千葉県館山市で、近づけなかった無人の船が、翌日は山上の社前にあったという話。

無人の船とはどんな妖怪か
無人の船はひとことで言えば、山へ上がった船です。千葉県館山市の話です。
国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースは、佐々木貞高「閑窓瑣談後編」(『日本随筆大成第1期』14巻、1975年、418頁)を典拠に、房州安房郡山刀村で、万治2年5月頃船を出して漁をしていると、無人で白幣束を1本立てた船がどこからともなく現れた。近付こうとするが近付けない。その夜山の方から多くの人が物を運ぶ声が聞こえてきた。翌日みてみると昨日の船が山上の船越大明神の神前に備えられていたと記します。
運ぶ音が、夜のうちに聞こえています。
姿は見えません。 聞こえたのは多くの人が物を運ぶ声でした。
無人の船の漢字表記と読み方
読みは「むじんのふね」です。
幣束は、神に供える紙を垂らした祭具です。 白い幣束が一本立っていました。
万治二年は西暦一六五九年にあたります。
この図鑑には船幽霊(各地)も収めています。そちらは海に出る船の怪です。
無人の船(むじんのふね)
日文研データベースが示す呼称。
船越大明神(ふなこしだいみょうじん)
船が備えられていた社の名です。
無人の船の姿と特徴
無人の船の姿は、記録に短く書かれています。
時期 … 万治二年五月頃。
場所 … 房州安房郡山刀村。
船の様子 … 無人で、白幣束を一本立てていた。
現れ方 … どこからともなく現れた。
近づくと … 近付こうとするが近付けない。
その夜 … 山の方から多くの人が物を運ぶ声が聞こえた。
翌日、船は山上の船越大明神の神前に備えられていました。
無人の船の伝承記録
無人の船が現れる
房州安房郡山刀村で、万治2年5月頃、船を出して漁をしていると、無人で白幣束を1本立てた船がどこからともなく現れました。
乗っている人はいません。
近づけない
近付こうとするが、近付けません。
追いかけても、距離が縮まりません。
山上の社前にある
その夜、山の方から多くの人が物を運ぶ声が聞こえてきました。
翌日みてみると、昨日の船が山上の船越大明神の神前に備えられていました。
海の船が、山の上にありました。
無人の船の伝承地域
公的データベースの地域欄は千葉県館山市を示します。
館山市は房総半島の南のはしにあたります。
無人の船の正体と考えられているもの
無人の船は、供えられた船です。
祟りという語は使われていません。 記されているのは、近付けないことと、備えられていたことです。
それでも、運ぶ音が聞こえています。
この図鑑には船幽霊(各地)も収めています。
無人の船が登場する作品
無人の船を単独で扱った本は見当たりません。読めるのは随筆の叢書です。
流れ着いたものを神に供える話は各地にあり、流れ仏や流れ明神もその形です。この図鑑には流れ明神(宮城)も収めています。
無人の船が登場する随筆
日本随筆大成第1期
吉川弘文館の叢書です。14巻に閑窓瑣談後編が収められています。
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無人の船についてよくある質問
無人の船とは何ですか。
千葉県館山市の沖に現れたとされる、人の乗っていない船です。
いつのことですか。
万治二年五月頃、西暦一六五九年ごろとされます。
近づけましたか。
近付こうとするが近付けなかったと記録されています。
その後どうなりましたか。
翌日、山上の船越大明神の神前に備えられていたとされます。
無人の船と併せて覚えたい言葉・用語
幣束(へいそく)
神に供える、紙を垂らした祭具です。
万治(まんじ)
江戸時代の年号。万治二年は西暦一六五九年です。
房州(ぼうしゅう)
安房国のこと。今の千葉県南部です。
無人の船の参考資料
この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。