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岩手県

生石(いきいし)とはどんな妖怪か|姿と伝承・登場する作品・伝承地域

生石  / イキイシ

そのほか 各地の伝説

岩手県北上市で、川をさかのぼるという石。二十年で一町も移ったと語られた。

生石の姿を描いた図

Gribeco 「展勝地(岩手県北上市立花)」 2008年 / CC BY-SA 出典

生石とはどんな妖怪か

生石はひとことで言えば、動く石です。岩手県北上市の話です。

国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースは、橘正一昭和の伝説四題」(『旅と伝説』2巻10号・通巻22号、1929年、28頁)を典拠に、次のように記します。

石が川をさかのぼることがあるという。和賀郡の川に巨大な石がある。これは、和賀川が大水にあった時には、洞の中にあったものが、20年後には1町も遡って今の場所に来たのだといわれている。そのような石を生石という

一町は約109メートルです。 二十年で百メートルあまり、川上へ動いたという語り方になります。

流されて下るという話とは逆です。 さかのぼるところが、この石の異様さです。

題は「昭和の伝説四題」。 昭和に入ってから語られていた話として記録されています。

生石の漢字表記と読み方

読みは「いきいし」です。

」の字が入るのは、生きているように動くからです成長する石動く石の話は各地にあります。

大きさは「巨大な石」とだけ記録されています。 重さや形は書かれていません。

生石(いきいし)

日文研データベースが示す漢字表記。

イキイシ(いきいし)

同データベースの呼称読み。

生石の姿と特徴

生石は、川にある巨大な石です。

場所 … 和賀郡の川(和賀川)。
動き … 川をさかのぼる。
距離 … 二十年で一町(約109メートル)。
きっかけ … 大水。

顔や手足はありません。音を立てる、光るといった記述もありません。

動いた、という一点だけが語られています。

生石の伝承記録

  1. 大水のあと、上流に移っていた
  2. 動く石は各地にある

大水のあと、上流に移っていた

石はもともと洞の中にありました

和賀川が大水にあったときを境に、二十年後には一町も遡って今の場所に来たといいます。

一町は約109メートル。 大人の足で二分ほどの距離です。

水は下へ流れます。 石が上流へ動くのは、流れに逆らうことになります。

そこに、この石が「生きている」と言われる理由があります。

動く石は各地にある

石が動く、育つという話は各地に伝わります。夜に鳴く石大きくなる石元の場所へ戻る石

前に収めた京都の阿弥陀ヶ淵では、仏が元の場所へ戻されたという形でした。

生石の場合、動く距離と年数がはっきりしています二十年で一町。

測ったように語られているところが、この記録の面白さです。

生石の伝承地域

公的データベースの地域欄は岩手県北上市を示します。記録は和賀郡の川、すなわち和賀川を指します。

石の位置は書かれていないため、地図で指せるのは市の範囲までです。

和賀川周辺(わががわしゅうへん)

日文研データベースが示す伝承地域

地図で開く

和賀川周辺の所在地:岩手県北上市

記録は「和賀郡の川」と記します。和賀川は北上市を流れます。

石の位置は資料に書かれていません。

生石の正体と考えられているもの

生石の正体は、です。怪異にあたるのは、それが上流へ動くという点です。

大水のたびに川の姿は変わります。 石が現れたり、隠れたりすることもあります。

それを「同じ石が動いた」と受け取れば、石は生きていることになります。

資料は、そこまでの説明をしていません。 残っているのは、二十年で一町という数字と、生石という呼び名です。

生石が記録された資料

生石を単独で扱った本は見当たりません。読めるのは『旅と伝説』の記事です。

題の「昭和の伝説」が示すとおり、新しく生まれた話を集めた記事です。古い伝説だけでなく、当時の語りを拾っています。

生石が記録された民俗資料

昭和の伝説四題

橘正一が『旅と伝説』2巻10号(1929年)に載せた中心資料です。

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生石についてよくある質問

生石とは何ですか。

岩手県北上市で、川をさかのぼるとされた巨大な石です。二十年で一町も遡ったと語られました。

一町はどのくらいですか。

約109メートルです。

なぜ上流へ動くのですか。

理由は記録されていません。大水のあとに位置が変わっていたと語られています。

石は今もありますか。

資料に現在地の記載はありません。記録は和賀郡の川とだけ記します。

生石と併せて覚えたい言葉・用語

一町(いっちょう)

約109メートル。石が遡ったとされる距離です。

和賀川(わががわ)

岩手県北上市を流れる川。生石があるとされます。

旅と伝説(たびとでんせつ)

戦前の民俗雑誌。生石の記録が載りました。

生石の参考資料

この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。

  1. 国際日本文化研究センター「生石」