夜の山道に大きな影が人型に広がって現れる。名は山伏に由来する。
ヤンボシとはどんな妖怪か
ヤンボシは、夜の山道に出る妖怪です。
鹿児島県肝属郡百引村(現・鹿屋市)や宮崎県に伝わります。
夜の山道を歩いていると出遭うものです。
姿は、影です。
大きな影が人型に広がって現れるといいます。
人の形に広がります。
宮崎では、由来まで語られます。
宮崎ではヤンブシともいって、坊主が首吊りをした場所に必ず現れ、夜に山へ行くとヤンブシにさらわれるといいます。
首吊りの場所です。
そして、逃げられません。
出現に気づいてから走って逃げても追いかけてくるといいます。
ヤンボシの漢字表記と読み方
読みは「やんぼし」です。宮崎や奄美群島では「ヤンブシ」といいます。
名称は「ヤンボシ」「ヤンブシ」ともに、「山伏(やまぶし)」に由来するといわれます。
山伏は、山を歩いて修行する僧です。
山中で出会う人といえば、山伏でした。
その姿が、夜の山道に現れるものの名になりました。
奄美群島でも同じ名です。
奄美群島でもヤンブシといい、髪を振り乱した妖怪として怖れられています。
ヤンボシ(やんぼし)
鹿児島県での呼び名。
ヤンブシ(やんぶし)
宮崎県・奄美群島での呼び名。
山伏(やまぶし)
名の由来とされる語。
ヤンボシの姿と特徴
ヤンボシの姿は、土地によって違います。
鹿児島県肝属郡百引村
大きな影が人型に広がって現れる。
宮崎県(ヤンブシ)
坊主が首吊りをした場所に必ず現れる。
夜に山へ行くとさらわれる。
奄美群島(ヤンブシ)
髪を振り乱した妖怪として怖れられている。
影、坊主、乱れ髪です。
そして、逃げ切れません。
出現に気づいてから走って逃げても追いかけてくるので、狙われた際にはさらわれることを覚悟しなければならないといいます。
ヤンボシの伝承物語
気づかなければ気にされない
ヤンボシには、特徴的な性質があります。
出現に気づいてから走って逃げても追いかけてくるといいます。
逃げられません。
狙われた際には、さらわれることを覚悟しなければならないとされます。
覚悟が要ります。
ところが、条件があります。
人間がヤンブシに気づかないときには、ヤンブシの方も人間を気にしないことが多いといいます。
気づかなければ、何も起きません。
気づいた瞬間に、狙われます。
これは、多くの怪異に共通する形です。
見なければ、出会わない。
夜道では、余計なものを見ないほうが安全です。
首吊りの場所に出る
宮崎のヤンブシには、出る場所が決まっています。
坊主が首吊りをした場所に必ず現れるといいます。
必ず、です。
そして、名も僧に由来します。
名称は「山伏(やまぶし)」に由来するといわれます。
山伏も、坊主も、僧です。
山で死んだ僧という筋が、名と場所の両方に通っています。
そして、さらいます。
夜に山へ行くとヤンブシにさらわれるといいます。
山に入らないための話でもあります。
夜の山は、そもそも危険な場所です。
夕方に声をかけ合う
ヤンボシの伝わる土地には、風習がありました。
山道でこうした妖怪の言い伝えがあるため、かつては夕方に道を行く人同士が声をかけ合う風習がありました。
挨拶をします。
しかし、ただの礼儀ではありませんでした。
これは単なる礼儀ではなく、行き会った相手に対して、自分が化け物でないことを証明する意味であったといいます。
自分が人であることを示します。
声を出すのは、そのためです。
妖怪は声をかけない、あるいは一声しかかけないとされる土地もあります。
岐阜の一声呼びと同じ考え方です。
声のかけ方が、人と妖怪を分ける印になっていました。
ヤンボシの伝承地域
ヤンボシは、次の土地に伝わります。
鹿児島県肝属郡百引村(現・鹿屋市) … 大きな影が人型に広がって現れるといいます。
宮崎県 … ヤンブシともいい、坊主が首吊りをした場所に必ず現れ、夜に山へ行くとさらわれるといいます。
奄美群島 … ヤンブシといい、髪を振り乱した妖怪として怖れられています。
いずれも夜の山道そのものが舞台であり、ヤンボシを祀った社や碑は確かめられていません。 この欄は空のままにしてあります。
ヤンボシの正体と考えられているもの
ヤンボシについては、次のように整理できます。
一つめは、人型の影です。夜の山道を歩いていると出遭うもので、大きな影が人型に広がって現れるといわれます。
二つめは、山伏です。名称は「ヤンボシ」「ヤンブシ」ともに、「山伏(やまぶし)」に由来するといわれます。
三つめは、首吊りの場所です。宮崎では坊主が首吊りをした場所に必ず現れ、夜に山へ行くとヤンブシにさらわれるといいます。
四つめは、気づくことです。出現に気づいてから走って逃げても追いかけてくるが、人間がヤンブシに気づかないときには、ヤンブシの方も人間を気にしないことが多いといいます。
五つめは、挨拶の風習です。かつては夕方に道を行く人同士が声をかけ合う風習があり、それは行き会った相手に対して、自分が化け物でないことを証明する意味でした。
この妖怪は、気づかなければ済みます。 夜道で余計なものを見ない、という戒めが込められています。
ヤンボシをめぐる妖怪のつながり
ヤンボシが登場する作品
ヤンボシは、気づかなければ済む妖怪です。
見てしまえば追われ、見なければ何も起きません。 夕方の挨拶は、そのための作法でした。
資料は南九州と奄美の民俗の記録が中心です。
ヤンボシが登場する研究
ヤンボシが登場する漫画・アニメ
妖怪をまとめて扱う作品
山の影の妖怪として、大入道や高坊主と並べて取り上げられます。
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ヤンボシについてよくある質問
ヤンボシとはどんな姿ですか。
夜の山道を歩いていると出遭うもので、大きな影が人型に広がって現れるといわれます。奄美群島では髪を振り乱した妖怪として怖れられています。
名前の由来は何ですか。
「山伏(やまぶし)」に由来するといわれます。「ヤンボシ」「ヤンブシ」ともに同じです。
逃げられるのですか。
出現に気づいてから走って逃げても追いかけてくるので、狙われた際にはさらわれることを覚悟しなければならないといいます。ただし気づかないときには、ヤンブシの方も人間を気にしないことが多いとされます。
夕方の挨拶とは何ですか。
かつては夕方に道を行く人同士が声をかけ合う風習があり、これは行き会った相手に対して、自分が化け物でないことを証明する意味であったといいます。
ヤンボシと併せて覚えたい言葉・用語
山伏(やまぶし)
山を歩いて修行する僧。ヤンボシの名の由来とされる。
百引村(もびきむら)
鹿児島県肝属郡の旧村名。現在の鹿屋市。
ヤンブシ(やんぶし)
宮崎県や奄美群島でのヤンボシの呼び名。