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鹿児島県

ワロドンとはどんな妖怪か|姿と伝承・登場する作品

ワロドン  / ワロドン

山の妖怪水の妖怪 各地の伝説

鹿児島の山にいる河童。切り刻まれても二、三日で生き返るという。

ワロドンの姿を描いた図

作者不明 「化物絵巻 山童」 19世紀 / パブリックドメイン 出典

ワロドンとはどんな妖怪か

ワロドンは、山にいる河童です。

鹿児島県肝属郡百引村(現・鹿屋市)の民間伝承で語られます。

河童のうち、山にいるものをこう呼びます。

川から山に帰った河童のことともいわれます。

西日本の伝承上の妖怪「山童」は河童が山に入ってなるものといわれることから、ワロドンもまた山童の一種と考えられています。

そして、死にません。

体をバラバラに切り刻まれても、元の体となって生き返るとされ、2、3日程度で生き返るともいいます。

河童と同じく、鉄を嫌うともいいます。

ワロドンの漢字表記と読み方

読みは「わろどん」です。

名称の「ワロドン」は、「ヤマワロ(山童)」が河童に対する忌み言葉であり、「ワロドン」は2段階の忌み言葉と考えられています。

忌み言葉は、直接その名を呼ぶのを避けるための言い換えです。

ヤマワロ」の「ヤマ」を略して、「殿」を意味する「ドン」を付けたとの解釈もあります。

「山童」→「ワロ」→「ワロ殿」です。

鹿児島の大隅地方には、別の呼び名もあります。

山に帰った河童のことを「オジドン」と呼び、やはり山童の一種と考えられ、ワロドンと同一視されています

ワロドン(わろどん)

もっとも一般的な表記。

ヤマワロ(やまわろ)

山童。ワロドンの元になった呼び名。

オジドン(おじどん)

