山にいる人。タバコを差し出せば人を殺さないという。
キムナイヌとはどんな妖怪か
キムナイヌは、アイヌに伝わる妖怪です。
「山にいる人」を意味し、キムンアイヌとも呼ばれます。
泊まってはいけない土地がありました。
北海道の大雪山に伝わる伝説によれば、石狩川の奥地の山の斜面に、キムナイヌがいるために泊まってはいけないといわれた土地がありました。
強い相手です。
足が速い上に力も強く、クマでも何でも追いかけて手掴みにして殺すといいます。
熊を素手で殺します。
ところが、避ける手があります。
タバコに火をつけて差し出せば、人を殺すようなことはしないといいます。
キムナイヌの漢字表記と読み方
読みは「きむないぬ」です。
「山にいる人」を意味します。 キムンアイヌとも呼ばれます。
別名がいくつもあります。
キムンクッ(山にいる神)/キモカイクッ(山においでになる神)/オケン(つるっぱげ)。
「神」と呼ぶ言い方もあります。
そして、樺太では別の名です。
樺太ではロンコロオヤシ(禿げ頭のお化け)ともいいます。
頭のことを言ってはいけません。
うっかり禿げ頭のことを口にすると、たちまち山が荒れます。
キムナイヌ(きむないぬ)
もっとも一般的な表記。
キムンアイヌ(きむんあいぬ)
「山にいる人」の意。
キムンクッ(きむんくっ)
山にいる神の意。
オケン(おけん)
つるっぱげの意。
ロンコロオヤシ(ろんころおやし)
樺太での呼び名。禿げ頭のお化けの意。
キムナイヌの姿と特徴
キムナイヌの姿は、多くが語られていません。
わかっているのは、次のことです。
足が速い。
力が強い。
クマでも何でも追いかけて手掴みにして殺す。
禿げ頭(オケン、ロンコロオヤシの名から)。
熊を素手で殺します。
そして、好むものがあります。
タバコが大好きです。
嫌うものもあります。
人間の血をひどく嫌うともいいます。
ただし、これには食い違いがあります。
その一方で、キムナイヌが人間を殺したという伝承や童話も少なくありません。
キムナイヌの伝承物語
タバコを少しつまんで供える
キムナイヌを避ける方法は、タバコです。
タバコに火をつけて差し出せば、人を殺すようなことはしないといいます。
火をつけて渡します。
そして、山で吸っているときは注意が要ります。
山の中でタバコを吸っていると、キムナイヌはタバコが大好きなので寄って来ます。
匂いで来ます。
そこで、作法があります。
タバコを少しつまみ取って「山の神さんにあげます」と言えば、害を受けることはないといいます。
分け前を渡します。
この形は、山の掟に共通します。
全部を自分のものにせず、先に少し供える。
ヤマンボの木の実と同じ考え方です。
荷物を軽くしてくれる
樺太では、キムナイヌは助け手になります。
樺太ではロンコロオヤシ(禿げ頭のお化け)ともいいます。
呼べば来ます。
山の中で荷物が重くて困っているときに「アネシラッキ ウタラ イカスウ ワ(守り神さんたち、手伝っておくれ)」と叫ぶと現れ、荷物を軽くしてくれるといいます。
手伝ってくれます。
しかし、言ってはいけないことがあります。
うっかり禿げ頭のことを口にすると、たちまち山が荒れ、急に雨が降ったり、どこからか木片が飛んできたり、路傍の大木が倒れてくるともいいます。
頭の話は禁物です。
助けてもらいながら、その姿に触れてはいけないという形です。
風もないのに木が倒れる
山では、説明のつかないことが起きます。
山の中で、風もないのに大木が急に倒れるのはキムナイヌの仕業といわれます。
風がないのに倒れます。
そのときに唱える言葉があります。
「キムン ポネカシ ヤイカ ニー オツイ ナー(山の小父さん、お前さんの上に木が倒れていくよ)」
教えてやる言い方です。
こう唱えると、キムナイヌは退散して行くといいます。
危ないと知らせます。
責める言葉ではありません。
相手を心配する形の言葉で追い払います。
そして、この妖怪には食い違いが残ります。
人間の血をひどく嫌うとされる一方、キムナイヌが人間を殺したという伝承や童話も少なくありません。
キムナイヌの伝承地域
キムナイヌは、北海道と樺太のアイヌに伝わります。
北海道の大雪山に伝わる伝説によれば、石狩川の奥地の山の斜面に、キムナイヌがいるために泊まってはいけないといわれた土地がありました。
樺太では、ロンコロオヤシと呼ばれました。
山そのものが舞台であり、泊まってはいけない土地の正確な位置は伝わっていません。
この名で祀られた社や碑は確かめられていません。この欄は空のままにしてあります。
キムナイヌの正体と考えられているもの
キムナイヌについては、次のように整理できます。
一つめは、山にいる人です。名は「山にいる人」を意味し、キムンクッ(山にいる神)、キモカイクッ(山においでになる神)とも呼ばれます。
二つめは、力の強い者です。足が速い上に力も強く、クマでも何でも追いかけて手掴みにして殺すといいます。
三つめは、タバコです。タバコに火をつけて差し出せば、人を殺すようなことはしないといい、山で吸っているときは少しつまみ取って「山の神さんにあげます」と言えば、害を受けることはないといいます。
四つめは、助け手です。樺太ではロンコロオヤシといい、荷物が重くて困っているときに呼ぶと現れ、荷物を軽くしてくれるといいます。 ただし禿げ頭のことを口にすると山が荒れます。
五つめは、倒れる木です。風もないのに大木が急に倒れるのはキムナイヌの仕業とされ、「山の小父さん、お前さんの上に木が倒れていくよ」と唱えると退散するといいます。
キムナイヌは、山で分け前を渡す相手です。 タバコを少し供えるという作法が、この妖怪の扱い方を示しています。
キムナイヌをめぐる妖怪のつながり
キムナイヌが登場する作品
キムナイヌは、山での作法を伝える名です。
タバコを少し供える、頭のことを言わない、木が倒れたら声をかける。 どれも具体的です。
資料はアイヌ文化の研究書が中心です。
キムナイヌが登場する研究
キムナイヌが登場する漫画・アニメ
妖怪をまとめて扱う作品
アイヌの山の妖怪として、他のカムイと並べて取り上げられます。
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キムナイヌについてよくある質問
名前の意味は何ですか。
「山にいる人」を意味します。キムンアイヌとも呼ばれ、キムンクッ(山にいる神)、オケン(つるっぱげ)などの別名もあります。
害を避ける方法はありますか。
タバコに火をつけて差し出せば、人を殺すようなことはしないといいます。山で吸っているときは、少しつまみ取って「山の神さんにあげます」と言えば、害を受けることはないとされます。
助けてくれることもあるのですか。
あります。 樺太ではロンコロオヤシといい、山の中で荷物が重くて困っているときに呼ぶと現れ、荷物を軽くしてくれるといいます。ただし禿げ頭のことを口にすると、たちまち山が荒れます。
木が倒れたらどうするのですか。
「キムン ポネカシ ヤイカ ニー オツイ ナー(山の小父さん、お前さんの上に木が倒れていくよ)」と唱えると、キムナイヌは退散して行くといいます。
キムナイヌと併せて覚えたい言葉・用語
キムン(きむん)
アイヌ語で山の、山にある。
ロンコロオヤシ(ろんころおやし)
樺太でのキムナイヌの呼び名。禿げ頭のお化けの意。
大雪山(たいせつざん)
北海道中央部の山群。キムナイヌの伝説が伝わる。