棟から伸びて飛ぶ一枚板。寝ていた侍を押し潰した。
板鬼とはどんな妖怪か
板鬼は、『今昔物語集』に登場する妖怪です。
名称は妖怪漫画家・水木しげるの著書によるもので、原典には板の鬼(いたのおに)とあります。
「鬼」の字に注意が要ります。
『今昔物語集』の時代には、「鬼」という字は妖怪の総称のように用いられていました。
従って「板鬼」の名は「板の妖怪」を意味しており、いわゆる2本角の鬼との関連性はありません。
角のある鬼ではありません。
話は、宿直の夜です。
ある年の夏。2人の若侍が宿直の役に当たっていました。
夜更けにふと建物の棟の上を見ると、1枚の板が突き出ていました。
板鬼の漢字表記と読み方
読みは「いたおに」です。
原典には板の鬼(いたのおに)とあります。
「板鬼」の名は後からのものです。
名称は妖怪漫画家・水木しげるの著書によるものです。
そして、「鬼」の意味が今と違います。
『今昔物語集』の時代には、「鬼」という字は妖怪の総称のように用いられていました。
妖怪全般を指す字でした。
従って「板鬼」の名は「板の妖怪」を意味しており、いわゆる2本角の鬼との関連性はありません。
角も牙もありません。
ただの板です。
板鬼(いたおに)
水木しげるの著書での呼び名。
板の鬼(いたのおに)
『今昔物語集』での原典の表記。
板鬼の姿と特徴
板鬼の姿は、一枚の板です。
1枚の板が突き出ていたといいます。
建物の棟から出ていました。
そして、伸びます。
板が7、8尺ばかり伸びて飛び出し、そのまま2人の方へ飛んで来ました。
七、八尺は、二メートル余りです。
飛びます。
そして、隙間に入ります。
板は2人の方ではなく、傍らの格子の隙間にこそこそと入り込みました。
細い隙間に入れる薄さです。
板鬼の伝承物語
棟から伸びて飛んできた
二人の若侍は、夜更けに見ました。
ある年の夏。2人の若侍が宿直の役に当たっていました。
宿直は、泊まりの番です。
夜更けにふと建物の棟の上を見ると、1枚の板が突き出ていました。
棟から板が出ています。
怪しみながら見ていました。
何者の仕業だろうと2人は訝しげに思って見ていると、板が7、8尺ばかり伸びて飛び出し、そのまま2人の方へ飛んで来ました。
伸びて、飛んできました。
二人は、刀を抜きます。
さては化け物に違いないと、2人は刀を抜きました。
刀を抜いた者を避けた
ところが、板は向きを変えました。
ところが板は2人の方ではなく、傍らの格子の隙間にこそこそと入り込みました。
格子の隙間です。
その先に、人がいました。
その向こうには5人の侍が寝ていました。
五人が寝ていました。
そして、声が聞こえます。
苦しい唸り声が何度か聞こえたので、驚いた若侍たちが灯りを灯して駆けつけました。
駆けつけました。
手遅れでした。
寝ていた侍たちは何かに押し潰されたように圧死していました。
刀を手放すなという戒め
板は、消えました。
あの怪しい板は忽然と消えており、外へ逃げた気配もありませんでした。
跡形もありません。
そして、人々は教訓を引き出します。
これを知った人々は、板は自分を斬ろうと待ち構えていた若侍を避け、刀を持たずに寝ていた侍を襲ったことから、男たる者は如何なる時も刀を手放してはならないと、戒め合いました。
刀を手放すな、です。
構えていた二人は無事でした。
寝ていた五人が死にました。
この話は、そこだけを教えとして残しています。
板がなぜ現れたのかは、書かれていません。
板鬼の伝承地域
板鬼は、『今昔物語集』に載る話です。
2人の若侍が宿直の役に当たっていた建物が舞台です。
建物の棟から板が突き出たとされます。
宿直は、夜通し詰めて番をすることです。
具体的な地名は記されておらず、この名で祀られた社や碑も確かめられていません。この欄は空のままにしてあります。
板鬼の正体と考えられているもの
板鬼については、次のように整理できます。
一つめは、名前です。名称は水木しげるの著書によるもので、原典には板の鬼(いたのおに)とあります。
二つめは、「鬼」の意味です。『今昔物語集』の時代には、「鬼」という字は妖怪の総称のように用いられており、いわゆる2本角の鬼との関連性はありません。
三つめは、姿です。1枚の板が突き出ており、板が7、8尺ばかり伸びて飛び出し、そのまま2人の方へ飛んで来ました。
四つめは、被害です。傍らの格子の隙間にこそこそと入り込み、寝ていた侍たちは何かに押し潰されたように圧死していました。
五つめは、戒めです。板は自分を斬ろうと待ち構えていた若侍を避け、刀を持たずに寝ていた侍を襲ったことから、男たる者は如何なる時も刀を手放してはならないと、戒め合いました。
この妖怪は、備えのある者を避けます。 刀を抜いた二人には、手を出しませんでした。
板鬼をめぐる妖怪のつながり
板鬼が登場する作品
板鬼は、備えのある者を避ける妖怪です。
刀を抜いた二人を避け、寝ていた五人を押し潰しました。
資料は『今昔物語集』に集まります。
板鬼が登場する古典
板鬼が登場する漫画・アニメ
器物の妖怪を扱う作品
板が動く怪異として取り上げられます。
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板鬼についてよくある質問
板鬼とは何ですか。
『今昔物語集』に登場する妖怪で、原典には板の鬼(いたのおに)とあります。
角のある鬼ですか。
『今昔物語集』の時代には、「鬼」という字は妖怪の総称のように用いられており、いわゆる2本角の鬼との関連性はありません。
何が起きたのですか。
板が7、8尺ばかり伸びて飛び出し、格子の隙間にこそこそと入り込み、寝ていた侍たちは何かに押し潰されたように圧死していました。
教訓はありますか。
男たる者は如何なる時も刀を手放してはならないと、戒め合いました。
板鬼と併せて覚えたい言葉・用語
宿直(とのい)
夜通し詰めて番をすること。
棟(むね)
屋根のいちばん高いところ。
格子(こうし)
細い木を縦横に組んだ建具。