伐られる前夜に別れを告げた男。歌えば木が動いた。

柳の精とはどんな妖怪か
柳の精は、ヤナギの怪異です。
日本に伝わるヤナギの怪異です。
山梨県の話が、よく知られています。
善光寺の本堂を建てるため、数百年を経ても朽ちない古柳が伐られることに決まりました。
数百年の古柳です。
その夜、男が別れを告げます。
その夜、隣里の農家の娘に2年通っていた男が、自分が実は古柳の精であり明日伐られることを告げて消えました。
二年通っていた男でした。
柳の精の漢字表記と読み方
読みは「やなぎのせい」です。
柳に宿る精、という形の名です。
柳の怪異は、各地にあります。
柳婆(茨城県)は、美女や老婆に化けました。
そちらは、人を惑わす話です。
こちらは、恋の話になっています。
隣里の農家の娘に2年通っていた男でした。
そして、正体を明かして消えます。
富山県では、まったく違う話になります。
柳の精(やなぎのせい)
もっとも一般的な表記。
十六谷(じゅうろくだに)
富山県の、十六人の樵にちなむ地名。
柳の精の姿と特徴
柳の精の姿は、男です。
隣里の農家の娘に2年通っていた男でした。
二年通いました。
正体を明かすまで、わかりませんでした。
自分が実は古柳の精であり明日伐られることを告げて消えました。
富山県では、女の精です。
婦柳の精が出ます。
夫婦の柳のうち、妻のほうです。
柳の精の伝承物語
明日伐られると告げて消えた
話は、寺の造営から始まります。
善光寺の本堂を建てるため、数百年を経ても朽ちない古柳が伐られることに決まりました。
数百年の古柳です。
朽ちない木でした。
その夜、男が来ます。
隣里の農家の娘に2年通っていた男が、自分が実は古柳の精であり明日伐られることを告げて消えました。
二年通った男でした。
娘には、初めて聞く話でした。
そして、頼みごとを残しました。
今様を歌うと動いた
翌日、柳は伐られました。
翌日伐られた柳は数千人でも動かせずといいます。
数千人でも動きません。
運べませんでした。
そこで、娘が出ます。
娘が昨夜の男の頼み通り今様を歌うと動いて難なく善光寺に至りました。
今様は、当時の流行歌です。
歌うと、動きました。
難なく寺まで着きました。
男の頼みは、そのためのものでした。
別れの夜に、運び方を教えていったことになります。
富山の十六谷
富山県には、恐ろしい話が残ります。
十六人の樵が谷にあった夫婦柳の夫柳を伐り倒したといいます。
夫婦の柳です。
そのうち、夫のほうを伐りました。
その夜、報いが来ます。
夜半、婦柳の精に襲われ、舌を抜かれて死んでしまったという伝承があります。
十六人が死にました。
舌を抜かれています。
そして、地名になりました。
十六谷という地名の由来となったと言われています。
山梨は別れ、富山は仕返しです。
柳の精の伝承地域
柳の精は、山梨県と富山県に伝わります。
山梨県 … 善光寺の本堂を建てるため、数百年を経ても朽ちない古柳が伐られることに決まったとされます。
富山県 … 十六人の樵が谷にあった夫婦柳の夫柳を伐り倒したといい、十六谷という地名の由来となったと言われています。
訪ねる際は、現地の案内をご確認ください。
甲斐善光寺(かいぜんこうじ)
本堂を建てるため柳が伐られたと伝わる寺
甲斐善光寺の所在地:山梨県甲府市善光寺3-36-1
武田信玄が創建した浄土宗の寺です。
本堂と山門は国の重要文化財です。
撞木造りの本堂は東西約38メートル・南北約23メートル・高さ約26メートルで、東日本最大級の木造建築です。
柳の精の正体と考えられているもの
柳の精については、次のように整理できます。
一つめは、山梨の話です。善光寺の本堂を建てるため、数百年を経ても朽ちない古柳が伐られることに決まりました。
二つめは、別れです。隣里の農家の娘に2年通っていた男が、自分が実は古柳の精であり明日伐られることを告げて消えました。
三つめは、今様です。翌日伐られた柳は数千人でも動かせず、娘が昨夜の男の頼み通り今様を歌うと動いて難なく善光寺に至りました。
四つめは、富山の話です。十六人の樵が谷にあった夫婦柳の夫柳を伐り倒した所、夜半、婦柳の精に襲われ、舌を抜かれて死んでしまったといいます。
五つめは、地名です。十六谷という地名の由来となったと言われています。
同じ柳の精で、正反対の話です。 山梨は別れ、富山は仕返しになっています。
柳の精をめぐる妖怪のつながり
柳の精が登場する作品
柳の精は、別れと仕返しの二つの話です。
山梨では歌で木が動き、富山では十六人が舌を抜かれました。
資料は山梨と富山の民俗の記録に分かれます。
柳の精が登場する漫画・アニメ
木の妖怪を扱う作品
柳婆や木霊と並べて取り上げられます。
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柳の精についてよくある質問
柳の精とは何ですか。
日本に伝わるヤナギの怪異です。
山梨の話とは何ですか。
隣里の農家の娘に2年通っていた男が、自分が実は古柳の精であり明日伐られることを告げて消えました。
柳はどうやって運ばれたのですか。
数千人でも動かせず、娘が昨夜の男の頼み通り今様を歌うと動いて難なく善光寺に至りました。
富山の話とは何ですか。
十六人の樵が夫婦柳の夫柳を伐り倒した所、夜半、婦柳の精に襲われ、舌を抜かれて死んでしまったといいます。
柳の精と併せて覚えたい言葉・用語
今様(いまよう)
平安時代からの流行歌。
樵(きこり)
山で木を伐る人。
善光寺(ぜんこうじ)
山梨県甲府市にある寺。