城跡の堀にすみ、法螺貝のような声をあげる。
貝吹坊とはどんな妖怪か
貝吹坊の漢字表記と読み方
読みは「かいふきぼう」です。
貝を吹く坊主、という形の名です。
「貝」は法螺貝のことです。
ホラガイを吹く音のような「ボー、ボー」という声をあげます。
法螺貝は、山伏が吹くものです。
城でも、合図に使われました。
そして、地元では別の名でも呼ばれます。
魍魎山精(もうりょうさんしょう)です。
「魍魎」は、山や川の怪しいものを指す言葉です。
貝吹坊(かいふきぼう)
もっとも一般的な表記。
魍魎山精(もうりょうさんしょう)
地元での呼び名。
貝吹坊の姿と特徴
貝吹坊に、姿はありません。
姿を見せずに音のみを出す妖怪とされます。
声だけです。
ホラガイを吹く音のような「ボー、ボー」という声です。
ただし、平成以降には目の話があります。
平成以降の妖怪関連の文献では、貝吹坊は青い目を持つ妖怪と解説されていることもあります。
青い目です。
この話には、出どころの問題があります。
貝吹坊の伝承物語
城跡の堀から声がする
貝吹坊は、城跡にいます。
熊山城跡の堀の水中に棲んでいたとされます。
堀の水の中です。
そこから、声が出ます。
ホラガイを吹く音のような「ボー、ボー」という声をあげます。
法螺貝の音です。
城跡ですから、意味が重なります。
法螺貝は、戦のときの合図でした。
その音が、堀から聞こえます。
姿を見せずに音のみを出す妖怪とされます。
姿は誰も見ていません。
唐津城の妖怪と混ざった
この妖怪には、別の話が混ざりました。
水木しげるの著書によれば、かつて味地義兵衛という者が、唐津城の壕に妖怪がいると聞いて調べに赴きました。
唐津城です。
岡山ではありません。
壕から青い目を光らせた妖怪が現れたことがあり、この妖怪が貝吹坊の一種であろうと述べられています。
貝吹坊の一種だろう、という推測です。
そこから、話が広まりました。
このことから平成以降の妖怪関連の文献では、貝吹坊は青い目を持つ妖怪と解説されていることもあります。
ところが、根拠に問題があります。
唐津城の妖怪譚は天保時代の随筆『思斉漫録』にあるもので、原典に貝吹坊の名はありません。
食用ガエルという説
正体には、現実的な説があります。
水木はかつて、池で食用ガエルの鳴く音に驚いた経験があります。
自分の経験です。
そのことから、食用ガエル(ウシガエル)が正体だったとも見られています。
ウシガエルです。
その鳴き声は、低く大きなものです。
「ボー、ボー」と聞こえます。
法螺貝の音に似ています。
堀や池にいます。
条件がそろっています。
ただし、ウシガエルは明治に日本へ入りました。
それより古い伝えなら、別のものになります。
貝吹坊の伝承地域
貝吹坊は、備前国(現・岡山県)和気郡に伝わります。
熊山城跡の堀の水中に棲んでいたとされます。
熊山は、岡山県赤磐市にある山です。
別の城の話も混ざっています。
唐津城(佐賀県唐津市)の壕の妖怪は、原典に貝吹坊の名はありません。
城跡の堀が舞台であり、この名で祀られた社や碑は確かめられていません。この欄は空のままにしてあります。
貝吹坊の正体と考えられているもの
貝吹坊については、次のように整理できます。
一つめは、住みかです。熊山城跡の堀の水中に棲んでいたとされます。
二つめは、声です。ホラガイを吹く音のような「ボー、ボー」という声をあげ、姿を見せずに音のみを出す妖怪とされます。
三つめは、地元の名です。地元では魍魎山精(もうりょうさんしょう)とも呼ばれます。
四つめは、青い目です。平成以降の妖怪関連の文献では、貝吹坊は青い目を持つ妖怪と解説されていることもありますが、唐津城の妖怪譚は天保時代の随筆『思斉漫録』にあるもので、原典に貝吹坊の名はありません。
五つめは、正体の説です。食用ガエル(ウシガエル)が正体だったとも見られています。
この妖怪は、声だけのものです。 青い目の話は、別の城の妖怪から来ています。
貝吹坊をめぐる妖怪のつながり
貝吹坊が登場する作品
貝吹坊は、声だけの妖怪です。
城跡の堀から法螺貝のような音がし、正体は食用ガエルとも見られています。
資料は岡山の民俗の記録と、江戸の随筆に分かれます。
貝吹坊が登場する古典
思斉漫録
天保時代の随筆。唐津城の妖怪譚を載せます。
貝吹坊が登場する研究
貝吹坊が登場する漫画・アニメ
音の妖怪を扱う作品
畳叩きや石投げんじょと並べて取り上げられます。
Amazonのアソシエイトとして、当サイトは適格販売により収入を得ています。
貝吹坊についてよくある質問
貝吹坊とは何ですか。
備前国(現・岡山県)和気郡に伝わる妖怪で、熊山城跡の堀の水中に棲んでいたとされます。
どんな声ですか。
ホラガイを吹く音のような「ボー、ボー」という声をあげます。姿を見せずに音のみを出す妖怪とされます。
青い目というのは本当ですか。
唐津城の妖怪譚は天保時代の随筆『思斉漫録』にあるもので、原典に貝吹坊の名はありません。
正体は何ですか。
食用ガエル(ウシガエル)が正体だったとも見られています。
貝吹坊と併せて覚えたい言葉・用語
ホラガイ(ほらがい)
吹いて音を出す大きな巻貝。山伏や戦の合図に使う。
魍魎(もうりょう)
山や川にいるという怪しいもの。
熊山(くまやま)
岡山県赤磐市にある山。城跡がある。