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全国に伝わるもの

画霊(がれい)とはどんな妖怪か|姿と伝承・登場する作品

画霊  / ガレイ

器物と草木 怪談・百物語

屏風の女が抜け出す。顔に紙を貼ると同じ顔になった。

画霊とはどんな妖怪か

画霊は、江戸の随筆にある怪異です。

藤原家孝による文政時代の日本の随筆『落栗物語』前編にあります

人物画に画家の執念が乗り移るといわれるものです。

話は、屏風から始まります。

その昔、勧修寺という宰相家に、女性の絵が描かれたぼろぼろの屏風がありました

ぼろぼろでした。

それを、貸し出します。

あるとき、穂波殿の侍所からその屏風の借用を依頼され、勧修寺は快く貸し出しました

すると、変わったことが起きます。

穂波殿の屋敷近辺で怪しげな女性が出没するようになりました

画霊の漢字表記と読み方

読みは「がれい」です。

絵の霊、という形の名です。

絵に宿るものを指しています。

人物画に画家の執念が乗り移るといわれるものです。

描いた人の執念です。

この話の絵師の名も出てきます。

江戸時代に画家として名を馳せた土佐光起です。

そして、後年の解釈があります。

妖怪研究家・多田克己はこれを、絵画が古くなって修復が必要となった際、修復せずに放っておくと、絵の中の人物が警告を促すものとしています。

付喪神器物が変化した妖怪の一種と解釈しています

画霊(がれい)

もっとも一般的な表記。

落栗物語(おちぐりものがたり)

この話を載せる随筆の名。

画霊の姿と特徴

画霊の姿は、屏風に描かれた女です。

女性の絵が描かれたぼろぼろの屏風がもとです。

その女が、抜け出します。

怪しげな女性が出没するようになったといいます。

そして、絵と連動していました。

絵に描かれた女性の顔に細長い紙を貼り付けてみたところ、現れる女性も顔に細長い紙を付けていました

顔に紙です。

絵と同じ姿になります。

女性は屏風のもとまで移動して姿を消したといいます。

画霊の伝承物語

  1. 跡をつけると屏風で消えた
  2. 顔に紙を貼ると同じ顔
  3. 直したら出なくなった

跡をつけると屏風で消えた

穂波殿では、女が出るようになりました。

穂波殿の屋敷近辺で怪しげな女性が出没するようになりました

屋敷のまわりです。

そこで、跡をつけます。

あるときに女性を目撃した者が、その跡をつけてみると、女性は屏風のもとまで移動して姿を消しました

屏風で消えました。

屋敷の側は、返すことにします。

穂波殿では屏風を気味悪がり、もとの勧修寺へ返却しました

返しました。

ところが、収まりませんでした。

すると今度は勧修寺の方にも、その女性が現れるようになりました

屏風について移りました。

顔に紙を貼ると同じ顔

誰かが、確かめました。

屏風を怪しんだある者が、絵に描かれた女性の顔に細長い紙を貼り付けてみました

紙を貼りました。

そして、その夜です。

現れる女性も顔に細長い紙を付けていました

同じ顔でした。

これで、屏風のせいだとはっきりします。

細長い紙という、目立つ印を使っています。

偶然では説明できません。

いよいよ屏風を怪しんだ勧修寺では、絵師にその屏風の調査を依頼しました

専門家に見せました。

直したら出なくなった

絵師の見立ては、意外なものでした。

すると絵師が言うには、その屏風の絵は江戸時代に画家として名を馳せた土佐光起のものであり、貴重なものだということでした

貴重な絵でした。

ぼろぼろのまま置かれていました。

そこで、直します。

勧修寺は絵を修復し、大切に保管することにしました

修復しました。

それ以来、あの女性が現れることはありませんでした

出なくなりました。

この筋から、解釈が導かれています。

多田克己はこれを、絵画が古くなって修復が必要となった際、修復せずに放っておくと、絵の中の人物が警告を促すものとし、
付喪神(器物が変化した妖怪)の一種と解釈しています

画霊の伝承地域

画霊は、藤原家孝による文政時代の随筆『落栗物語』前編にある怪異です。

勧修寺という宰相家と、
穂波殿の侍所が舞台です。

どちらも公家の家です。

屏風の絵は土佐光起のものとされました。

屋敷の場所は特定できず、この名で祀られた社や碑も確かめられていません。この欄は空のままにしてあります。

画霊の正体と考えられているもの

画霊については、次のように整理できます。

一つめは、出どころです。藤原家孝による文政時代の日本の随筆『落栗物語』前編にある怪異で、人物画に画家の執念が乗り移るといわれるものです。

二つめは、屏風です。勧修寺という宰相家に、女性の絵が描かれたぼろぼろの屏風がありました

三つめは、移ることです。穂波殿の屋敷近辺で怪しげな女性が出没し、返却すると今度は勧修寺の方にも、その女性が現れるようになりました

四つめは、紙です。絵に描かれた女性の顔に細長い紙を貼り付けてみたところ、現れる女性も顔に細長い紙を付けていました

五つめは、修復です。その屏風の絵は江戸時代に画家として名を馳せた土佐光起のものであり、勧修寺は絵を修復し、大切に保管することにしそれ以来、あの女性が現れることはありませんでした

この怪異は、直してほしいという知らせでした。 多田克己は、付喪神の一種と解釈しています。

画霊をめぐる妖怪のつながり

画霊が登場する作品

画霊は、直してほしいという知らせです。

屏風から女が抜け出し、修復したら出なくなりました。

資料は江戸の随筆に集まります。

画霊が登場する古典

落栗物語

藤原家孝、文政時代。前編にこの話があります。

画霊が登場する研究

多田克己の論考

付喪神の一種と解釈しています。

妖怪事典

村上健司編著、2000年。器物の怪異を整理しています。

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画霊が登場する漫画・アニメ

付喪神を扱う作品

絵から抜け出す怪異として取り上げられます。

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画霊についてよくある質問

画霊とは何ですか。

藤原家孝による文政時代の日本の随筆『落栗物語』前編にある怪異で、人物画に画家の執念が乗り移るといわれるものです。

何が起きたのですか。

穂波殿の屋敷近辺で怪しげな女性が出没するようになり跡をつけてみると、女性は屏風のもとまで移動して姿を消しました

屏風のせいだとどうしてわかったのですか。

絵に描かれた女性の顔に細長い紙を貼り付けてみたところ、現れる女性も顔に細長い紙を付けていました

どうやって収まったのですか。

勧修寺は絵を修復し、大切に保管することにしそれ以来、あの女性が現れることはありませんでした

画霊と併せて覚えたい言葉・用語

屏風(びょうぶ)

部屋を仕切るために立てる、折りたたみ式の板。

土佐光起(とさみつおき)

江戸時代の画家。土佐派を再興した。

宰相家(さいしょうけ)

参議を出す家柄の公家。