愛媛県宇和島市で、海中から柄杓を求めるもの。船には底のない柄杓を備えた。

osami 「遊子水荷浦の段畑(愛媛県宇和島市)」 2012年 / パブリックドメイン 出典
柄長呉れとはどんな妖怪か
柄長呉れはひとことで言えば、柄杓をねだる海のものです。愛媛県宇和島市の話です。
国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースは、山口常助「北宇和郡下波村聞書」(『伊予の民俗』通巻11号、1975年、26頁)を典拠に、柄長呉れというものがおり、海中から出てきて柄長呉れと言う。渡すとそれで海水を汲み入れて船を沈めてしまうので、船には底のない柄長を一つは備えているというと記します。
「柄長」は柄杓(ひしゃく)を指す言い方です。
渡すこと自体は避けられません。 渡すものを、あらかじめ用意しておきます。
この図鑑には船幽霊も収めています。
柄長呉れの漢字表記と読み方
読みは「えながくれ」です。
「柄長」は柄杓(ひしゃく)を指す言い方です。柄の長い汲み道具を意味します。
「呉れ」はくれ、よこせという求めの言葉です。求める言葉が、そのまま名になっています。
柄長呉れ(えながくれ)
日文研データベースが示す表記。
柄長(えなが)
柄杓を指す言い方。
柄長呉れの姿と特徴
この記録に姿はありません。あるのは、求めと備えです。
出てくる場所 … 海中。
言うこと … 「柄長呉れ」。
渡した場合 … それで海水を汲み入れて船を沈めてしまう。
備え … 船には底のない柄長を一つは備えている。
顔や体の記述はありません。
柄長呉れの伝承記録
海中から柄杓を求める
柄長呉れというものが、海中から出てきます。
「柄長呉れ」と言います。
求めるのは、汲むための道具です。
渡すと、それで海水を汲み入れて船を沈めてしまいます。
この図鑑には船幽霊も収めています。
底のない柄杓を備える
そこで、船には底のない柄長を一つは備えています。
渡すこと自体は断りません。
渡すものを、あらかじめ用意しておきます。
底がなければ、いくら汲んでも水は入りません。
相手の求めに応じながら、害だけを外す——海の禁忌によく見られる形です。
柄長呉れの伝承地域
公的データベースの地域欄は愛媛県宇和島市を示します。報告は旧北宇和郡下波村の聞き書きです。
宇和海に面した土地です。 海域までは書かれていません。
柄長呉れの正体と考えられているもの
柄長呉れの正体は書かれていません。海中から出てくるとだけ記されます。
柄杓を求めて船を沈める——船幽霊の話と同じ型です。
この図鑑には船幽霊も収めています。
この記録の特徴は、名が求めの言葉そのものであることです。
「柄長呉れ」と言うから、柄長呉れ——呼び名の付き方が分かりやすい例です。
柄長呉れが記録された資料
柄長呉れを単独で扱った本は見当たりません。読めるのは『伊予の民俗』の聞き書きです。
柄杓を求める海の怪は各地にあり、船幽霊の名で広く語られます。この図鑑にも収めています。
柄長呉れが記録された民俗資料
北宇和郡下波村聞書
山口常助が『伊予の民俗』通巻11号(1975年)に載せた中心資料です。
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柄長呉れについてよくある質問
柄長呉れとは何ですか。
愛媛県宇和島市で、海中から出てきて柄杓を求めるとされたものです。
渡すとどうなりますか。
それで海水を汲み入れて船を沈めてしまうとされます。
どう備えるのですか。
船には底のない柄長を一つは備えていると記録されています。
柄長とは何ですか。
柄杓を指す言い方です。
柄長呉れと併せて覚えたい言葉・用語
柄長(えなが)
柄杓を指す言い方です。
下波(したば)
愛媛県宇和島市の地名。旧・北宇和郡下波村です。
伊予の民俗(いよのみんぞく)
愛媛の民俗誌。この記録が載りました。
柄長呉れの参考資料
この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。