山梨県早川町で、切った跡が朝には元通りになったという、木の精に守られた大木。

Sakaori 「赤沢の集落(山梨県早川町)」 2011年 / CC BY-SA 3.0 出典
千丁木とはどんな妖怪か
千丁木はひとことで言えば、切りくずを焼かれて倒れた大木です。山梨県南巨摩郡早川町の話です。
国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースは、都留文科大学民俗学研究会「Ⅸ口承文芸 §2伝説」(『雨畑の民俗 山梨県南巨摩郡早川町雨畑』通巻13号、1989年、73頁)を典拠に、ミノヒキ山は、1本の木で千丁の薪がとれるので、千丁木という。朝、山へ登っても切り終えない。帰って、また翌朝行くと、切った跡が元通りになっている。木こりが残って隠れてみていると、夜中の12時か1時ころに、この辺の山のあらゆる木の精が集まって、話していた。木の精の首領が切りくずを焼かれてしまったら駄目だといったのを木こりの責任者が聞いて、切りくずがでるとそれを燃やしてしまった。それで千丁木は切られてしまい、今では地名だけが残っていると記します。
木の精が、自分たちの弱みを口に出しています。
それを隠れて聞いたことが、勝負を分けました。
千丁木の漢字表記と読み方
読みは「せんちょうぎ」です。
「千丁」は薪の数を指します。 1本の木で千丁の薪がとれるので、この名が付きました。
山の名はミノヒキ山と記されます。 木は切られ、今では地名だけが残っています。
この図鑑には背の高い男(和歌山)も収めています。そちらも木にまつわる話です。
千丁木(せんちょうぎ)
日文研データベースが示す表記。
木の精(きのせい)
記録が併記する呼称です。
千丁木の姿と特徴
千丁木に姿はありません。記録にあるのは、切っても戻る幹です。
山 … ミノヒキ山。
名の由来 … 1本の木で千丁の薪がとれる。
起きたこと … 朝から切っても切り終えず、翌朝には切った跡が元通りになっている。
見張り … 木こりが残って隠れて見た。
時刻 … 夜中の12時か1時ころ。
現れたもの … この辺の山のあらゆる木の精。
首領の言葉 … 切りくずを焼かれてしまったら駄目だ。
結末 … 切りくずを燃やしたところ、千丁木は切られた。
木の精の姿については書かれていません。
千丁木の伝承記録
切っても戻る
朝、山へ登っても切り終えません。
帰って、また翌朝行くと、切った跡が元通りになっています。
何度も続きました。 人の手では、終わらない仕事でした。
夜中の集まり
木こりが残って隠れて見ていました。
夜中の12時か1時ころ、この辺の山のあらゆる木の精が集まって話していました。
木の精の首領が、切りくずを焼かれてしまったら駄目だといいました。
弱みが、声に出されたわけです。
切りくずを焼く
それを木こりの責任者が聞いていました。
切りくずがでると、それを燃やしてしまいました。
それで千丁木は切られてしまい、今では地名だけが残っています。
木の精がその後どうなったかは書かれていません。
千丁木の伝承地域
公的データベースの地域欄は山梨県南巨摩郡早川町を示します。報告は雨畑の調査です。
早川町は南アルプスの東側の谷あいにあります。 山仕事の話が多く残る土地です。
千丁木の正体と考えられているもの
千丁木は、弱みを聞かれて倒れた大木です。
争いは力ではなく、聞き耳で決まりました。
同じ形は、木の精が相談する話として各地にあります。
この図鑑には背の高い男(和歌山)も収めています。そちらでは正体が木でした。
千丁木が登場する作品
千丁木を単独で扱った本は見当たりません。読めるのは大学の調査報告です。
木の精の相談を盗み聞く話は各地にあり、弱点を知って切り倒す形が共通します。この図鑑には背の高い男(和歌山)も収めています。
千丁木が登場する調査報告
雨畑の民俗 山梨県南巨摩郡早川町雨畑
都留文科大学民俗学研究会が1989年にまとめた報告です。
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千丁木についてよくある質問
千丁木とは何ですか。
山梨県早川町雨畑のミノヒキ山にあったとされる大木です。1本で千丁の薪がとれるとされました。
なぜ切れなかったのですか。
切った跡が翌朝には元通りになっていたためです。
どうやって切りましたか。
木の精の首領が切りくずを焼かれると駄目だと話すのを聞き、切りくずを燃やしました。
今も残っていますか。
木は切られ、今では地名だけが残っていると記録されています。
千丁木と併せて覚えたい言葉・用語
丁(ちょう)
薪などを数える単位。千丁は非常に多い量です。
木の精(きのせい)
木に宿るとされたもの。集まって話す話が各地にあります。
雨畑(あめはた)
山梨県早川町の地区名。硯の産地として知られます。
千丁木の参考資料
この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。