本文へ移動

京都府

打たれぬ鐘(うたれぬかね)とはどんな妖怪か|姿と伝承

打たれぬ鐘  / ウタレヌカネ

器物と草木 各地の伝説

京都府の話。赤子を鋳込んだ鐘は撞くと泣き声がし、両親が大蛇となって巻き付いた。

打たれぬ鐘の姿を描いた図

KimonBerlin 「成相寺の石段(京都府宮津市)」 2009年 / CC BY-SA 2.0 出典

打たれぬ鐘とはどんな妖怪か

打たれぬ鐘は、撞けなくなった鐘です。京都府の話です。

国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースは、今村閑打たれぬ鐘」(『俚俗と民譚』単美社、1932年)を典拠に、昔、成相寺で鐘を鋳ったが、何度作っても、赤ん坊の形をした穴が空いてしまうと記します。

言葉どおりのことが起きています。

餓鬼ならいくらでも上げるが金は1文もない、と断った百姓家があったとわかり、村の者はその赤ん坊をさらい、鋳型に流し込んだといいます。

この図鑑には三井寺の鐘(滋賀)も収めています。

打たれぬ鐘の漢字表記と読み方

読みは「うたれぬかね」です。

「鋳る」は、溶かした金属を型に流して器物を作ることです。

「餓鬼」は、ここでは子どもをののしっていう言い方です。

「撞く」は、鐘を打ち鳴らすことです。

この図鑑には三井寺の鐘(滋賀)も収めています。

打たれぬ鐘(うたれぬかね)

日文研データベースが示す呼称です。

成相寺(なりあいじ)

記録が示す、鐘を鋳た寺の名です。

打たれぬ鐘の姿と特徴

打たれぬ鐘の話は、記録に順を追って書かれています。

その寺 … 成相寺。
していたこと … 鐘を鋳た。
起きたこと … 何度作っても赤ん坊の形をした穴が空く。
分かったこと … 寄付集めの折、餓鬼ならいくらでも上げるが金は1文もないと断った百姓家があった。
村の者のしたこと … その赤ん坊をさらい、鋳型に流し込んだ。
その結果 … 鐘は無事完成した。
撞いたときのこと … オギャーと赤子の泣く声がした。
現れたもの … 両親が2匹の大蛇となって現れた。
そのしたこと … 鐘に巻き付いて撞かせなかった。

その後どうなったかは書かれていません。

打たれぬ鐘の伝承記録

  1. 空く赤ん坊の穴
  2. 餓鬼ならいくらでも
  3. 鋳型に流し込む
  4. 泣き声のする鐘
  5. 二匹の大蛇

空く赤ん坊の穴

昔、成相寺で鐘を鋳ったが、何度作っても、赤ん坊の形をした穴が空いてしまいました。

空いたのは赤ん坊の形です。

餓鬼ならいくらでも

寄付集めの折、餓鬼ならいくらでも上げるが金は1文もない、と断った百姓家があったとわかりました。

口にしたのはその家の者です。

鋳型に流し込む

村の者はその赤ん坊をさらい、鋳型に流し込みました。

入れたのは赤子です。

泣き声のする鐘

鐘は無事完成しましたが、撞くとオギャーと赤子の泣く声がしました。

聞こえたのは泣き声です。

二匹の大蛇

両親が2匹の大蛇となって現れ、鐘に巻き付いて撞かせませんでした。

巻き付いたのは父と母です。

打たれぬ鐘の伝承地域

公的データベースの地域欄は京都府を示します。市郡名の欄は空欄です。

記録が示すのは成相寺で、宮津市の山にあります。

成相寺(なりあいじ)

記録が示す場所

地図で開く

成相寺の所在地:京都府宮津市成相寺

天橋立を見おろす山の中腹にあります。

西国三十三所の札所のひとつです。

打たれぬ鐘の正体と考えられているもの

打たれぬ鐘は、撞けなくなった鐘です

鐘そのものが化けたのではありません。 語られているのは、何を鋳込んだかと、撞いたときに何が起きたかです。

断り文句の餓鬼ならいくらでも上げるが、そのまま果たされたところが恐ろしい点です。

この図鑑には三井寺の鐘(滋賀)も収めています。

打たれぬ鐘が登場する作品

打たれぬ鐘を単独で扱った本は見当たりません。読めるのは戦前の雑誌の報告です。

鐘に人を鋳込む話は各地にあり、撞くと泣き声がする、鳴らないという結びをとります。

打たれぬ鐘が登場する雑誌

俚俗と民譚

単美社が出した雑誌です。1932年の号に打たれぬ鐘が載ります。

近畿の妖怪の本を探す

Amazonのアソシエイトとして、当サイトは適格販売により収入を得ています。

打たれぬ鐘についてよくある質問

打たれぬ鐘とは何ですか。

京都府の成相寺で鋳られたという、撞けなくなった鐘の話です。

なぜ何度も失敗したのですか。

何度作っても赤ん坊の形をした穴が空いてしまったといいます。

村の者は何をしましたか。

寄付を断った家の赤ん坊をさらい、鋳型に流し込んだといいます。

撞くとどうなりましたか。

赤子の泣き声がし、両親が二匹の大蛇となって鐘に巻き付いたといいます。

打たれぬ鐘と併せて覚えたい言葉・用語

鋳る(いる)

溶かした金属を型に流して器物を作ることです。

撞く(つく)

鐘を打ち鳴らすことです。

成相寺(なりあいじ)

京都府宮津市にある寺です。天橋立を見おろします。

打たれぬ鐘の参考資料

この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。

  1. 国際日本文化研究センター「打たれぬ鐘」