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徳島県

麻桶の毛(あさおけのけ)とはどんな妖怪か|姿と伝承・登場する作品

麻桶の毛  / アサオケノケ

器物と草木 各地の伝説

神体の麻桶に入れられた毛。伸びて人を締め上げる。

麻桶の毛とはどんな妖怪か

麻桶の毛は、阿波に伝わる妖怪です。

阿波(現在の徳島県三好郡加茂村に現れたとされます

徳島の古書『阿州奇事雑話』に記載があります

正体は、神社の神体です。

加茂村の彌都比売神社(やつひめ)神社の神体の麻桶に入れられた毛がその正体であるといいます。

文献によっては弥都波能売(みつはのめ)神社ともされます。

そして、条件があります。

神社に奉られている神の心が穏やかでないときに、その毛が長く伸びて麻桶から出て人を襲いだすといいます。

麻桶の毛の漢字表記と読み方

読みは「あさおけのけ」です。

麻桶は、紡いだ麻糸を入れる桶です。

その中の毛、という名です。

別の読み方もあります。

妖怪漫画家・水木しげるの著書では「麻桶毛」(まゆげ)の題で記載されています

「まゆげ」と読ませています。

そこでは大きな毛の塊のような姿で人を襲う様子が描かれています

そして、神の名にも揺れがあります。

彌都比売(やつひめ)とも、
弥都波能売(みつはのめ)とも記されます。

後者は、水の神の名です。

麻桶の毛(あさおけのけ)

もっとも一般的な表記。

麻桶毛(まゆげ)

水木しげるの著書での題。

彌都比売神社(やつひめじんじゃ)

神体のある神社の名。

弥都波能売神社(みつはのめじんじゃ)

