本文へ移動

三重県

尻こぼし(しりこぼし)とはどんな妖怪か|姿と伝承・登場する作品

尻こぼし  / シリコボシ

水の妖怪 各地の伝説

海女を襲い、尻子玉を抜く海の妖怪。河童の一種ともいう。

尻こぼしとはどんな妖怪か

尻こぼしは、三重の海に伝わる妖怪です。

三重県志摩郡和具町(のちの志摩町、現・志摩市)や布施田村(現・同)に伝わります。

コボシともいいます。

河童の一種ともいわれます。

名は、することを表しています。

尻こぼしとは、「尻を破壊する、削り取る者」の意です。

そして、海女を襲います。

海にもぐる海女を襲い、河童のように人間の尻子玉を抜き取るといわれます。

これに襲われた死体は必ず尻の穴が開いているといいます。

尻こぼしの漢字表記と読み方

読みは「しりこぼし」です。

「こぼす」(毀す、毀つと同)とは「壊す、破壊する」「剃り取る、削り取る」を意味する古語であり方言です。

こぼす、は落とすことではありません。

壊す、削り取る、という意味です。

そこから、尻こぼしとは、「尻を破壊する、削り取る者」の意になります。

もう一つの説もあります。

「こぼし」は小法師、子法師の意味との説があるといいます。

小さな法師、という読み方です。

実際、話に出る石は「小法師石(こぼしいし)」と呼ばれています。

尻こぼし(しりこぼし)

もっとも一般的な表記。

コボシ(こぼし)

短く呼ぶ形。

小法師(こぼし)

名の由来とされる説の一つ。

小法師石(こぼしいし)

誓いの証拠として残る石の名。

尻こぼしの姿と特徴

尻こぼしの姿は、河童のようなものです。

河童の一種ともいわれます。

頭に皿があります。

話には、頭の皿を割られ、川へ帰れなくなったコボシが出てきます。

そして、化けます。

仕方なくコボシは人間女性に化けて同町の普門寺で働いていました。

女に化けて、寺で働きました。

することは、決まっています。

海にもぐる海女を襲い、河童のように人間の尻子玉を抜き取る。
海で人を脅かしてショック死させるともいいます。

尻こぼしの伝承物語

  1. 山椒の枝を首にかける
  2. 馬に蹴られて皿を割った
  3. 石が朽ちるまで誓った

山椒の枝を首にかける

尻こぼしには、除け方が伝わっています。

布施田村では、天王祭の日に海に入ると尻こぼしに生き胆を奪われてしまうといいます。

その日は、入ってはいけません。

ところが、仕事と重なりました。

しかし海女がテングサ採りのために海に入らなければならない日が天王祭にあたり、どうしてもその日に海に入らなければならない場合があります。

そのときの作法です。

山椒の枝を糸でまとめて首にかけると、尻こぼしを除けるお守りになるといいます。

山椒です。

鉄も関わります。

鉄が嫌いであり、海中に鉄を落とすとこの妖怪の祟りに遭うという説もあります。

馬に蹴られて皿を割った

志摩町越賀には、寺の話が残っています。

あるとき川に住むコボシが馬に悪戯しようとし、逆に馬に蹴られて頭の皿を割られ、川へ帰れなくなりました。

皿が割れました。

河童は、皿の水がないと力が出ません。

そこで、人に化けます。

仕方なくコボシは人間女性に化けて同町の普門寺で働いていました。

働きました。

しかし、見破られます。

寺の住職に正体を見破られました。

そこで、頼みます。

コボシが住職に、皿を治して水を入れてくれるよう懇願しました。

石が朽ちるまで誓った

住職は、条件をつけました。

住職は今後は悪戯をしないよう誓い、その誓いの証拠の品となるものを出すように言いました。

証拠を出せ、と言いました。

コボシは、海へ行きます。

するとコボシは海から大きな石を2つ運んで来て、この石が朽ちるまで悪戯をしないと誓ったので、和尚は皿を治してやりました。

石が朽ちるまで、です。

石は、簡単には朽ちません。

つまり、永久の誓いです。

そして、その石は残っています。

この誓いの石の一つは普門寺の境内に、もう一つは中の浜の北東の堤防の上に、「小法師石(こぼしいし)」の名で現在でも残されています。

二つとも、今もあります。

尻こぼしの伝承地域

尻こぼしは、三重県志摩郡和具町(のちの志摩町、現・志摩市)や布施田村(現・同)に伝わります。

誓いの石は、二つ残っています。

普門寺の境内(三重県志摩市志摩町越賀)。
中の浜の北東の堤防の上。

どちらも「小法師石(こぼしいし)」の名で現在でも残されています。

訪ねる際は、現地の案内をご確認ください。

尻こぼしの正体と考えられているもの

尻こぼしについては、次のように整理できます。

一つめは、名の意味です。「こぼす」は「壊す、破壊する」「剃り取る、削り取る」を意味する古語であり方言で、「尻を破壊する、削り取る者」の意です。

二つめは、することです。海にもぐる海女を襲い、河童のように人間の尻子玉を抜き取るといい、これに襲われた死体は必ず尻の穴が開いているといいます。

三つめは、除け方です。山椒の枝を糸でまとめて首にかけると、尻こぼしを除けるお守りになるといいます。

四つめは、鉄です。鉄が嫌いであり、海中に鉄を落とすとこの妖怪の祟りに遭うという説もあります。

五つめは、誓いの石です。海から大きな石を2つ運んで来て、この石が朽ちるまで悪戯をしないと誓ったといい、「小法師石」の名で現在でも残されています。

この妖怪は、証拠の石を残しました。 誓いが、今も見える形になっています。

尻こぼしをめぐる妖怪のつながり

尻こぼしが登場する作品

尻こぼしは、海の河童です。

海女を襲い、山椒で除け、石が朽ちるまでの誓いを立てました。

資料は志摩の民俗の記録が中心です。

尻こぼしが登場する研究

妖怪事典

村上健司編著、2000年。三重の尻こぼしを整理しています。

Amazonで本・漫画を探す

綜合日本民俗語彙

各地の民俗語を集めた辞典。コボシの呼び名が引けます。

Amazonで本・漫画を探す

尻こぼしが登場する漫画・アニメ

河童を扱う作品

海に出る河童として取り上げられます。

近畿の妖怪の本を探す

Amazonのアソシエイトとして、当サイトは適格販売により収入を得ています。

尻こぼしについてよくある質問

尻こぼしとは何ですか。

三重県志摩郡和具町(現・志摩市)や布施田村に伝わる海の妖怪で、河童の一種ともいわれます。

名前の意味は何ですか。

「尻を破壊する、削り取る者」の意です。「こぼす」は「壊す、破壊する」「剃り取る、削り取る」を意味する古語であり方言です。

除ける方法はありますか。

山椒の枝を糸でまとめて首にかけると、尻こぼしを除けるお守りになるといいます。

小法師石とは何ですか。

コボシが海から大きな石を2つ運んで来て、この石が朽ちるまで悪戯をしないと誓った石で、普門寺の境内と中の浜の北東の堤防の上に現在でも残されています。

尻こぼしと併せて覚えたい言葉・用語

尻子玉(しりこだま)

河童が人から抜き取るとされた、尻の中にあるという玉。

テングサ(てんぐさ)

寒天の原料になる海藻。海女が採る。

天王祭(てんのうさい)

牛頭天王を祀る夏の祭り。