糸取り車を回す老婆に化ける。本体は老婆ではなく行灯。
糸取り狢とはどんな妖怪か
糸取り狢の漢字表記と読み方
読みは「いととりむじな」です。
糸を取るムジナ、という名です。
「糸取り」は、繭から糸を引くことです。
糸取り車を回している老婆の姿で現れます。
ムジナは、アナグマのことです。
土地によってはタヌキを指すこともあります。
この話でも、揺れがあります。
山梨ではムジナ、
岩手の類話では老いた狸が正体でした。
どちらも、人に化ける獣です。
糸取り狢(いととりむじな)
もっとも一般的な表記。
糸取り車(いととりぐるま)
繭から糸を引く道具。
糸取り狢の姿と特徴
糸取り狢の姿は、老婆です。
行灯を携えて糸取り車を回している老婆の姿で現れます。
行灯を持っています。
糸取り車を回しています。
ところが、老婆は本体ではありません。
本体は老婆ではなくこの行灯の方であるといいます。
行灯が本体です。
正体は、獣でした。
行灯の方を撃ったところ、悲鳴と共にムジナが飛び出しましたといいます。
ムジナです。
糸取り狢の伝承物語
老婆を撃っても手ごたえがない
猟師は、山小屋で出会いました。
鳳凰山の山小屋を訪れた猟師がこの妖怪に遭遇しました。
山小屋です。
まず、老婆を狙いました。
老婆の方を猟銃で撃ったが手ごたえが無かったといいます。
当たりませんでした。
そこで、狙いを変えます。
行灯の方を撃ったところ、悲鳴と共にムジナが飛び出しました。
行灯が本体でした。
明かりのほうを狙うのが正解でした。
本体は老婆ではなくこの行灯の方であるという点が、この妖怪の要です。
岩手では侍が次々に消えた
よく似た話が、岩手県にあります。
昔、沢内村(現・西和賀町)に入る街道の橋の袂にいつしか一軒の家が現れ、そこに化物が出るという噂が立ちました。
急に家が現れました。
弓の得意な侍が行きます。
ある弓の得意な侍が退治に行ったところ、白髪の老婆が行灯を携えて針仕事をしていました。
同じ形です。
侍が矢を放つと老婆はやすやすと矢を手で掴みました。
掴まれました。
何本矢を放っても同じで、それきり侍の行方はわからなくなりました。
それを聞いた弓の達人たちが次々に化物退治に向かったが、誰1人帰ることはありませんでした。
将を射んとすればまず馬を射よ
最後に残ったのは、弓の下手な侍でした。
残るは弓には自信がないものの日頃から書に親しんでいる侍でした。
本を読む侍です。
気が進まないまま件の家へ向かう途中、ふと「将を射んとすればまず馬を射よ」の言葉が頭に浮かびました。
将を射るなら、まず馬を射ます。
そこで、二本続けて放ちます。
化物の老婆と対峙した侍は、老婆に矢を放ち、老婆が矢を掴むやいなや、続け様に行灯を矢で射抜きました。
掴んだ隙に、行灯を射ました。
悲鳴と共に行灯が倒れ、灯りが消えました。
そして、翌日確かめます。
次の日に侍がその場所へ行くと、家はなく、老いた狸が矢に貫かれて死んでいました。
糸取り狢の伝承地域
糸取り狢は、山梨県の鳳凰山に伝わります。
鳳凰山の山小屋が舞台です。
鳳凰山は、南アルプスの山です。
同じ形の話は、岩手県にもあります。
沢内村(現・西和賀町)に入る街道の橋の袂です。
山小屋の場所は確かめられていません。この欄は空のままにしてあります。
糸取り狢の正体と考えられているもの
糸取り狢については、次のように整理できます。
一つめは、正体です。老いたムジナが化けたものです。
二つめは、姿です。行灯を携えて糸取り車を回している老婆の姿で現れます。
三つめは、本体です。本体は老婆ではなくこの行灯の方であるといいます。
四つめは、猟師です。老婆の方を猟銃で撃ったが手ごたえが無く、行灯の方を撃ったところ、悲鳴と共にムジナが飛び出しました。
五つめは、岩手の類話です。弓の達人たちが次々に化物退治に向かったが、誰1人帰ることはなく、書に親しんでいる侍が「将を射んとすればまず馬を射よ」を思い出し、続け様に行灯を矢で射抜きました。
この妖怪は、目立つほうが囮です。 明かりのほうを狙うのが正解でした。
糸取り狢をめぐる妖怪のつながり
糸取り狢が登場する作品
糸取り狢は、囮を見抜く話です。
老婆ではなく行灯が本体で、明かりを撃つと獣が飛び出しました。
資料は山梨と岩手の民俗の記録に分かれます。
糸取り狢が登場する研究
糸取り狢が登場する漫画・アニメ
化け狢を扱う作品
老婆に化ける獣として取り上げられます。
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糸取り狢についてよくある質問
糸取り狢とは何ですか。
山梨県の鳳凰山に伝わる妖怪で、老いたムジナが化けたものです。
どんな姿ですか。
行灯を携えて糸取り車を回している老婆の姿で現れます。
本体はどこですか。
本体は老婆ではなくこの行灯の方であるといいます。
岩手の類話とは何ですか。
書に親しんでいる侍が「将を射んとすればまず馬を射よ」を思い出し、老婆が矢を掴むやいなや、続け様に行灯を矢で射抜き、老いた狸が矢に貫かれて死んでいました。
糸取り狢と併せて覚えたい言葉・用語
ムジナ(むじな)
アナグマのこと。土地によってはタヌキを指す。
行灯(あんどん)
紙を張った枠の中に油皿を置く明かり。
糸取り車(いととりぐるま)
繭から糸を引く道具。