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和歌山県

生面(いきめん)とはどんな妖怪か|姿と伝承・登場する作品・伝承地域

生面  / イキメン

器物と草木 各地の伝説

和歌山県紀の川市の面。旱魃で洞窟の岩を取ると、あふれた水とともに浮かんできたという。

生面の姿を描いた図

nobu3withfoxy 「貴志駅の駅舎(和歌山県紀の川市貴志川町神戸)」 2014年 / CC BY 2.0 出典

生面とはどんな妖怪か

生面はひとことで言えば、水とともに現れた面です。和歌山県紀の川市貴志川町の話です。

国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースは、『近畿民俗』通巻82号(1980年、14頁)の「口頭伝承」を典拠に、次のように記します。

生面と呼ばれている面がある。昔、旱魃で干あがった時、洞窟の岩を取ったところ、あふれ出てきた水と同時に面が浮かんで来たという。また、竜宮に通じる穴から湧き出てきて、その水面に浮かんできたともいう

由来が二通り記録されています。 どちらも水とともに現れたという点は同じです。

竜宮は、海の底にあるとされる宮です内陸の洞窟が、そこに通じているという語りになります。

面の形や大きさは記録されていません。

生面の漢字表記と読み方

読みは「いきめん」です。

」の字が入る理由は記録されていません。生きているように見えたのか、現れ方が特別だったのかも書かれていません。

岩手の生石も「生」の字を持ちます。動く石現れた面どちらも、ものが生きているように扱われています。

生面(いきめん)

日文研データベースが示す漢字表記。

イキメン(いきめん)

同データベースの呼称読み。

生面の姿と特徴

生面は、です。

現れた場面1 … 旱魃で干あがったとき、洞窟の岩を取ると水があふれ、同時に浮かんできた。
現れた場面2 … 竜宮に通じる穴から湧き出て、水面に浮かんできた。

面の顔つき、材質、大きさは記録されていません。

現れたあと、どこに納められたかも書かれていません。

生面の伝承記録

  1. 旱魃の洞窟から水と一緒に
  2. 竜宮に通じる穴

旱魃の洞窟から水と一緒に

一つめの由来は、旱魃から始まります。

水が干あがり、村は困りました。 洞窟の岩を取ったのは、水を得るためだったとみられます。

すると、あふれ出てきた水と同時に、面が浮かんで来ました

水と面が、同時に出ています。 面が水を連れてきたとも読める形です。

竜宮に通じる穴

二つめの由来は、竜宮に通じる穴です。

竜宮は、海の底にあるとされる宮です内陸の紀の川筋から、海の底へ通じているという語りになります。

長崎の池の神様も、池の底の穴が竜宮に通じていると語られました。離れた土地に、同じ形の話があります。

面は、その穴から湧き出た水に浮かんできました。

どちらの由来でも、面は水の側から来ています。

生面の伝承地域

公的データベースの地域欄は和歌山県紀の川市貴志川町を示します。

洞窟や面の所在は書かれていないため、地図で指せるのは町の範囲までです。

貴志川町周辺(きしがわちょうしゅうへん)

日文研データベースが示す伝承地域

地図で開く

貴志川町周辺の所在地:和歌山県紀の川市貴志川町

『近畿民俗』の報告地域に対応します。

洞窟や面の所在は資料に書かれていません。

生面の正体と考えられているもの

生面の正体は分かっていません。

記録が伝えるのは、二通りの由来だけです。 旱魃の洞窟から水とともに、あるいは竜宮に通じる穴から

誰が作った面か、いつのものかは書かれていません。

水の底から面や仏が現れる話は各地にあります。京都の阿弥陀ヶ淵では黄金の阿弥陀仏が出ました。

生面も、その仲間として土地に残りました。

生面が記録された資料

生面を単独で扱った本は見当たりません。読めるのは『近畿民俗』の記事です。

近畿民俗学会が出す雑誌で、聞き書きをそのまま収めた報告が並びます。県内の図書館の郷土資料が探し先です。

生面が記録された民俗資料

口頭伝承

『近畿民俗』通巻82号(1980年)に載った中心資料です。

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生面についてよくある質問

生面とは何ですか。

和歌山県紀の川市に伝わる面です。旱魃のとき洞窟の岩を取ると、あふれた水とともに浮かんできたと伝わります。

竜宮との関係は何ですか。

竜宮に通じる穴から湧き出た水に浮かんできたという、もう一つの由来が記録されています。

どんな顔の面ですか。

記録されていません。形も材質も書かれていません。

今も見られますか。

資料に所在の記載はありません。日文研データベースの地域欄は紀の川市貴志川町を示します。

生面と併せて覚えたい言葉・用語

竜宮(りゅうぐう)

海の底にあるとされる宮。洞窟の穴が通じているとされました。

旱魃(かんばつ)

雨が降らず水が干あがること。面が現れた場面です。

近畿民俗(きんきみんぞく)

近畿民俗学会の雑誌。この話の記録が載りました。

生面の参考資料

この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。

  1. 国際日本文化研究センター「生面」