鹿児島の大隅地方で、山に帰った河童を指す呼び名。

ワロドンの姿と特徴

ワロドンの姿は、次のように伝わります。

身長1メートルほど。
棲み処馬の足跡にたまった水の中。
千匹も住んでいる。
気配これがいると水が濁り、犬も逃げ出す

馬の足跡に千匹です。

身長は1メートルほどともいいますが、この馬の足跡にまつわる伝承から、体の大きさを自在に変えることができるという説もあります。

そして、鉄を嫌います。

河童と同様、鉄を嫌うとされます。

ワロドンの伝承物語

  1. 肉を一切れ食えば生き返らない
  2. 馬の足跡に千匹
  3. 川から山へ帰る

肉を一切れ食えば生き返らない

柳田国男は『山の人生』で、山にいるものの力の強さを、噂ではなく事実として認めています。

いわゆるヤマワロ(山童)の非常に力強かったこと、これは全く事実であったろうと認める。

力が強い。

そうして怒ると何をするかわからぬというのも、また根拠ある推測であった。

ワロドンの最大の特徴は、死なないことです。

体をバラバラに切り刻まれても、元の体となって生き返るとされ、2、3日程度で生き返るともいいます。

切っても無駄です。

ただし、防ぐ方法があります。

切り刻まれた肉片のうちの一切れでも食べてしまえば、ワロドンは生き返ることができないといわれます。

ところが、これが難しいのです。

肉が不味いことを察知しているのか、多くの動物はこの肉を食べようとしないといいます。

退治する手はあるのに、その手を打てる者がいないという形になっています。

馬の足跡に千匹

ワロドンの棲み処は、きわめて小さな場所です。

馬の足跡にたまった水の中に、千匹も住んでいるといいます。

足跡の水たまりです。

そして、そこにいるとわかる印があります。

これがいると水が濁り、犬も逃げ出すといいます。

犬が避けます。

身長との食い違いがあります。

身長は1メートルほどともいわれますが、馬の足跡に千匹入るはずがありません。

そこで、説明がつけられました。

この伝承から、体の大きさを自在に変えることができるという説もあります。

水たまりが濁っていたら、そこに千匹いるということです。

川から山へ帰る

ワロドンは、季節で場所を変える河童です。

川から山に帰った河童のことともいわれます。

西日本には、同じ考えが広くあります。

山童」は河童が山に入ってなるものといわれ、ワロドンもまた山童の一種と考えられています。

河童は、秋になると山へ入るとされました。

そして春に川へ戻ります。

水の妖怪と山の妖怪が、同じものの季節違いとして語られているわけです。

鹿児島には、もう一つ呼び名があります。

大隅地方では、山に帰った河童のことを「オジドン」と呼びます。

「殿」がつく点は、ワロドンと同じです。

名を避け、敬って呼ぶ形になっています。

ワロドンの伝承地域

ワロドンは、鹿児島県肝属郡百引村(現・鹿屋市)の民間伝承で語られます。

鹿児島の大隅地方では、山に帰った河童のことを「オジドン」と呼び、ワロドンと同一視されています

河童が山に入ってなるという「山童」の伝承は、西日本に広く分布します。

山と川そのものが舞台であり、ワロドンを祀った社や碑は確かめられていません。 この欄は空のままにしてあります。

ワロドンの正体と考えられているもの

ワロドンについては、次のように整理できます。

一つめは、山にいる河童です。河童のうち、山にいるものをこう呼び川から山に帰った河童のことともいわれます。山童の一種と考えられています。

二つめは、生き返るものです。体をバラバラに切り刻まれても、2、3日程度で生き返るとされ、防ぐには肉片の一切れでも食べるしかありませんが、多くの動物はこの肉を食べようとしないといいます。

三つめは、忌み言葉です。ヤマワロ」が河童に対する忌み言葉であり、「ワロドン」は2段階の忌み言葉と考えられています。 「ヤマ」を略して「殿」を付けた形です。

四つめは、馬の足跡です。馬の足跡にたまった水の中に千匹も住んでおり、いると水が濁り、犬も逃げ出すといいます。

ワロドンが何であったかは、わかっていません。 ただ、名を直接呼ばないという扱い方が、この妖怪への恐れをよく表しています。

ワロドンをめぐる妖怪のつながり

ワロドンが登場する作品

ワロドンは、河童と山童をつなぐ妖怪です。

川と山を行き来するという考え方が、この一体にはっきり出ています。

資料は鹿児島の民俗の記録が中心です。

ワロドンが登場する研究

妖怪事典

村上健司編著、2000年。鹿児島の山童の伝承として整理しています。

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綜合日本民俗語彙

各地の民俗語を集めた辞典。ヤマワロ・オジドンなどの語が引けます。

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柳田國男『妖怪談義』

河童が山に入って山童になるという各地の考え方を論じています。

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ワロドンが登場する漫画・アニメ

妖怪をまとめて扱う作品

山にいる河童として、山童と並べて取り上げられます。

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ワロドンについてよくある質問

ワロドンとは何ですか。

河童のうち、山にいるものをこう呼びます。川から山に帰った河童のこととも、山童の一種とも考えられています。

退治できるのですか。

難しいものです。 体をバラバラに切り刻まれても2、3日程度で生き返るといい、肉片の一切れでも食べてしまえば生き返れないとされますが、多くの動物はこの肉を食べようとしないといいます。

どこに棲んでいるのですか。

馬の足跡にたまった水の中に千匹も住んでいるといいます。これがいると水が濁り、犬も逃げ出すとされます。

名前の由来は何ですか。

ヤマワロ(山童)」が河童に対する忌み言葉であり、「ワロドン」は2段階の忌み言葉と考えられています。「ヤマ」を略して「殿」を意味する「ドン」を付けたとの解釈もあります。

ワロドンと併せて覚えたい言葉・用語

山童(やまわろ)

河童が山に入ってなるとされる妖怪。西日本に広く伝わる。

忌み言葉(いみことば)

直接その名を呼ぶのを避けるための言い換え。

大隅(おおすみ)

鹿児島県東部の地域。オジドンの呼び名が伝わる。