新潟県で、切っても翌日には元通りになった大木。木屑に灰を撒くと切れた。
榎の精とはどんな妖怪か
榎の精の漢字表記と読み方
読みは「えのきのせい」です。
「榎」はえのき——大きく育つ木です。一里塚に植えられた木としても知られます。
「斧屑」は斧で切ったときに出る木片です。
この図鑑には縁切榎(東京)も収めています。 そちらも榎の話です。
榎の精(えのきのせい)
日文研データベースが示す表記。
斧屑(おのくず)
斧で切ったときに出る木片。
榎の精の姿と特徴
この記録に精の姿はありません。あるのは、木の会話です。
切ろうとした人 … 樵。
かかった期間 … 何月も。
起きたこと … 翌日になると元通りになる。
聞いた人 … やってきた六部。
聞いた内容 … 山の木々同士の会話。
分かったこと … 斧屑の木片に灰を撒いていないから切れない。
その後 … その通りにすると、やっと切ることができた。
精の姿を見た者がいたとは書かれていません。
榎の精の伝承記録
翌日には元通り
樵が、何月もかかって大木を切ろうとしました。
ところが、翌日になると元通りになります。
切った分が、夜のうちに戻ってしまいます。
この図鑑にはオナオ樟(愛媛)も収めています。
そちらは、伐られる前に木のほうが動きました。
木屑に灰を撒く
やってきた六部が、山の木々同士の会話を聞きました。
木が切れないのは、斧屑の木片に灰を撒いていないからだと言っていました。
木屑がもとの木に戻ることになります。
灰を撒けば、戻れません。
その通りにすると、やっと木を切ることができました。
榎の精の伝承地域
公的データベースの地域欄は新潟県を示します。
市町村までは記されていないため、地図で指せるのは県の範囲までです。
榎の精の正体と考えられているもの
この木の正体は書かれていません。報告の呼称は榎の精です。
切った木屑が戻るという話は各地にあり、灰を撒いて止めるという手当ても共通します。
六部が木の会話を聞くという筋も、各地の昔話に見られる形です。
この図鑑には尺取虫(長野)、オナオ樟(愛媛)、依掛松(鳥取)も収めています。
どれも、大きな木を切ることの重さを語っています。
榎の精が記録された資料
榎の精を単独で扱った本は見当たりません。読めるのは『高志路』の記事です。
題に「(六)」とあるとおり、続きのある連載です。木屑に灰を撒く話は各地の昔話集にも載ります。
榎の精が記録された民俗資料
俺が村の伝説(六)
渡邊不老が『高志路』通巻75号(1941年)に載せた中心資料です。
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榎の精についてよくある質問
榎の精とは何ですか。
新潟県の話です。切っても翌日には元通りになった大木とされます。
なぜ切れなかったのですか。
斧屑の木片に灰を撒いていなかったためだと、六部が木々の会話から知ったと記録されています。
灰を撒くとどうなりますか。
その通りにすると、やっと木を切ることができたとされます。
六部とは何ですか。
六十六部の略で、全国の霊場を巡る行者です。
榎の精と併せて覚えたい言葉・用語
斧屑(おのくず)
斧で切ったときに出る木片です。
六部(ろくぶ)
六十六部の略。全国の霊場を巡る行者です。
高志路(こしじ)
新潟の郷土誌。この記録が載りました。
榎の精の参考資料
この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。