文献によってはこの名で記される。

麻桶の毛の姿と特徴

麻桶の毛の姿は、毛そのものです。

神体の麻桶に入れられた毛です。

ふだんは、桶の中にあります。

動くときが決まっています。

神社に奉られている神の心が穏やかでないときに、その毛が長く伸びて麻桶から出て人を襲いだすといいます。

伸びます。

そして、分かれます。

1本の毛が山賊の人数分に裂けたといいます。

戦後の絵では、塊になっています。

水木しげるの著書では大きな毛の塊のような姿で人を襲う様子が描かれています

麻桶の毛の伝承物語

  1. 盗品を分けていたところへ
  2. 翌朝、追っ手に捕えられた
  3. 毛を神体とする社は各地にある

盗品を分けていたところへ

『阿州奇事雑話』には、山賊の話があります。

かつて近隣の村を荒らし回っていた山賊がいました。

荒らし回っていました。

そして、神社に集まります。

ある晩に神社の祠に集まって盗品を分配していました

盗んだものを分けていました。

そのとき、動きました。

気づかぬ内にこの神体の毛が長く伸びて麻桶の蓋を突き上げました

蓋を突き上げました。

そして、分かれます。

1本の毛が山賊の人数分に裂け、山賊たちを締め上げました

人数分に裂けています。

翌朝、追っ手に捕えられた

締め上げられた山賊は、動けませんでした。

そのまま山賊たちはどうすることもできず、翌朝追っ手に捕えられてしまいました

朝まで、そのままでした。

神社が、捕り物をしたことになります。

そして、条件が効いています。

神社に奉られている神の心が穏やかでないときに、その毛が長く伸びて麻桶から出て人を襲いだすといいます。

神が怒っていたときでした。

盗品を祠で分けたことが、その理由でしょう。

毛は、神の手として働いています。

神体は、神が宿るとされるものです。

この話では、それが直接に動きました。

毛を神体とする社は各地にある

毛を神体とする事例は、ほかにもあります。

埼玉県です。

埼玉県草加市新里町の毛長神社では、
6メートルもの長さの髪を持つ女性が人々の幸せを祈りつつ入水したといい、その髪が毛長神社の神体になったと伝えられます。

六メートルの髪です。

ただし、失われました。

この毛は箱に納められて神体として祀られていたものの、あるときに不浄の物と見なされて、大水のときに流されてしまったといわれます。

別の説もあります。

この毛長神社の毛は素戔嗚尊の妹姫の髪とも、新里のある女性が男性との悲恋から毛長川に身を投げ、後に川から長い髪が見つかったものともいいます。

群馬県多野郡上野村大字新羽では、神流川を流れていた栗野権現または橋姫の陰毛が神体とされています
千葉県館山市の洲崎神社の神体も髪の毛とされます

麻桶の毛の伝承地域

麻桶の毛は、阿波(現在の徳島県三好郡加茂村に伝わります。

加茂村の彌都比売神社(やつひめ)神社の神体とされます。

文献によっては弥都波能売(みつはのめ)神社とも記されます。

毛を神体とする社は、ほかにもあります。

埼玉県草加市新里町の毛長神社
群馬県多野郡上野村大字新羽
千葉県館山市の洲崎神社

訪ねる際は、現地の案内をご確認ください。

麻桶の毛の正体と考えられているもの

麻桶の毛については、次のように整理できます。

一つめは、正体です。加茂村の彌都比売神社の神体の麻桶に入れられた毛がその正体であるといいます。

二つめは、動く条件です。神社に奉られている神の心が穏やかでないときに、その毛が長く伸びて麻桶から出て人を襲いだすといいます。

三つめは、山賊の話です。ある晩に神社の祠に集まって盗品を分配していたところ1本の毛が山賊の人数分に裂け、山賊たちを締め上げ翌朝追っ手に捕えられてしまいました

四つめは、水木しげるの絵です。「麻桶毛」(まゆげ)の題で記載されており、大きな毛の塊のような姿で人を襲う様子が描かれています

五つめは、各地の毛の神体です。埼玉県草加市新里町の毛長神社群馬県多野郡上野村大字新羽千葉県館山市の洲崎神社にも、毛を神体とする伝えがあります。

この妖怪は、神の側に立っています。 襲われたのは、祠で盗品を分けた山賊でした。

麻桶の毛をめぐる妖怪のつながり

麻桶の毛が登場する作品

麻桶の毛は、神体そのものが動く話です。

祠で盗品を分けた山賊を、伸びた毛が人数分に裂けて締め上げました。

資料は徳島の古書と、各地の神社の由緒に分かれます。

麻桶の毛が登場する古典

阿州奇事雑話

徳島の古書。麻桶の毛の伝説を記します。

麻桶の毛が登場する研究

妖怪事典

村上健司編著、2000年。徳島の麻桶の毛を整理しています。

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水木しげるの妖怪画

「麻桶毛」(まゆげ)の題で、毛の塊として描いています。

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髪を扱う作品

髪切りや毛倡妓と並べて取り上げられます。

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麻桶の毛についてよくある質問

麻桶の毛とは何ですか。

阿波(現在の徳島県)三好郡加茂村に現れたとされる妖怪で、彌都比売神社の神体の麻桶に入れられた毛がその正体であるといいます。

いつ動くのですか。

神社に奉られている神の心が穏やかでないときに、その毛が長く伸びて麻桶から出て人を襲いだすといいます。

山賊の話とは何ですか。

ある晩に神社の祠に集まって盗品を分配していたところ1本の毛が山賊の人数分に裂け、山賊たちを締め上げ翌朝追っ手に捕えられてしまいました

毛を神体とする社はほかにありますか。

埼玉県草加市新里町の毛長神社群馬県多野郡上野村大字新羽千葉県館山市の洲崎神社にもあります。

麻桶の毛と併せて覚えたい言葉・用語

麻桶(あさおけ)

紡いだ麻糸を入れる桶。

神体(しんたい)

神が宿るとされるもの。

弥都波能売(みつはのめ)

水をつかさどる神の名。