沖縄県八重山で、釣り上げると津波が来るとされた魚。船に上げてはならない。

ものをいう魚とはどんな妖怪か
ものをいう魚はひとことで言えば、上げてはならない魚です。沖縄県八重山郡の話です。
国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースは、宮城信男「石垣島より」(『女性と経験』1巻5・6号、1957年、25頁)を典拠に、人魚の魚を釣り上げると必ず津浪が押し寄せてくる。与那国の比川部落が津浪に洗われたことがある。網で漁をしているときにかかっても船の上にあげてはならないと記します。
八重山には明和の大津波(1771年)の記憶があります。多くの人が亡くなりました。
その記憶が、この禁忌の背景にあるとみられます。
この図鑑には人魚も収めています。
ものをいう魚の漢字表記と読み方
見出しの読みは「ものをいうさかな」です。
日文研データベースの呼称は「人魚の魚」(ニンギョノイズ)ですが、この図鑑には人魚が別にあります。混同を避けるため、併記されている呼称を見出しにしました。
「イズ」は魚を指す島の言い方です。
この図鑑には人魚、モーレー(千葉)も収めています。
ものをいう魚(ものをいうさかな)
日文研データベースが併記する呼称。
人魚の魚(にんぎょのいず)
同データベースが示す呼称。「イズ」は魚を指す島の言い方です。
ものをいう魚の姿と特徴
この記録にあるのは、禁忌です。
したらいけないこと1 … 釣り上げること。
起きること1 … 必ず津浪が押し寄せてくる。
実際にあった例 … 与那国の比川部落が津浪に洗われた。
したらいけないこと2 … 網にかかっても船の上にあげること。
起きること2 … 船に乗っている人にも災いがある。
魚の姿や大きさは書かれていません。
ものをいう魚の伝承記録
釣り上げると津波が来る
人魚の魚を釣り上げると、必ず津浪が押し寄せてきます。
「必ず」と書かれています。
与那国の比川部落が津浪に洗われたことがあるといいます。
八重山には明和の大津波(1771年)の記憶があります。
実際に起きた災いが、禁忌の裏づけになっています。
船の上にあげてはならない
網で漁をしているときにかかっても、船の上にあげてはなりません。
あげると、船に乗っている人にも災いがあります。
釣るつもりがなくても、かかることはあります。
そのときの扱い方まで決められている点が、この禁忌の厳しさです。
この図鑑にはモーレー(千葉)も収めています。
ものをいう魚の伝承地域
公的データベースの地域欄は沖縄県八重山郡を示します。報告の題は「石垣島より」です。
記録は与那国の比川部落の名を挙げます。比川は与那国島の集落です。
ものをいう魚の正体と考えられているもの
この魚が何かは書かれていません。人魚の魚とだけ記されます。
八重山には明和の大津波(1771年)の記憶があります。
海の異変を先に知らせるものとして、この禁忌が語られてきたとみられます。
この図鑑には人魚も収めています。 そちらは、食べると長生きする話です。
同じ「人魚」の語でも、島によって語られ方がまったく違います。
ものをいう魚が記録された資料
この話を単独で扱った本は見当たりません。読めるのは『女性と経験』の記事です。
明和の大津波(1771年)は八重山に大きな被害を出しました。その記録と併せて読むと、この禁忌の重みが見えてきます。
ものをいう魚が記録された民俗資料
石垣島より
宮城信男が『女性と経験』1巻5・6号(1957年)に載せた中心資料です。
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ものをいう魚についてよくある質問
ものをいう魚とは何ですか。
沖縄県八重山で、釣り上げると津波が来るとされた魚です。
網にかかったらどうするのですか。
船の上にあげてはならないとされます。
実際に津波はあったのですか。
記録は、与那国の比川部落が津浪に洗われたことがあると記します。
人魚と同じですか。
別の記録です。この図鑑の人魚は、食べると長生きするという話で扱っています。
ものをいう魚と併せて覚えたい言葉・用語
イズ(いず)
魚を指す島の言い方です。
明和の大津波(めいわのおおつなみ)
1771年に八重山を襲った津波。多くの人が亡くなりました。
比川(ひがわ)
与那国島の集落。津浪に洗われたと記録されています。
ものをいう魚の参考資料
この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。