が龍のように見えることがあります。

そして、この名は寺の門前にありました。

長興寺は、三河国加茂郡にある寺です。

古今百物語評判』では「参州加茂郡長興寺門前の松童子にばけたる事」として記されています。

参州は、三河国の別の言い方です。

二龍松(にりゅうのまつ)

もっとも一般的な表記。

二龍の松(にりゅうのまつ)

送り仮名を入れた形。

二龍松の姿と特徴

二龍松の姿は、二つあります。

もとの姿
一対の松の木。門前に生えていた。

化けた姿
2人の童子

童子は、子どもの姿です。

そして、書きます。

漢詩とおぼしき文章を走り書きで紙に記しました

走り書きです。

その文章が、記録に残っています。

客路三川風露秋 袈裟一角事二勝遊 二龍松樹千年寺 古殿苔深僧白頭

二龍松の伝承物語

  1. 硯と紙を求める
  2. 寺に安置される
  3. 木が化けるという話

硯と紙を求める

二龍松の童子は、道具を求めました。

住職に硯と紙を求めたのです。

書くためです。

住職は、応じました。

住職が童子たちに硯と紙を与えると、童子たちは大層喜びました

大層喜びます。

そして、書きました。

漢詩とおぼしき文章を走り書きで紙に記したといいます。

走り書きです。

書き終えて、言いました。

これでこの寺に災いが降りかかることは無いだろう

守りの言葉です。

そして、再び、松の木に戻りました

寺に安置される

童子たちが残したものは、寺の宝になりました。

残された書き付けは寺に安置され、長らく人々の崇敬を集めました

拝まれました。

内容が、記録されています。

古今百物語評判』によれば、松の木の童子たちが書いた文章はこうです。

客路三川風露秋 袈裟一角事二勝遊
二龍松樹千年寺 古殿苔深僧白頭

漢詩の形をとっています。

「二龍松樹千年寺」の一句に、自らの名があります。

千年の寺の、二龍の松という意味に読めます。

そして「古殿苔深僧白頭」。

古い御堂は苔が深く、僧の頭は白いという景です。

木が化けるという話

この話は、木が化ける型に属します。

長興寺の門前に生えていた一対の松の木が、2人の童子に姿を変えました

木が人になります。

日本には、同じ型の話が多くあります。

古椿の霊古杣芭蕉精 どれも、古い木や草が姿を得ます。

そして、二龍松には特徴があります。

害をなさないという点です。

むしろ、寺を守りました。

これでこの寺に災いが降りかかることは無いだろう

書き付けを残して帰りました。

化けたものが、人の側に立つという珍しい形です。

そのため、書き付けは崇敬を集めました。

二龍松の伝承地域

二龍松は、三河国(愛知県東部)の長興寺に伝わります。

古今百物語評判』では「参州加茂郡長興寺門前の松童子にばけたる事」として記されています。

参州は三河国、加茂郡は現在の愛知県豊田市の一帯にあたります。

松そのものや書き付けがいま残っているかは確かめられていません

訪ねる際は、寺や自治体の案内をご確認ください。この欄は空のままにしてあります。

二龍松の正体と考えられているもの

二龍松については、次のように整理できます。

一つめは、化けた松です。長興寺の門前に生えていた「二龍松」と呼ばれる一対の松の木が、2人の童子に姿を変えました

二つめは、硯と紙です。童子たちは住職に硯と紙を求め、与えられると大層喜び漢詩とおぼしき文章を走り書きで紙に記しました

三つめは、守りの言葉です。これでこの寺に災いが降りかかることは無いだろう」と言って、再び松の木に戻りました

四つめは、書き付けです。残された書き付けは寺に安置され、長らく人々の崇敬を集めました 文章は『古今百物語評判』に記録されています。

五つめは、木が化ける型です。古椿の霊古杣と同じく、古い木が姿を得る話ですが、害をなさず、寺を守った点が違います。

この話は、化けたものが人を助ける例です。 残った書き付けが、話の証しになりました。

二龍松をめぐる妖怪のつながり

二龍松が登場する作品

二龍松は、書き付けを残した話です。

化けた松が漢詩を書き、寺を守ると言って帰りました。 その紙が寺に安置され、崇敬を集めました。

資料は江戸の怪談本と、明治の漢文怪談集に分かれます。

二龍松が登場する古典

古今百物語評判

江戸前期の怪談本。「参州加茂郡長興寺門前の松童子にばけたる事」として記されます。

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夜窓鬼談

石川鴻斎。長興寺に伝わる二龍松の伝承を記します。

二龍松が登場する研究

妖怪事典

村上健司編著、2000年。三河の変身譚として整理しています。

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二龍松が登場する漫画・アニメ

妖怪をまとめて扱う作品

木の精として、古椿の霊や芭蕉精と並べて取り上げられます。

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二龍松についてよくある質問

二龍松とは何ですか。

長興寺の門前に生えていた「二龍松」と呼ばれる一対の松の木が、2人の童子に姿を変えたという三河国の変身譚です。

童子たちは何をしたのですか。

住職に硯と紙を求め、与えられると大層喜び、漢詩とおぼしき文章を走り書きで紙に記しました そして「これでこの寺に災いが降りかかることは無いだろう」と言って再び松の木に戻りました

書き付けはどうなりましたか。

寺に安置され、長らく人々の崇敬を集めました 文章は『古今百物語評判』に記録されています。

どんな文章ですか。

客路三川風露秋 袈裟一角事二勝遊 二龍松樹千年寺 古殿苔深僧白頭と記されています。

二龍松と併せて覚えたい言葉・用語

長興寺(ちょうこうじ)

三河国加茂郡の寺。門前に二龍松があった。

参州(さんしゅう)

三河国の別の言い方。

夜窓鬼談(やそうきだん)

石川鴻斎による漢文の怪談集。