石燕が最後に描いた船。乗っているのは福の神ではなく、器物の妖怪たち。

鳥山石燕 「画図百器徒然袋 宝船」 1784年 / パブリックドメイン 出典
宝船とはどんな妖怪か
宝船はひとことで言えば、妖怪が乗り込んだ縁起物です。
宝船は、本来七福神が乗り、正月の枕の下に敷いて良い初夢を願う縁起物です。
ところが、『画図百器徒然袋』の宝船に乗っているのは、この本に描かれてきた器物の妖怪たちです。
帆をあげた船に、琵琶、太鼓、鏡、烏帽子といったものが、顔と手足を持って並んでいます。
舳先には鶴が立ち、波が船腹をなでています。
石燕の絵本四部作は、この見開きで閉じられます。
宝船の漢字表記と読み方
読みは「たからぶね」です。
正月に宝船の絵を枕の下に敷いて寝ると、良い初夢を見るという習わしがあります。
回文の歌「なかきよの とをのねふりの みなめさめ なみのりふねの おとのよきかな」を書き添えた刷り物が売られました。
この図鑑には、器物の妖怪として付喪神も収めています。
宝船(たからぶね)
石燕の絵に添えられた表記。
寳船(たからぶね)
旧字体の表記。
宝船の姿と特徴
石燕の絵の宝船は、見開きいっぱいの船です。
帆 … 大きく張られている。
舳先 … 鶴が立つ。
乗り手 … 琵琶、太鼓、鏡、烏帽子などの器物。
姿 … それぞれ顔と手足を持つ。
海 … 渦を巻く波。
添え … 歌が一首、左に書かれる。
七福神は描かれていません。
宝船が登場する古典の物語
宝船の伝承地域
宝船をまつる社として広く知られたものは見当たりません。
正月の縁起物として、社寺で宝船の刷り物が授けられるところがあります。枕の下に敷いて初夢を願う習わしです。
宝船の正体と考えられているもの
この一枚は、妖怪の絵であると同時に、縁起物です。
石燕は、怖がらせるだけで終わらせませんでした。
四部作の最後に、目出度い船を置いています。
この図鑑には、器物の妖怪を『画図百器徒然袋』から数多く収めています。
それらが一艘に集まった姿が、この一枚です。
宝船が登場する作品
宝船は、石燕の絵で読めます。
正月の宝船の刷り物は今も社寺で授けられており、回文の歌が書き添えられています。 この図鑑の付喪神と併せて読むと、器物が船に乗る意味が見えてきます。
宝船が登場する古典
画図百器徒然袋
鳥山石燕、1784年。巻末の見開きに宝船を置いています。
付喪神絵巻
室町期の絵巻。古道具が妖怪になる由来を描きます。
宝船が登場する民俗
宝船の刷り物
正月に枕の下へ敷き、良い初夢を願う縁起物です。
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宝船についてよくある質問
石燕の宝船には誰が乗っていますか。
七福神ではなく、『画図百器徒然袋』に描かれてきた器物の妖怪たちです。
どこに置かれた絵ですか。
『画図百器徒然袋』(1784年)の巻末で、石燕の絵本四部作の最後の一枚です。
本来の宝船とは何ですか。
七福神が乗る縁起物です。正月に枕の下へ敷いて良い初夢を願います。
妖怪の絵なのですか。
妖怪の絵であると同時に、目出度く締めくくる縁起物としても読めます。
宝船と併せて覚えたい言葉・用語
七福神(しちふくじん)
恵比寿・大黒天など福を運ぶ七柱。本来の宝船の乗り手です。
付喪神(つくもがみ)
古くなった器物が妖怪になったもの。この本の主題です。
画図百器徒然袋(がずひゃっきつれづれぶくろ)
鳥山石燕の絵本四部作の最後の一冊です。