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香川県

打綿狸(うちわただのき)とはどんな妖怪か|姿と伝承

打綿狸  / ウチワタダノキ

器物と草木狐と狸獣の妖怪 各地の伝説

香川県で道端の綿に化け、人が拾おうとすると動き出して空へ上ると記録された化け狸。

打綿狸とはどんな妖怪か

打綿狸は、道の綿へ化ける香川の狸です。道に落ちた綿の塊へ化け、人が拾おうとすると動き出して空へ上ると記録されています。国際日本文化研究センターのカードでは、呼称読みを「ウチワタダノキ」、漢字を「打綿狸」としています。

読みは、日文研データベースの呼称ヨミに基づくうちわただのきです。「狸」を通常どおり「たぬき」と読む「うちわたたぬき」ではなく、「だのき」と音が続きます。

話は短く明快です。道にザワタが落ちています。人が綿の塊だと思って拾おうとすると、綿は動き出し、ついには空へ上ってしまいます。手に取った後で狸へ戻る、噛みつく、品物を盗むとは記されません。

人の「拾えそうだ」という判断を、物の側が一歩先に逃げて裏切るのが物語の中心です。同じ香川県には、徳利へ化けて拾おうとすると転がる徳利狸も記録されますが、打綿狸は綿になり、上へ逃げる点で区別できます。

打綿狸の漢字表記と読み方

読みは「うちわただのき」です。日文研データベースの呼称ヨミは「ウチワタダノキ」です。

漢字だけを見ると「うちわたたぬき」とも読めますが、資料上の読みは「ウチワタダノキ」です。「ダノキ」が発音上の変化なのか、採録時の表記なのかは分かっていません。

打綿狸(うちわただのき)

日文研データベースの呼称読みに合わせた表記。

ウチワタダノキ(うちわただのき)

公的データベースが示す呼称読み。

うちわたたぬき(うちわたたぬき)

漢字から想定される読みだが、日文研の呼称ヨミとは一致しない。

打綿狸の姿と特徴

見える姿は、道端に落ちたザワタ、つまり綿の塊です。狸の顔、耳、尾、足が残るとは記録されません。

普通の綿との違いが現れるのは、人が拾おうと手を伸ばした後です。自分から動き、最後には空へ上ることで、単なる落とし物ではないと分かります。色、大きさ、重さ、飛ぶ高さ、消える方向は資料にありません。

綿らしい軽さと、意志を持って逃げる動きが打綿狸の特徴です。見た目はただの綿でも、人が手を伸ばした後の動きによって化け物だと分かります。

打綿狸の伝承記録

  1. 道に落ちたザワタを拾おうとするまで
  2. 動き出し、最後には空へ上ってしまう
  3. 徳利狸は転がり、打綿狸は上る

道に落ちたザワタを拾おうとするまで

中心記録は、道にザワタが落ちている場面から始まります。ザワタは、打ってほぐした綿の塊を指すと考えられます。衣や布団に使う材料であり、道にまとまって落ちていれば、通行人が拾おうとする理由があります。

ここでは、狸が声をかけたり人を追ったりしません。人の側が落ちている綿だと思い、自分から近づきます。手を伸ばした瞬間、物だと思っていたものが意思を持つように動きます

恐怖よりも、拾えると思った期待を外すいたずらが中心です。欲深い者が罰を受ける話ではなく、綿に化けた狸が人の手から逃げる場面で終わります。

動き出し、最後には空へ上ってしまう

人が拾おうとすると、綿はまず動き出します。そして「しまいに空に上ってしまう」と記録されます。

転がるのか、跳ねるのか、風に乗るのか、その途中の動きは分かりません。空へ上った後に狸へ戻る、雲になる、消えるという続きもなく、物語は綿が上っていくところで終わります。

綿は軽く、風を受けて空へ上ります。綿という姿と空へ上る動きが一つにつながっている点が、同じ香川に伝わる徳利狸との違いです。

徳利狸は転がり、打綿狸は上る

日文研の類似事例には、1933年の香川県の徳利狸も収録されています。酒徳利に化けて道の真ん中に立ち、人が拾おうとすると転がって、どうしても拾えないという話です。

二つは、狸が価値のある物へ化け、人の手から逃げる点でよく似ています。しかし変身する物と逃げ方が違います。徳利狸は硬い器になって横へ転がり、打綿狸は軽い綿になって上へ動くのです。

同じ香川の化け狸でも、徳利狸は道を横へ転がり、打綿狸は空へ上ります。変身する物と逃げる方向の違いによって、それぞれ別の名を持つ一場面として伝わっています。

打綿狸の伝承地域

公的データベースが示す伝承地域は香川県です。市町村、集落、道路の名までは中心カードにありません。

資料から分かる伝承地は香川県までで、高松市や特定の道路で採録されたとは記されていません。地図は香川県の範囲を示すにとどまります。

香川県(かがわけん)

打綿狸が採録された県域

地図で開く

香川県の所在地:香川県

日文研の地域欄が示す範囲です。

資料には市町村、集落、道路の記載はありません。

打綿狸の正体と考えられているもの

打綿狸は、正体を見せる場面を持ちません。人が見たのは道に落ちたザワタだけで、最後まで狸の顔や尾へ戻ったとは語られていません。

それでも「狸」と呼ばれるのは、綿の動きが偶然ではなく、人が拾おうとする行為へ応じた化かしとして語られるためです。香川で綿になり、拾おうとする手から空へ逃げることが、打綿狸の固有の姿と行動です。

徳利狸が横へ転がって捕まらないのに対し、打綿狸は上へ逃げます。物の形と逃げ方が対応する、短いいたずらの物語です。

打綿狸をめぐる妖怪のつながり

打綿狸が記録された資料

打綿狸は、三宅周一「妖怪語彙」に記録されています。比較対象の徳利狸は『讃岐高松叢誌』に収録された別の化け狸で、香川に残る「拾おうとすると逃げる物」の伝承を比べられます。

打綿狸が記録された民俗資料

妖怪語彙

三宅周一が1939年の『民間伝承』へ掲載した打綿狸の中心資料。

讃岐高松叢誌

徳利狸との比較に使う1933年の香川県資料。

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打綿狸についてよくある質問

打綿狸は何と読みますか。

「うちわただのき」と読みます。日文研データベースの呼称ヨミは「ウチワタダノキ」です。「狸」の部分を「たぬき」ではなく「だのき」と読みます。

打綿狸とはどんな妖怪ですか。

香川県で、道端の綿の塊へ化けるとされた狸です。人が拾おうとすると綿が動き始め、最後には空へ上って逃げてしまいます。

打綿狸は人を襲いますか。

確認した中心記録には、噛む、傷つける、追跡するという危害はありません。拾えそうな綿が逃げるという、通行人の期待を外すいたずらが中心です。

打綿狸と徳利狸は同じですか。

どちらも香川で物へ化ける狸ですが別の呼称です。徳利狸は拾おうとすると転がり、打綿狸は綿の姿で動き出して空へ上ります。

打綿狸と併せて覚えたい言葉・用語

打綿(うちわた)

打ってほぐした綿。打綿狸が化ける物として記録される。

ザワタ(ざわた)

中心資料の要約で、道に落ちている綿を表す語。

徳利狸(とっくりだぬき)

香川県で徳利へ化け、拾おうとすると転がるとされた別の化け狸。

打綿狸の参考資料

この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。

  1. 国際日本文化研究センター「ウチワタダノキ」
  2. 国際日本文化研究センター 香川県の狸伝承類似事例