本文へ移動

愛媛県

真黒いもの(まっくろいもの)とはどんな妖怪か|姿と伝承

真黒いもの  / マックロイモノ

水の妖怪 各地の伝説

愛媛県愛南町で、崖の洞穴から体を出して「現十食うた」とはやしたてたもの。

真黒いものの姿を描いた図

松岡明芳 「外泊の石垣と家並み(愛媛県愛南町)」 2006年 / CC BY-SA 3.0 出典

真黒いものとはどんな妖怪か

真黒いものはひとことで言えば、名を呼んではやしたてた影です。愛媛県南宇和郡の話です。

国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースは、鈴木泰助妖怪変化の話など」(『伊予の民俗』通巻39号、1985年、25頁)を典拠に、現十ビタという所では昔現十という漁夫が烏賊を釣っていると、崖の中程にある洞穴から真黒いものが体をのり出して「現十食うた」とはやしたてたというと記します。

「現十食うた」——漁夫の名を呼んでいます。

そして、その場所が「現十ビタ」と呼ばれるようになりました。

この図鑑には海坊主も収めています。

真黒いものの漢字表記と読み方

読みは「まっくろいもの」です。

姿を言い表しただけの名です。 固有の名を持ちません。

「現十」は漁夫の名ですその名が、土地の名にもなっています。

この図鑑には海坊主磯幽霊(長崎)も収めています。

真黒いもの(まっくろいもの)

日文研データベースが示す表記。

現十ビタ(げんじゅうびた)

土地の呼び名。漁夫の名から付いています。

真黒いものの姿と特徴

この記録にあるのは、黒い体です。

出てきた場所 … 崖の中程にある洞穴。
動き … 体をのり出した。
… 真黒。
言ったこと … 「現十食うた」。
その調子 … はやしたてた。

顔や手足の記述はありません。

真黒いものの伝承記録

  1. 烏賊を釣っていると
  2. 名を呼んではやす

烏賊を釣っていると

現十という漁夫が、烏賊を釣っていました。

崖の中程にある洞穴から、真黒いものが体をのり出しました。

海に迫った崖の手の届かない高さです。

逃げ場のない場所からの声になります。

この図鑑には海坊主も収めています。

名を呼んではやす

「現十食うた」とはやしたてました。

漁夫の名を、知っていたことになります

「食うた」が何を指すかは書かれていません。

その後どうなったかも記録されていません。

残ったのは、現十ビタという土地の名です。

真黒いものの伝承地域

公的データベースの地域欄は愛媛県南宇和郡愛南町を示します。記録は現十ビタという所と記します。

崖や洞穴の位置は書かれていないため、地図で指せるのは地域の範囲までです。

現十ビタ(げんじゅうびた)

記録が示す土地

地図で開く

現十ビタの所在地:愛媛県南宇和郡愛南町

記録は「現十ビタという所」と記します。

崖や洞穴の位置は資料に書かれていません。

真黒いものの正体と考えられているもの

このものの正体は書かれていません。真黒いものとだけ記されます。

名を呼んだという点が、この記録のいちばん怖いところです。

「現十食うた」の意味も書かれていません。

この図鑑には海坊主幽霊(長崎)、柄長呉れ(愛媛)も収めています。

土地の名として残ったことが、この話の確かさです。

真黒いものが記録された資料

真黒いものを単独で扱った本は見当たりません。読めるのは『伊予の民俗』の記事です。

題のとおり、愛媛の妖怪変化の話を集めた記事です。この図鑑には柄長呉れ(愛媛)、エンコ婆さん(愛媛)も収めています。

真黒いものが記録された民俗資料

妖怪変化の話など

鈴木泰助が『伊予の民俗』通巻39号(1985年)に載せた中心資料です。

四国の妖怪の本を探す

Amazonのアソシエイトとして、当サイトは適格販売により収入を得ています。

真黒いものについてよくある質問

真黒いものとは何ですか。

愛媛県愛南町で、崖の洞穴から体をのり出して「現十食うた」とはやしたてたとされるものです。

現十とは誰ですか。

烏賊を釣っていた漁夫の名です。

「現十食うた」とはどういう意味ですか。

記録されていません。

現十ビタとは何ですか。

この出来事から付いたとみられる土地の呼び名です。

真黒いものと併せて覚えたい言葉・用語

烏賊(いか)

海の生き物。現十が釣っていました。

はやしたてる(はやしたてる)

声を上げて囃すことです。

伊予の民俗(いよのみんぞく)

愛媛の民俗誌。この記録が載りました。

真黒いものの参考資料

この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。

  1. 国際日本文化研究センター「真黒いもの」