千年の柳が美女や老婆に化けて人を惑わす。

竹原春泉斎 「絵本百物語 柳婆」 1841年 / パブリックドメイン 出典
柳婆とはどんな妖怪か
柳婆は、江戸の奇談集にある柳の怪異です。
江戸時代の奇談集『絵本百物語』にあります。
元になった書物があります。
古書『奇談類抄』によると、かつて常陸国鹿島(現・茨城県鉾田市)に樹齢千年以上の柳の木がありました。
千年以上です。
その木が、化けます。
これが美女に姿を変えて人を惑わしたり、あるときには老婆に姿を変え、道を行き来する人々に声をかけたといいます。
美女にも、老婆にもなります。
柳婆の漢字表記と読み方
読みは「やなぎばば」です。
柳の婆、という形の名です。
老婆の姿が名になっています。
ただし、美女にもなります。
美女に姿を変えて人を惑わしたり、あるときには老婆に姿を変えたといいます。
なぜ老婆の名がついたのでしょうか。
妖怪研究家・多田克己は、柳の木と老い、病気、死が関連しているという俗信は日本各地にみられることを挙げます。
加えて、柳の枝の枝垂れる様子が女性のイメージがあることから、
これらの要因が、柳の霊が老婆姿だという伝承を生み出したと見ています。
柳婆(やなぎばば)
『絵本百物語』での名。
奇談類抄(きだんるいしょう)
常陸の柳の話を載せる古書。
柳婆の姿と特徴
柳婆の姿は、二通りあります。
美女に姿を変えて人を惑わす。
あるときには老婆に姿を変え、道を行き来する人々に声をかける。
美女と老婆です。
元は、柳の木です。
樹齢千年以上の柳の木でした。
柳は、枝が垂れます。
柳の枝の枝垂れる様子が女性のイメージがあるとされます。
その姿が、そのまま髪に重なります。
柳婆の伝承物語
千年の柳が声をかける
話の元は、常陸国にあります。
古書『奇談類抄』によると、かつて常陸国鹿島(現・茨城県鉾田市)に樹齢千年以上の柳の木がありました。
千年以上の古木です。
その木が、人に化けます。
これが美女に姿を変えて人を惑わしました。
美女です。
そして、別の姿にもなります。
あるときには老婆に姿を変え、道を行き来する人々に声をかけたといいます。
道行く人に声をかけます。
同じ話は、外国にもあります。
柳の古木が怪異を成すことは日本のみならず、中国の書物にも記載が多くみられます。
柳と老い、病気、死
柳が老婆になる理由には、説明がつけられています。
柳の木と老い、病気、死が関連しているという俗信は日本各地にみられます。
老いと病と死です。
柳は、そこに結びつけられてきました。
そして、姿の説明もあります。
柳の枝の枝垂れる様子が女性のイメージがあるとされます。
垂れた枝が、髪に見えます。
二つが重なります。
妖怪研究家・多田克己はこれらの要因が、柳の霊が老婆姿だという伝承を生み出したと見ています。
老いと、女の姿です。
その二つで、柳婆になりました。
水商売の女に気を許すな
『絵本百物語』は、別の意味も込めています。
『絵本百物語』では『盧全茶話』『契情買談』といった書からそれぞれ「金陵の絮柳は人を招く」「島原の柳は客を化かす」と引用しています。
二つの書からの引用です。
これらに油断してはならないと戒めています。
油断するな、です。
そして、読み方があります。
妖怪探訪家・村上健司によれば、これらは実際の柳の怪異のみならず、水商売の女性に気を許すなとの意味も込めたものとされます。
「島原」は、京の遊郭です。
柳の話に、遊郭の戒めが重ねられています。
妖怪の話が、世渡りの教えになっています。
柳婆の伝承地域
柳婆は、常陸国鹿島(現・茨城県鉾田市)の話です。
かつて常陸国鹿島に樹齢千年以上の柳の木があったとされます。
引用に出る地名もあります。
「金陵の絮柳は人を招く」(『盧全茶話』)
「島原の柳は客を化かす」(『契情買談』)
金陵は中国の南京、島原は京の遊郭です。
柳の木は残っておらず、この名で祀られた社や碑も確かめられていません。この欄は空のままにしてあります。
柳婆の正体と考えられているもの
柳婆については、次のように整理できます。
一つめは、出どころです。江戸時代の奇談集『絵本百物語』にある柳の怪異です。
二つめは、元の話です。古書『奇談類抄』によると、かつて常陸国鹿島に樹齢千年以上の柳の木がありました。
三つめは、化け方です。美女に姿を変えて人を惑わしたり、あるときには老婆に姿を変え、道を行き来する人々に声をかけたといいます。
四つめは、老婆になる理由です。多田克己は、柳の木と老い、病気、死が関連しているという俗信と、柳の枝の枝垂れる様子が女性のイメージがあることを挙げています。
五つめは、込められた戒めです。村上健司によれば、これらは実際の柳の怪異のみならず、水商売の女性に気を許すなとの意味も込めたものとされます。
この怪異は、二つの意味を持ちます。 柳の霊と、遊郭の戒めです。
柳婆をめぐる妖怪のつながり
柳婆が登場する作品
柳婆は、柳の古木の怪異です。
美女にも老婆にも化け、遊郭の戒めも重ねられました。
資料は江戸の奇談集と、中国の書物に分かれます。
柳婆が登場する漫画・アニメ
木の妖怪を扱う作品
柳女や古杣と並べて取り上げられます。
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柳婆についてよくある質問
柳婆とは何ですか。
江戸時代の奇談集『絵本百物語』にある柳の怪異です。
どんな話ですか。
かつて常陸国鹿島に樹齢千年以上の柳の木があり、美女に姿を変えて人を惑わしたり、あるときには老婆に姿を変え、道を行き来する人々に声をかけたといいます。
なぜ老婆の姿なのですか。
柳の木と老い、病気、死が関連しているという俗信と、柳の枝の枝垂れる様子が女性のイメージがあることが挙げられています。
ほかに意味がありますか。
村上健司によれば、これらは実際の柳の怪異のみならず、水商売の女性に気を許すなとの意味も込めたものとされます。
柳婆と併せて覚えたい言葉・用語
枝垂れる(しだれる)
枝が下へ垂れ下がること。
金陵(きんりょう)
中国の南京の古い呼び名。
島原(しまばら)
京都にあった遊郭。