愛媛県今治市で、伐られる前日にお堂の側から動いていたという樟。

Reggaeman 「別宮大山祇神社(愛媛県今治市別宮町)」 2011年 / CC BY-SA 3.0 出典
オナオ樟とはどんな妖怪か
オナオ樟はひとことで言えば、伐られる前に自分でどいた木です。愛媛県今治市の話です。
国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースは、八木繁一「伊予の植物伝説」(『伊予の民俗』通巻13号、1976年、44頁)を典拠に、別宮にナナオ三姉妹狸の伝説がある樟がある。昔、この樟の大枝が、大風の時にお堂の屋根を度々こわすので伐採することになった。ところが伐採の前日に行ってみると樟はお堂の側から移動していたと記します。
伐られる理由は、枝がお堂の屋根をこわすことでした。
その理由を、木のほうが先に取り除きました。
「ナナオ三姉妹狸」の伝説がある樟——狸の話と結び付いた木です。
オナオ樟の漢字表記と読み方
読みは「おなおぐす」です。
「グス」は樟(くすのき)がなまったものです。
「オナオ」の由来は記録されていません。 同じ樟にはナナオ三姉妹狸の伝説もあり、名の似た狸が関わっています。
この図鑑には、愛媛の狸として隠神刑部も収めています。
オナオ樟(おなおぐす)
日文研データベースが示す表記。
ナナオ三姉妹狸(ななおさんしまいだぬき)
同じ樟に伝わる狸の名。
オナオ樟の姿と特徴
この樟に妖怪の姿はありません。記録にあるのは、位置の変化です。
場所 … 別宮のお堂のそば。
問題 … 大風の時、大枝がお堂の屋根を度々こわす。
決めたこと … 伐採。
伐採の前日 … 行ってみると、樟はお堂の側から移動していた。
同じ樟の伝説 … ナナオ三姉妹狸。
動くところを見た者がいたとは書かれていません。
オナオ樟の伝承記録
屋根をこわす大枝
樟の大枝が、大風の時にお堂の屋根を度々こわしました。
度々と記されています。
そこで、伐採することになりました。
大きな木を伐るのは、決心のいることです。
それでも決めたほど、繰り返し起きていました。
お堂の側から動く
伐採の前日、行ってみると、樟はお堂の側から移動していました。
枝が屋根に届かなくなったことになります。
伐る理由が、なくなりました。
この図鑑の尺取虫(長野)は、古木が山の中へ走り込みました。
木が動く話は、各地にあります。
オナオ樟の伝承地域
公的データベースの地域欄は愛媛県今治市別宮町を示します。
樟の現在については書かれていないため、地図で指せるのは町の範囲までです。
オナオ樟の正体と考えられているもの
この記録に妖怪は出てきません。語られているのは、自分で難を避けた木です。
同じ樟にナナオ三姉妹狸の伝説があると記されます。
木に狸が住むという考え方が背景にあるとみられます。
この図鑑には、木の話として尺取虫(長野)、依掛松(鳥取)も収めています。
どれも、木を伐ることが重く語られています。
オナオ樟が記録された資料
オナオ樟を単独で扱った本は見当たりません。読めるのは『伊予の民俗』の記事です。
題のとおり、伊予の植物にまつわる伝説を集めた記事で、他の木の話も並びます。
オナオ樟が記録された民俗資料
伊予の植物伝説
八木繁一が『伊予の民俗』通巻13号(1976年)に載せた中心資料です。
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オナオ樟についてよくある質問
オナオ樟とは何ですか。
愛媛県今治市別宮町の樟です。伐採の前日に、お堂の側から移動していたと伝わります。
なぜ伐ることになったのですか。
大枝が大風の時にお堂の屋根を度々こわしたためです。
ナナオ三姉妹狸とは何ですか。
同じ樟に伝わる狸の伝説です。
樟は今もありますか。
資料に現在の記載はありません。
オナオ樟と併せて覚えたい言葉・用語
樟(くすのき)
大きく育つ常緑樹。社寺の境内によく見られます。
別宮(べっく)
愛媛県今治市の地名。この樟のある土地です。
伊予の民俗(いよのみんぞく)
愛媛の民俗誌。この記録が載りました。
オナオ樟の参考資料
この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。