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和歌山県

畳叩き(たたみたたき)とはどんな妖怪か|姿と伝承・登場する作品

畳叩き  / タタミタタキ

そのほか 各地の伝説

夜中に畳を叩くような音が聞こえる。追うときりがない。

畳叩きとはどんな妖怪か

畳叩きは、西日本に伝わる怪音現象です。

和歌山県、山口県、広島県、高知県に伝わります

起きることは、一つだけです。

夜中に畳を叩くような音が聞こえる現象です。

姿はありません。

音だけです。

和歌山では、町の名で呼ばれました。

和歌山では宇治という町に出たので、宇治のこたまとも呼ばれました

紀州藩の地誌にも載っています。

紀伊続風土記』(天保年間)によれば、
冬の夜明け頃にバタバタという音が東から聞こえ始め、西へ去っていくのでバタバタとも呼んだといいます。

畳叩きの漢字表記と読み方

読みは「たたみたたき」です。

畳を叩く音、そのままの名です。

土地ごとに、呼び名が変わります。

和歌山県 … 「宇治のこたま」「バタバタ」。
山口県岩国 … 「破多破多」。
広島県 … 「バタバタ」「パタパタ」。

どれも音を写した名です。

音の中身も、土地で違います。

山口県岩国では渋紙を打つような、もしくは大きなうちわを激しく仰ぐようなバタバタという怪音といいます。

広島では屋根の上や庭で、あたかも畳を杖で叩くようにバタバタと音がしたといいます。

畳叩き(たたみたたき)

もっとも一般的な表記。

宇治のこたま(うじのこたま)

和歌山県での呼び名。

バタバタ(ばたばた)

和歌山県・広島県での呼び名。音から。

破多破多(ばたばた)

