水の妖怪一覧|河童・海坊主・雪女と、水辺に出る妖怪
水の妖怪とは
引き込む妖怪|河童と海坊主 4体
河童は水の妖怪の代表です。頭に皿を載せ、相撲を好み、人や馬を水へ引き込むとされます。
皿の水が乾くと力を失う。
この弱点は、対処法として広く語られました。頭を下げさせれば皿の水がこぼれる、というわけです。
海坊主は夜の海に突然現れる黒い坊主頭の巨人で、船を壊し、柄杓を貸せと迫るとされます。牛鬼は牛の頭と蜘蛛の胴を持ち、西日本の海辺と山に伝わります。船幽霊は海で死んだ者の霊で、柄杓で水を汲み入れて船を沈めます。
海の妖怪に柄杓が繰り返し出てくるのは偶然ではありません。
柄杓は、船に水を入れる道具でもある。
船乗りにとって、船底に水がたまることは死に直結しました。渡すときは底を抜いてから渡せ、という対処法が伝わっています。
音と気配の妖怪|小豆洗いと置行堀 2体
水の妖怪には、姿がないものが目立ちます。
小豆洗いは川で小豆を洗う音をさせる妖怪で、
姿を見た者はいないともいわれる。
音だけがあり、正体は語られません。置行堀は釣った魚を置いていけと堀から声がする怪で、「置いてけぼり」という言葉の語源とされます。江戸の本所七不思議の一つです。
どちらも、害を加えるところまで行きません。音がして、声がして、それだけです。
夜の水辺で聞こえる音に名を与えたもの、と読めます。姿を決めなかったことが、かえって長く語られる理由になったという見方もできます。
雪と海上の火|水の別のかたち 4体
雪女は吹雪の夜に現れる白い着物の女です。人の息を奪う話と、人と暮らす話の両方が伝わります。
殺す雪女と、妻になる雪女。
同じ名で正反対の話が残るのは、雪国では雪が命を奪うものであると同時に、暮らしを支える水でもあったためと読めます。
濡女は髪の濡れた女の妖怪で、蛇の体を持つ姿で描かれます。
不知火は八代海や有明海に現れる無数の火です。この一体は他と違います。
正体が解明されている。
漁火が大気の温度差で異常屈折して見える現象と分かっています。妖怪として語られてきたものに、後から説明がついた例です。
アマビエは海に現れ、疫病が流行ったら自分の姿を写して見せよと告げました。害をなさない水の妖怪として、数少ない例です。
水の妖怪を出る場所ごとに並べる
水の妖怪は、出る場所で性格が変わります。
| 場所 | 代表 | 何をするか | 対処法 |
|---|---|---|---|
| 川 | 河童・小豆洗い | 引き込む/音を立てる | 頭を下げさせて皿の水をこぼす |
| 海 | 海坊主・船幽霊 | 船を沈める | 柄杓は底を抜いて渡す |
| 堀 | 置行堀 | 声をかけるだけ | 魚を置いていく |
| 雪 | 雪女 | 息を奪う/妻になる | 伝わっていない |
| 海上の火 | 不知火 | 現象として説明がついた | 対処の必要がない |
並べると、対処法が伝わっているものほど、危険が具体的だとわかります。
河童と船幽霊には、はっきりした逃れ方がある。
川で溺れる、船が沈む。どちらも実際に起きる死に方で、逃れ方を伝える必要がありました。言い伝えが実用の役目を持っていた形です。
一方、小豆洗いと置行堀には対処法がありません。そもそも害がないからです。
不知火は、その先を示します。妖怪として語られていたものに説明がついたとき、話は消えませんでした。
正体がわかっても、名前は残る。
水の妖怪は、日本のどの土地にも残っています。海に面し、川が多く、雪が降る土地の形が、そのまま出ています。
水の妖怪についてよくある質問
水の妖怪にはどんなものがいますか。
河童、海坊主、牛鬼、船幽霊のように水へ引き込むもの、小豆洗いや置行堀のように音や声だけのもの、雪女、濡女、アマビエ、不知火が含まれます。
河童の弱点は何ですか。
頭の皿の水です。皿の水が乾くと力を失うとされ、頭を下げさせて水をこぼす方法が対処法として広く語られました。
なぜ海の妖怪は柄杓を求めるのですか。
柄杓が船に水を入れる道具でもあるためです。船底に水がたまることは船乗りにとって死に直結しました。渡すときは底を抜いてから渡せという対処法が伝わっています。
不知火の正体は何ですか。
漁火が大気の温度差で異常屈折して見える現象と分かっています。八代海や有明海に現れる無数の火として語られてきました。
雪女は人を殺す妖怪ですか。
両方の話が伝わります。人の息を奪う話と、人と夫婦になって暮らす話の両方が残っており、同じ名で正反対の筋立てが語られています。
水の妖怪の一覧(収録しているすべての妖怪) 158体
本文で取り上げなかったものも含めて、この種別に属する妖怪をすべて並べています。名前を押すと個別ページへ移ります。