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鹿児島県

ヒザマ(ひざま)とはどんな妖怪か|姿と伝承・登場する作品

ヒザマ  / ヒザマ

火の妖怪鳥の妖怪 各地の伝説

沖永良部島で家に憑いて火事を起こすという魔鳥。空の瓶や桶に宿る。

ヒザマとはどんな妖怪か

ヒザマは、鹿児島県奄美群島の沖永良部島に伝わる生き物です。ヒジャマともいいます。

家に憑いて火事を引き起こすといわれる魔鳥です。

姿が細かく伝わっています。

ニワトリに似ており、胡麻塩色の羽根を持ち、頬が赤いといいます。

そして、宿る場所が決まっています。

家に憑く際は空の瓶や桶に宿るといいます。

そこから、防ぎ方が生まれました。

こうした器を伏せておくか、常に水で満たしておくとよいとされます。

空にしておかないことです。

ヒザマの漢字表記と読み方

読みは「ひざま」です。「ひじゃま」ともいいます。

書き方によって、正体が変わります。

民俗学研究家・恵原義盛の著書『奄美大島の妖怪』では、ヒザマに「火玉」という字が当てられています。

この字では、鳥ではありません。

読んで字の如く火の玉であり、やはり火事を引き起こすものとされます。

鳥なのか、火の玉なのか。

どちらの説明でも、家に火事をもたらすという一点は変わりません。

ヒザマ(ひざま)

もっとも一般的な表記。

ヒジャマ(ひじゃま)

島での言い方。

火玉(ひざま)

恵原義盛『奄美大島の妖怪』での字。

ヒザマの姿と特徴

ヒザマの姿は、二通りに伝わります。

魔鳥として
ニワトリに似ている。
胡麻塩色の羽根を持つ。
頬が赤い。

火の玉として
恵原義盛『奄美大島の妖怪』では「火玉」の字を当て、火の玉とします。

そして、この姿には実害がありました。

沖永良部島では邪神として最も恐れられており、このヒザマに似た外見上の特徴を持つニワトリを飼うことを忌み嫌う風習があったといいます。

本物のニワトリが避けられました。

ヒザマの伝承物語

  1. 空の器に宿る
  2. ユタを呼ぶ
  3. 似た鳥を飼わない

空の器に宿る

ヒザマが家に憑くとき、入る場所が決まっています。

空の瓶や桶です。

中が空いていると、そこに入ります。

そこで、防ぎ方が生まれました。

こうした器を伏せておくか、常に水で満たしておくとよいといいます。

伏せるか、満たすか。

どちらも、空のまま置かないということです。

火事を防ぐ知恵として読むと、水を張った器を家に置いておくことは理にかなっています。

火が出たときに、すぐ使えます。

そして、器を伏せておけば埃も入りません。

妖怪の話が、そのまま家の始末の作法になっています。

ユタを呼ぶ

ヒザマが憑いてしまった後にも、手立てがありました。

すぐユタ(シャーマン)を呼んで、追い出しの儀式を行なったといいます。

ユタは、沖縄や奄美の民間の巫者です。

病や災いの相談にあたります。

そして、ヒザマは特別扱いでした。

沖永良部島では邪神として最も恐れられていました。

もっとも、です。

島の家はかつて茅葺きが多く、火事が出れば一軒では済みませんでした

火は、島でもっとも重い災いです。

その災いに名と姿を与えたのが、ヒザマです。

似た鳥を飼わない

ヒザマの伝承には、暮らしへの影響がありました。

人々の間では、このヒザマに似た外見上の特徴を持つニワトリを飼うことを忌み嫌う風習があったといいます。

胡麻塩色の羽根で、頬が赤いニワトリです。

そういう鶏は、家に置きませんでした。

妖怪の姿の言い伝えが、実際に飼う鶏の選び方を決めていたことになります。

似た形は、ほかの土地にもあります。

四国から中国地方に伝わる「波山」も、火を吐く鶏のような鳥です。

火と鶏は、しばしば結びつきます。

鶏は夜明けを告げる鳥であり、火と光に近い場所に置かれてきました。

ヒザマの伝承地域

ヒザマは、鹿児島県奄美群島の沖永良部島に伝わります。

島では邪神として最も恐れられており、ヒザマに似た外見上の特徴を持つニワトリを飼うことを忌み嫌う風習がありました。

上江洲均『南島の民俗文化』(1987年)、窪徳忠の瀬戸内町の竈神信仰の報告、上野善道の沖永良部島方言の語彙資料などに記録があります。

家そのものが舞台であり、ヒザマを祀った社や碑は確かめられていません。 この欄は空のままにしてあります。

ヒザマの正体と考えられているもの

ヒザマについては、次のように整理できます。

一つめは、魔鳥です。家に憑いて火事を引き起こすといわれ、ニワトリに似ており、胡麻塩色の羽根を持ち、頬が赤いとされます。

二つめは、火の玉です。恵原義盛『奄美大島の妖怪』ではヒザマに「火玉」の字が当てられ、鳥ではなく火の玉であるとされます。

三つめは、空の器です。家に憑く際は空の瓶や桶に宿るといい、器を伏せておくか、常に水で満たしておくと防げます。

四つめは、火事そのものです。島の家は火が出れば一軒では済みません。 邪神として最も恐れられたという言い方が、その重さを示しています。

ヒザマが何であったかは、わかっていません。 ただ、器を空にしておかないという作法は、火の始末の知恵として残りました。

ヒザマをめぐる妖怪のつながり

ヒザマが登場する作品

ヒザマは、島の火事の妖怪です。

空の器に宿るという一点から、器を伏せる・水を張るという具体的な作法が生まれました。

資料は奄美の民俗の記録が中心です。

ヒザマが登場する研究

妖怪事典

村上健司編著、2000年。沖永良部島のヒザマを立項しています。

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南島の民俗文化

上江洲均、1987年。奄美と沖縄の暮らしと祭りを記録しています。

水木しげるの妖怪画

『妖鬼化』沖縄・九州の巻にヒザマが描かれています。

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ヒザマが登場する漫画・アニメ

妖怪をまとめて扱う作品

火を招く鳥として、波山と並べて取り上げられます。

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ヒザマについてよくある質問

ヒザマは何をするのですか。

家に憑いて火事を引き起こすといわれます。姿はニワトリに似ており、胡麻塩色の羽根を持ち、頬が赤いとされます。

防ぐ方法はありますか。

家に憑く際は空の瓶や桶に宿るため、こうした器を伏せておくか、常に水で満たしておくとよいといいます。

憑かれたらどうするのですか。

すぐユタ(シャーマン)を呼んで、追い出しの儀式を行なったといいます。

鳥ではないという説もありますか。

あります。 恵原義盛『奄美大島の妖怪』ではヒザマに「火玉」の字が当てられ、鳥ではなく火の玉であるとされます。 どちらでも、火事を引き起こす点は同じです。

ヒザマと併せて覚えたい言葉・用語

ユタ(ゆた)

沖縄や奄美の民間の巫者。災いの相談にあたる。

沖永良部島(おきのえらぶじま)

鹿児島県奄美群島の島。ヒザマの伝承地。

恵原義盛(えはらよしもり)

奄美の民俗研究家。『奄美大島の妖怪』の著者。