岡山県美作市の話。漆淵の底の宝を独り占めしようと沈めた獅子の頭に、弟が噛まれた。

Masikyo 「讃甘神社の鳥居(岡山県美作市)」 2005年 / CC BY-SA 4.0 出典
怪淵とはどんな妖怪か
怪淵は、宝を沈めた淵です。岡山県美作市の話です。
国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースは、佐藤成裕「中陵漫録」(『日本随筆大成第3期』吉川弘文館、1976年)を典拠に、備中松山から作州の温泉への行路に、漆淵という淵があると記します。
兄弟が底を見ました。
ある兄弟が淵の底で漆や高価な物を発見した。弟が独り占めしようと獅子の頭のようなものを作り淵に沈めたと続き、兄がそれに驚き逃げたので弟が取りに潜ったところ獅子に噛まれたと結ばれます。
この図鑑には貝吹坊(岡山)も収めています。
怪淵の漢字表記と読み方
読みは「かいえん」です。
「作州」は、美作国のことです。岡山県の北東部にあたります。
「備中松山」は、今の岡山県高梁市です。
「中陵漫録」は、江戸後期の本草学者が書いた随筆です。
この図鑑には貝吹坊(岡山)も収めています。
怪淵(かいえん)
日文研データベースが示す呼称です。
漆淵(うるしぶち)
記録が示す淵の名です。
作州(さくしゅう)
記録が示す地名です。美作国のことで、岡山県の北東部にあたります。
怪淵の姿と特徴
怪淵の話は、記録に順を追って書かれています。
その場所 … 備中松山から作州の温泉への行路にある漆淵。
見つけた人 … ある兄弟。
見つけたもの … 淵の底の漆や高価な物。
弟のしたこと … 獅子の頭のようなものを作り淵に沈めた。
そのわけ … 独り占めしようとした。
兄のしたこと … 驚いて逃げた。
弟のしたこと(二) … 取りに潜った。
その結果 … 獅子に噛まれた。
作りものが噛んだと書かれています。
怪淵の伝承記録
漆淵
備中松山から作州の温泉への行路に、漆淵という淵があります。
通るのは湯へ行く道です。
淵の底の宝
ある兄弟が淵の底で漆や高価な物を発見しました。
沈んでいたのは値の張るものです。
獅子の頭を沈める
弟が独り占めしようと獅子の頭のようなものを作り淵に沈めました。
作ったのは兄を追い払うためです。
兄が逃げる
兄がそれに驚き逃げました。
効いたのは作りものです。
弟が噛まれる
弟が取りに潜ったところ獅子に噛まれました。
噛んだのは自分で沈めたものです。
怪淵の伝承地域
公的データベースの地域欄は岡山県、市郡名の欄は美作市を示します。
記録は備中松山から作州の温泉への行路と道筋で場所を示しています。
怪淵の正体と考えられているもの
怪淵は、宝を沈めた淵です。
淵の主の話ではありません。 語られているのは、兄を追い払うために作った獅子の頭と、それに噛まれた弟です。
欲を出した者が自分の仕掛けにやられる、因果の型で語られます。
この図鑑には貝吹坊(岡山)も収めています。
怪淵が登場する作品
怪淵を単独で扱った本は見当たりません。読めるのは江戸後期の随筆と、それを収めた叢書です。
淵の底の宝をめぐる話は各地にあり、多くは欲を出した側が痛い目にあう筋になっています。
怪淵が登場する古い書物
中陵漫録
佐藤成裕が書いた江戸後期の随筆です。各地の見聞を集めています。
怪淵が登場する本
日本随筆大成
吉川弘文館が出した叢書です。中陵漫録を収めています。
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怪淵についてよくある質問
怪淵とは何ですか。
岡山県美作市に伝わる漆淵の話で、沈めた獅子の頭に弟が噛まれたというものです。
獅子の頭は本物ですか。
弟が作ったものだと記されています。それが噛んだといいます。
なぜ沈めたのですか。
淵の底の宝を独り占めしようとしたためだといいます。
どこで語られていますか。
岡山県美作市です。
怪淵と併せて覚えたい言葉・用語
作州(さくしゅう)
美作国のことです。岡山県の北東部にあたります。
備中松山(びっちゅうまつやま)
今の岡山県高梁市です。
中陵漫録(ちゅうりょうまんろく)
佐藤成裕が書いた江戸後期の随筆です。
怪淵の参考資料
この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。