本文へ移動

千葉県

モーレー(もーれー)とはどんな妖怪か|姿と伝承

モーレー  / モーレー

水の妖怪 各地の伝説

千葉県館山市で、大晦日の夜に嵐とともに出るとされた海の霊。

モーレーの姿を描いた図

tak1701d 「那古寺の観音堂(千葉県館山市)」 2014年 / CC BY-SA 3.0 出典

モーレーとはどんな妖怪か

モーレーはひとことで言えば、海へ出てはいけない日を教える名です。千葉県館山市の話です。

国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースは、丸山久子千葉県・安房船形のきき書き」(『女性と経験』通巻5号、女性民俗研究会、1980年、46〜47頁)を典拠に、8月16日に海に行くと、必ず死ぬと言い、12月31日の夜も、航海はできない。その日は、紀国屋文左の難儀した日であり、必ず嵐になり、モーレーが出ると言い伝えられていると記します。

話者は漁師の妻です。

日付が二つ、はっきり決まっています。

八月十六日盆の送りの翌日にあたります十二月三十一日大晦日です

モーレーの漢字表記と読み方

読みは「もーれー」です。

「亡霊」(もうれい)がなまった呼び名とみられます海辺では、水死者の霊をこう呼ぶ土地が各地にあります。

呼び名は違っても、海で亡くなった人を指す点は共通します。

モーレー(もーれー)

日文研データベースが示す呼称。

亡霊(もうれい)

同じ語の元とみられる漢字。

モーレーの姿と特徴

モーレーに姿はありません。記録にあるのは、出る日です。

行ってはいけない日1 … 八月十六日。海に行くと必ず死ぬ。
行ってはいけない日2 … 十二月三十一日の夜。航海ができない。
理由 … 紀国屋文左の難儀した日。
その日の天気 … 必ず嵐になる。
出るもの … モーレー。

姿、声、大きさの記述はありません。

モーレーの伝承記録

  1. 八月十六日の海
  2. 紀国屋文左の難儀した日

八月十六日の海

八月十六日に海に行くと、必ず死ぬと言われました。

この日は、盆の送り火の翌日にあたります。

送られた霊が、まだ海のあたりにいると考えられた土地は各地にあります。

この図鑑の磯幽霊(長崎)も、盆の時期に海へ出ることを戒めます

漁師の家に伝わる、はっきりした禁忌です。

紀国屋文左の難儀した日

十二月三十一日の夜も、航海はできません

その日は、紀国屋文左の難儀した日だといいます。

紀伊国屋文左衛門は、江戸の商人です嵐の海を越えてみかんを江戸へ運んだという話で知られます。

その日を、必ず嵐になる日として覚えていたことになります。

そして、モーレーが出るといいます。

モーレーの伝承地域

記録は安房船形(千葉県館山市)と記します。東京湾の入口に面した漁港です。

話者が漁師の妻であることから、船を出す家の言い伝えとして伝わったことが分かります。

船形(ふなかた)

記録が示す土地

地図で開く

船形の所在地:千葉県館山市

報告の題は「千葉県・安房船形のきき書き」です。

話者は漁師の妻と記されます。

モーレーの正体と考えられているもの

モーレーの正体は書かれていません。

「亡霊」がなまった呼び名とみられます

この記録の特徴は、日付です。 八月十六日と、十二月三十一日の夜——二つとも、はっきり決まっています。

海の禁忌は、守らせるために名を必要とします

この図鑑には、亡霊火幽霊船幽霊も収めています。

モーレーが記録された資料

モーレーを単独で扱った本は見当たりません。読めるのは『女性と経験』の聞き書きです。

女性民俗研究会が出した雑誌で、漁師の妻から聞いた話が並びます。船を出す家の側から見た海の言い伝えが読めます。

モーレーが記録された民俗資料

千葉県・安房船形のきき書き

丸山久子が『女性と経験』通巻5号(1980年)に載せた中心資料です。

関東の妖怪の本を探す

Amazonのアソシエイトとして、当サイトは適格販売により収入を得ています。

モーレーについてよくある質問

モーレーとは何ですか。

千葉県館山市の船形に伝わるものです。大晦日の夜、嵐とともに出るとされました。

なぜ八月十六日に海へ行かないのですか。

その日に海に行くと必ず死ぬと言われていたと記録されています。

紀国屋文左とは誰ですか。

江戸の商人・紀伊国屋文左衛門です。嵐の海を越えたという話で知られます。

名前の意味は何ですか。

「亡霊」がなまった呼び名とみられます。海辺では水死者の霊をこう呼ぶ土地があります。

モーレーと併せて覚えたい言葉・用語

船形(ふなかた)

千葉県館山市の漁港。この記録の土地です。

紀伊国屋文左衛門(きのくにやぶんざえもん)

江戸の商人。嵐の海を越えた話で知られます。

亡霊火(もうれいび)

海に出る火。この図鑑にも収めています。

モーレーの参考資料

この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。

  1. 国際日本文化研究センター「モーレー」