福井県池田町で、夜ごと雌岩を呼び、経文を刻まれて黙ったという岩。

Hirorinmasa 「池田町役場(福井県今立郡池田町稲荷)」 2011年 / CC BY-SA 3.0 出典
雄岩とはどんな妖怪か
雄岩はひとことで言えば、呼ぶのをやめさせられた岩です。福井県今立郡池田町の話です。
国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースは、東洋大学民俗研究会「九 口承文芸」(『福井旧上池田村の民俗』昭和43年度号、1968年、179頁)を典拠に、坂ノ下川のほとりの雄岩は、昔は山上で雌岩と重なっていたが、300年以上前に地震で落ちてしまい、それ以来夜中になると「オーイ、オーイ」と雌岩を呼んでいた。そこで粟田郡の大門の長者という男が雄岩に矢を打ち込み、南無妙法蓮華経の字を刻んで黙らせた。以来、雌岩のそばを尼千人が通ると落ちてくるといわれていたが、まだ落ちてこないと記します。
黙らせ方が二つ重なっています。
矢を打ち込み、 南無妙法蓮華経の字を刻んでいます。
雄岩の漢字表記と読み方
読みは「おすいわ」です。
南無妙法蓮華経は、法華経に帰依することを表す題目です。
尼千人が通ると落ちるという言い方は、まず起こらない条件を示します。
この図鑑には女夫石(大分)も収めています。どちらも対になった岩の話です。
雄岩(おすいわ)
日文研データベースが示す呼称。
雌岩(めすいわ)
山上に残ったとされるもう一つの岩です。
雄岩の姿と特徴
雄岩の姿は、記録に短く書かれています。
場所 … 坂ノ下川のほとり。
もとの場所 … 山上で雌岩と重なっていた。
落ちた時期 … 三百年以上前の地震。
その後の様子 … 夜中になると「オーイ、オーイ」と雌岩を呼んだ。
黙らせた人 … 粟田郡の大門の長者という男。
したこと … 矢を打ち込み、南無妙法蓮華経の字を刻んだ。
雌岩は、尼千人が通ると落ちるといわれ、まだ落ちてきません。
雄岩の伝承記録
地震で落ちる
坂ノ下川のほとりの雄岩は、昔は山上で雌岩と重なっていました。
300年以上前に地震で落ちてしまいました。
夜ごと呼ぶ
それ以来、夜中になると「オーイ、オーイ」と雌岩を呼んでいました。
言葉ではありません。
呼び声だけです。
題目を刻んで黙らせる
粟田郡の大門の長者という男が雄岩に矢を打ち込み、南無妙法蓮華経の字を刻んで黙らせました。
以来、雌岩のそばを尼千人が通ると落ちてくるといわれていましたが、まだ落ちてきません。
声は止み、落ちる話だけが残りました。
雄岩の伝承地域
公的データベースの地域欄は福井県今立郡池田町を示します。
池田町は足羽川の上流の山あいにあたります。
雄岩の正体と考えられているもの
雄岩は、声を止められた岩です。
祟りという語は使われていません。 記されているのは、呼んでいたことと、黙らせたことです。
それでも、まだ落ちてこないと結ばれています。
この図鑑には女夫石(大分)も収めています。
雄岩が登場する作品
雄岩を単独で扱った本は見当たりません。読めるのは調査報告です。
対になった岩の話は各地にあり、離れると呼び合う形をとることがあります。この図鑑には女夫石(大分)も収めています。
雄岩が登場する調査報告
福井旧上池田村の民俗
東洋大学民俗研究会の1968年の調査報告です。
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雄岩についてよくある質問
雄岩とは何ですか。
福井県池田町の坂ノ下川のほとりにあり、雌岩を呼んだと伝わる岩です。
なぜ落ちましたか。
三百年以上前の地震で落ちたと記録されています。
どう黙らせましたか。
矢を打ち込み、南無妙法蓮華経の字を刻んだとされます。
雌岩はどうなりますか。
尼千人が通ると落ちるといわれ、まだ落ちてこないとされます。
雄岩と併せて覚えたい言葉・用語
南無妙法蓮華経(なむみょうほうれんげきょう)
法華経に帰依することを表す題目です。
長者(ちょうじゃ)
土地の有力者や金持ちのことです。
池田町(いけだちょう)
福井県今立郡の町。足羽川の上流です。
雄岩の参考資料
この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。