『岩邑怪談録』での当て字。

畳叩きの姿と特徴

畳叩きに、姿はありません

あるのは音だけです。

夜中に畳を叩くような音が聞こえるといいます。

時刻も伝わっています。

和歌山では冬の夜明け頃にバタバタという音が東から聞こえ始め、西へ去っていく
山口県岩国では午後10時頃から翌朝未明まで

夜通しです。

そして、広島には正体があります。

この怪異の原因はそこにある触ると瘧になる石の仕業とされ、その石をバタバタ石と呼びました

石です。

畳叩きの伝承物語

  1. 追っても七、八間先から鳴る
  2. 石の中から小人が出た
  3. 高知では狸、離れて聞こえる

追っても七、八間先から鳴る

この音を、追いかけた人がいます。

安政時代の随筆『筆のすさび』によれば、ある物好きな人が正体を見極めようと、音の方向を追いかけました

追いました。

ところが、届きません。

常に7、8間先から音がしてきりがなかったといいます。

七、八間は、十数メートルです。

近づくと、その分だけ逃げます。

距離が変わりません。

山口県岩国では、午後10時頃から翌朝未明まで渋紙を打つような、もしくは大きなうちわを激しく仰ぐようなバタバタという怪音が町中で聞こえたといいます。

町全体で聞こえました。

石の中から小人が出た

広島には、正体を見た話があります。

広島でも同様の怪異があり、冬の夜に屋根の上や庭で、あたかも畳を杖で叩くようにバタバタと音がしたことから、
バタバタ、もしくはパタパタとも呼ばれました

そして、石が疑われました。

この怪異の原因はそこにある触ると瘧になる石の仕業とされ、その石をバタバタ石と呼びました

瘧は、震えと高熱の出る病です。

ある人が、見ました。

ある人は、バタバタ石の中から小人が現れて石を叩いているのを見つけ、捕まえようとしたが石の中に戻ってしまったといいます。

逃げられました。

そこで、石を持ち帰りました。

石を持って帰ったところ、石と同じような痣が顔にでき、慌てて石をもとの場所へ戻すと、痣も消えました

高知では狸、離れて聞こえる

高知では屋敷に住む狸の仕業とされます

屋敷や近隣では聞こえず、300メートルほど離れた場所で聞こえるといいます。

追いかけても届かない話と、同じ形です。

柳田国男は、広島のこの怪を江戸の馬鹿囃子と並べています。

深夜にいろいろの物音がきこえて、所在を尋ねると転々するというのは、広島で昔評判したバタバタの怪、または東京でも七不思議の一つに算えた本所の馬鹿囃子の類です。

何人もが同時に聞いた点を重く見ています。

現に二人三人の者が一所にいて、あれ聴けといって顔を見合せる類のいわゆるアリュシナシオン・コレクチーブであるために、迷信もまた社会化したのであります。

7、8間先から音がしてきりがなかった(和歌山・広島)。
300メートルほど離れた場所で聞こえる(高知)。

音源に近づけない、という点が共通しています。

ポルターガイスト現象だという説もあります。

畳叩きの伝承地域

畳叩きは、和歌山県、山口県、広島県、高知県に伝わります。

和歌山県宇治という町に出たので「宇治のこたま」と呼ばれました。紀州藩編纂の地誌『紀伊続風土記』(天保年間)に記述があります。
山口県岩国岩邑怪談録』に、文久年間の秋から冬にかけての時期に起こった現象とあります。
広島県バタバタ石の仕業とされました。
高知県屋敷に住む狸の仕業とされます。

音そのものが怪異であり、この名で祀られた社や碑は確かめられていません。この欄は空のままにしてあります。

畳叩きの正体と考えられているもの

畳叩きについては、次のように整理できます。

一つめは、音だけの怪異です。夜中に畳を叩くような音が聞こえる現象であり、姿は語られません。

二つめは、呼び名です。和歌山では宇治という町に出たので、宇治のこたまとも呼ばれ、音からバタバタ破多破多パタパタとも呼ばれました。

三つめは、追えないことです。ある物好きな人が正体を見極めようと、音の方向を追いかけたところ、常に7、8間先から音がしてきりがなかったといいます。

四つめは、バタバタ石です。触ると瘧になる石の仕業とされ、石の中から小人が現れて石を叩いているのを見つけ石を持って帰ったところ、石と同じような痣が顔にでき、慌てて石をもとの場所へ戻すと、痣も消えました

五つめは、高知の聞こえ方です。屋敷や近隣では聞こえず、300メートルほど離れた場所で聞こえるといいます。

この怪異は、音源に近づけません。 ポルターガイスト現象だという説もあります。

畳叩きをめぐる妖怪のつながり

畳叩きが登場する作品

畳叩きは、音だけの怪異です。

追いかけても常に先から鳴り、近づけません。

資料は藩の地誌と、各地の怪談集に分かれます。

畳叩きが登場する古典

紀伊続風土記

紀州藩編纂の地誌、天保年間。バタバタの記述があります。

岩邑怪談録

山口県岩国の怪談集。破多破多の字を当てています。

筆のすさび

安政時代の随筆。音を追いかけた話を載せます。

畳叩きが登場する研究

妖怪事典

村上健司編著、2000年。各地の畳叩きを整理しています。

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畳叩きが登場する漫画・アニメ

怪音を扱う作品

小豆洗いや天狗倒しと並べて取り上げられます。

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畳叩きについてよくある質問

畳叩きとは何ですか。

和歌山県、山口県、広島県、高知県に伝わる怪音現象で、夜中に畳を叩くような音が聞こえる現象です。

追いかけたらどうなりますか。

常に7、8間先から音がしてきりがなかったといいます。

バタバタ石とは何ですか。

広島で、この怪異の原因はそこにある触ると瘧になる石の仕業とされ、その石をバタバタ石と呼びました石の中から小人が現れて石を叩いているのを見つけたという話もあります。

高知ではどう伝わっていますか。

屋敷に住む狸の仕業とされ、屋敷や近隣では聞こえず、300メートルほど離れた場所で聞こえるといいます。

畳叩きと併せて覚えたい言葉・用語

(おこり)

震えと高熱を繰り返す病。

渋紙(しぶがみ)

柿渋を塗った丈夫な紙。

(けん)

長さの単位。1間は約1.8メートル。