福島県の海上に出て柄杓を貸せと言い、底を抜かずに貸すと船を水で満たすという怪物。
イナダカセとはどんな妖怪か
イナダカセはひとことで言えば、柄杓を借りに来る海の怪です。福島県の話です。
国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースは、柳田國男「漁村語彙(二)」(『島』1巻2号、一誠社、1933年、82頁)を典拠に、海上にイナダカセという怪物が出る。イナダとは船で用いる柄杓のことである。このイナダを貸せと言ってくる。イナダカセに行き遭ったならば、必ずイナダの底を抜いて貸さなければならない。さもないとたちまち船が海水で一杯になると記します。
逃げる話ではありません。
貸さないのでもなく、底を抜いて貸すのが正しい応じ方です。 断れば船が沈みます。
イナダカセの漢字表記と読み方
読みは「いなだかせ」です。
「イナダ貸せ」がそのまま名前になっています。 言う言葉が呼び名になった形です。
イナダは、船にたまった水をかい出すための柄杓です。
この図鑑には船幽霊(各地)も収めています。どちらも柄杓を求める海の怪で、底を抜くという対処まで同じです。
イナダカセ(いなだかせ)
日文研データベースが示す呼称。
イナダ(いなだ)
船で使う柄杓のことで、名の前半にあたります。
イナダカセの姿と特徴
イナダカセの姿は、記録に短く書かれています。
出る場所 … 海上。
言うこと … このイナダを貸せ。
イナダとは … 船で用いる柄杓。
正しい応じ方 … イナダの底を抜いて貸す。
さもないと … たちまち船が海水で一杯になる。
姿かたちは書かれていません。
イナダカセの伝承記録
海上に出るもの
海上にイナダカセという怪物が出るといいます。
出会うのは沖です。
柄杓を貸せと言う
イナダとは船で用いる柄杓のことです。このイナダを貸せと言ってきます。
求めるものは一つだけです。
底を抜いて貸す
イナダカセに行き遭ったならば、必ずイナダの底を抜いて貸さなければなりません。さもないとたちまち船が海水で一杯になります。
渡し方が決まっています。
イナダカセの伝承地域
公的データベースの地域欄は福島県までで、市郡までは示されていません。
典拠が漁村語彙なので、浜の漁師が使った言葉として記録されました。
イナダカセの正体と考えられているもの
イナダカセは、柄杓を借りに来るとされる海の怪です。
姿は書かれていません。 残っているのは、求めるものと渡し方だけです。
底を抜けば、汲んでも汲めないことになります。
この図鑑には船幽霊(各地)も収めています。
イナダカセが登場する作品
イナダカセを単独で扱った本は見当たりません。読めるのは柳田國男の語彙集です。
柄杓を求める海の怪の話は各地にあり、船幽霊の名で知られます。この図鑑には船幽霊(各地)も収めています。
イナダカセが登場する雑誌
島
一誠社が出した雑誌です。1933年の号に柳田國男の漁村語彙が載ります。
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イナダカセについてよくある質問
イナダカセとは何ですか。
福島県の海上に出て、船の柄杓を貸せと言ってくると語られた怪物です。
イナダとは何ですか。
船で用いる柄杓のことです。
どう応じればよいのですか。
必ず底を抜いて貸さなければならないと記録されています。
貸さないとどうなりますか。
たちまち船が海水で一杯になるといいます。
イナダカセと併せて覚えたい言葉・用語
柄杓(ひしゃく)
水をくむための、柄のついた器です。
あか(あか)
船底にたまる水のこと。これをかい出すのに柄杓を使います。
漁村語彙(ぎょそんごい)
柳田國男が漁村の言葉を集めて解説した一連の記事です。
イナダカセの参考資料
この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。